郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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深刻さ増す人口問題③
小中学生がどんどん減少
閉校舎は住民施設等に利用

 酒田市では2005〜16年度の11年間に児童が27・4%、中学生が18・5%減った。鶴岡市でも12〜16年度の4年間に児童が9・2%、中学生が11・1%減った。これに伴い同期間に酒田市では統廃合で小学校が6校、中学校が4校、鶴岡市では小学校が10校減った。閉校後の校舎等は統合校に再利用したり、地域住民の施設に転用したり、民間に売却や貸与して介護施設などに変わっている例もあるが、活用策の定まっていない旧校舎も少なくない。両市では人口減少が一層進むのを見据え、各種公共施設の統廃合を具体的に検討する段階を迎えている。(本紙取材班)

酒田の児童11年間に27%減

 酒田市の小中学校の児童生徒数(各年度5月1日現在)は、広域合併当時の2005年度は小学生6818人、中学生3544人だった。それが16年度は小学生が4953人で27・4%減、中学生は2888人で18・5%減少した。
 さらに同市の児童生徒数の推計(16年度の学級編制の数字に16年3月31日現在の住民基本台帳の人数を加味して算出)では、小学生は22年度に4246人、中学生は28年度に2054人になる。
 小学校は05年度に32校(休校中の飛島小含む)に通常学級が282学級あったが、06年度に平田地区の東陽小と南平田小が統合、09年度に八幡地区の大沢・日向・八幡の3小が統合。13年度には東平田・中平田・北平田の3小が統合して平田小となり、14年度は亀城小と港南小が統合して亀ケ崎小となった。
 16年度(5月1日現在)は小学校が26校で6校減、通常学級数は213学級で69学級減となった。
 さらに、17年度から南遊佐小と鳥海小が統合、松山地区の松山・内郷・地見興屋の3小が統合したことから、学校数は3校減って23校となっている。
 中学校は05年度に12校(休校中の飛島中含む)、通常学級は110学級あったが、10年度に鳥海中と八幡中が統合して鳥海八幡中となり、11年度に酒田一中と酒田五中が統合して酒田一中に、12年度に酒田二中と平田中が統合して酒田二中に、14年度には松山中と飛鳥中が統合して東部中となった。
 16年度(同)の中学校数は8校で4校減、通常学級数は98学級で12学級減った。
 同市の小中学校の学校規模に関する基本方針は、標準学校規模は12〜18学級とし、複式学級の解消に努める。当面存続する学校規模は、小学校が児童数100人程度以上で1学級15人程度以上を確保。中学校が生徒数270人程度以上で1学年3学級以上を確保、としている。
 現状では具体的に統合を検討している小中学校は無いが、17年度で複式学級のある小学校が2校ある。酒田市教育委員会管理課学区改編推進室では「基本方針はあくまで望ましい基準。まずは複式学級をどうしていくか、地域の人と話しながら考えていく」と言う。

鶴岡は4年で9%減

 鶴岡市教育委員会によると、同市の小学校児童数は2016年度6284人で、12年度より639人9・2 %減った。
 12年度には小学校が40校、普通学級が314学級あった。それが14年度に朝暘四・湯田川・田川の3小が朝暘四小に、朝日地区の朝日小と朝日大泉小があさひ小に統合。15年度に三瀬・小堅・由良の3小が豊浦小に統合。16年度に温海地区の温海・五十川・福栄・山戸の4小があつみ小に、羽黒地区の羽黒三小と羽黒四小が広瀬小に、朝日地区の大網小とあさひ小があさひ小に統合。結果、学校数は4年間で10校減の30校となり、普通学級数も49学級減って265学級となった。
 17年度は加茂小が大山小に統合し、18年度は藤島小と長沼小、京田小と栄小、羽黒一小と羽黒二小が、それぞれ統合を予定している。
 中学校数は12〜16年度に11校で変わっていないが、生徒数は12年度の3897人から16年度3466人へと431人11・1%減った。普通学級数も12年度134学級から16年度118学級へと16学級減った。
 鶴岡市教育委員会が15年に策定した同市学校適正配置基本計画の第2期計画によると、学校規模の基本方針は小学校6〜24学級、中学校3〜18学級とし、1学級当たり15〜20人以上の確保を目指すとしている。
 複式学級は16年度時点で小学校4校に8学級あるが、統合で18年度までに解消する見込み。しかし、児童数が100人未満の小学校が、16年度時点で統合予定の学校を除き7校あり、今後、存続に足る学校規模を下回る可能性も残る。

