郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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三セク決算㊤
経営形態の抜本的見直しが課題
酒田・鶴岡市会社法法人 赤字は1社減り11社中1社

 酒田、鶴岡両市の第三セクターのうち、それぞれの市が資本金の25%以上を出資する会社法法人の11社中1社が2016年度決算で単年度赤字を計上し、4社が総額で8401万円の累積赤字を抱えていることが分かった。単年度収支が赤字の会社は前期の2社から1社減ったが、累積赤字の総額は426万5千円5・3%増えた。収支は全体的に改善傾向となっているが、経営形態の抜本的な見直しは避けて通れない課題となっている。今年度からは遊佐、庄内、三川の庄内3町が抱える三セクの決算状況も見ていく。(本紙取材班)

酒田 収支改善も環境厳しく

 酒田市が出資・出捐(寄付)するか有価証券を保有している法人と地方公社は、17年3月末現在、計62団体と16年3月末時点から2団体増えた。駅前開発の事業主体・光の湊(株)の有価証券を保有し、山形県若者定住支援基金に出捐したことによる。内訳は出資が12団体、出捐が23団体、有価証券の保有が27団体。
 それらのうち酒田市が資本金の25%以上を出資し、筆頭株主になって施設運営を担う会社法法人は前期と同じ計5社=下表参照=。
 この5社の16年度決算を見ると、単年度収支で赤字を計上したのは、前期から1社減って1社だった。
 