高校再編も避けられず

 庄内にある県立高校でも、学級数の削減が続いている。
 14年度は12高校で全日制53学級だったが、15年度に2学級、16年度に1学級、17年度に1学級減り、49学級になっている。学校数は減っていないが、各学校の規模がぐんぐん縮んでいる。さらに18年度に2学級、19年度にも2学級を減らす計画となっている。
 中学校卒業者数は、14年度は2784人だったが、25年度は2160人と624人22・4%減る見込み。
 県教育庁高校教育課高校改革推進室では今年度中に、庄内に設置を検討する中高一貫教育校の方向性を示す予定。その後、18年度以降に再編整備についても具体化していく計画。24年度には全日制課程を40学級程度まで削減する見通しで、学校の再編は避けられない状況となっている。
 同推進室では「子どもの人数に合わせて学校数を決めていくことになるが、それだけでいいのかという考え方も出てくるだろう」と言う。
 酒田市の学校法人天真林昌学園では、同市内で運営している酒田南高校と天真学園高校を18年度4月に統合し、新たな酒田南高校を開校する。少子化による定員割れが続いたことなどから決断したもので、県内で私学の統合は初めて。1学年の学級数は、3学科6学級を想定している。

酒田、鶴岡両市の児童生徒数と学校数の推移

統合校やコミセンに転用

 酒田市の統廃合で空いた小中学校、市立高校は、17年4月1日現在、05年度以降で15校を数える。このうち、鳥海小の校舎として使われている鳥海中や、平田小の校舎として使われている平田中、地区のコミュニティセンターとして使われている日向小や大沢小のように、校舎などの建物を統合校や地区の公共施設として使っている(予定含む)のは7校。
 建物を解体して地区の公園や、民間事業所に売却して使われているのは3校。臨時的に市の倉庫等として使い有効利用のめどが立っていないものが5校となっている。
 同市政策推進課では「地域に必要な公共施設があれば、できるだけ統廃合した学校を利用する方が無駄はない。住民の声を優先して考える」とする。一方で「地元の考えが一つにまとまらないと動けない。耐震上の課題もある」とし、地元の意見を優先しながらも、公共施設としての利活用が図られないのであれば、解体して民間へ売却という流れになる、と説明する。
 市全体としては公共施設の総数を減らしていく方針だが、解体にも財源が必要となる。また、学校には地域の思い入れが強く、安易に解体して売却とならない場合や、そもそも民間事業所で学校跡地を買って使うところがあるのか、全国的に学校の統廃合が進む中で空いた学校の活用、学校跡地の活用は課題となっている。
 国でも学校の解体費用として地方債を起債できる方針を打ち出したが、酒田市では「解体という何も生み出さないものに起債していいのか、将来の負担を増やしていいのか」という観点から、今のところ起債してまで解体を急ぐ考えはない。

地域の要望が大切

 すでに解体した北平田小は、跡地を北平田コミュニティ振興会が管理受託。敷地の半分は、グラウンドゴルフなどをする広場として活用し、残り半分に北平田地区の集落営農組織を法人化した県内最大の農事組合法人「ファーム北平田」がハウスを建て、トマトを栽培している。
 石川正実北平田コミュニティ振興会長は「雇用も発生し、見学者も訪れている。地域の活性化のために活用している」と言う。
 利用が未定の5校のうち、酒田五中はグラウンド北側に消防署北分署を設置する方針。南遊佐小は、南遊佐コミュニティ振興会から校舎2階の教室などを使いたいという要望があり、具体化に向けて市と振興会で話し合っている。
 今年度と来年度の2年間のみ松山小として使う内郷小は、内郷振興会が、その後もフリースクールなどの教育施設として使ってほしいと要望書を市に提出。市は内部に作業グループを作って検討を進めている。
 統廃合した15校には数えていないが、県立酒田商業高校跡地は、今年度から亀ケ崎小学区の学童保育所としての利用がなくなったことから、改めて山居倉庫を拠点として、消防本署の跡地や産業会館の建て替えと連携して、中心市街地の活性化策の中で利用を検討していく。

鶴岡市では介護施設に

 鶴岡市教育委員会学区再編対策室によると、学校統廃合で使われなくなった学校は、湯田川・田川・朝日大泉・小堅・由良・五十川・福栄・山戸・羽黒第四・大網・加茂―の計11小学校。
 このうち湯田川・五十川・田川・羽黒第四・大網では、地元住民の要望を受けて、公園、コミュニティセンター、福祉施設などへの転用を進めている。他の学校も市と地元住民で活用策の話し合いを進めている。
 五十川は社会福祉法人あつみ福祉会に無償貸与し、同福祉会が改築して、小規模多機能型居宅介護事業所「清流苑」を5月1日に開設した。湯田川は建物の老朽化が激しかったため、昨年、建物を解体し、今年度に市立公園と駐車場を整備する。住民が管理する。
 田川は「田川コミュニティセンター」に整備する計画で、3階は市の社会教育資料の保管展示施設にする方針。今年度中の完成を目指す。羽黒第四は「羽黒第四地区地域活動センター」に改装し、今年度中の完成を予定する。
 大網は、自治会活動や観光振興施設、買い物困難者向けの物販機能、公共交通機関の事務室などが入居する「ちいさな拠点」の整備を予定し、今年度に実施計画を作り、来年度以降に着工する。これら3施設は市が整備し、各住民組織が指定管理者となって運営する。
 その他の朝日大泉・小堅・由良・福栄・山戸・加茂と、今年度閉校する栄・長沼・羽黒第一も今後、住民と話し合いながら活用策を検討する方針。
 佐藤嘉男学区再編対策室長は「どの施設も地域の実情に合わせて整備を進めている。いずれの施設も耐震化は問題なく、残る施設も地元自治会と話し合いをしながら、積極的に利活用を進めていきたい」と話す。

公共施設の統廃合も検討へ

 酒田市は保有する公共施設の適正化に向け、同市が2016年3月に内部の方針として策定した「市公共施設適正化実施方針」を具現化するため、第1期(計画期間15〜27年度)期間中に検討すべきとした各施設の方向性を年度別に示したアクションプランを、17年度末をめどに作成する。
 同プランは、市が16年度に続いて17年度も各コミュニティ振興会長や関係団体などとの意見交換・合意形成などを経た上で作成する考え。次期市総合計画(計画期間18〜27年度)が始まる18年度から、各施設の適正化を進めていく。
 市は15年5月、同年度から54年度までの40年間に市が保有する公共施設の更新に要する費用860億円の削減を目指す「市公共施設適正化基本計画」を公表。基本計画で定めた削減目標などの実現に向け、実施方針を策定した。計画期間を第1〜4期に分けて進める。
 施設用途別の対象施設件数は計638施設。うち実態把握を行った339施設の施設評価などを踏まえ、各施設の方針を「機能(継続、複合化・統合、移管、廃止)」と「建物(維持、建替え、転用、売却・除去等)」に分類した。
 市行財政改革推進室の熊谷智室長は「すべての公共施設が対象なので、計画期間内には必ず何らかの方向性を示すことになる。『結論ありき』にならないよう、地域と十分に話し合い、時間をかけて進めていきたい」と話している。
 鶴岡市は、16〜45年度の30年間を計画期間とする「鶴岡市公共施設等総合管理計画」を、酒田市より2年遅れて今年2月にまとめた。公共施設等の改修や改築に優先順位を付け、統廃合なども進めて人口減少社会に備える。
 しかし、同計画では整備の優先順位の付け方や個別施設の存廃の判断基準など、最重要課題には踏み込んでいない。施設の廃止など、地域にとってマイナスとなる施策が行われるとなれば、地域から強い反発も予想される。このため、各論に当たる個別施設計画は、各施設の所管課が、住民との間で合意形成を図りながら慎重に作っていくことになる。

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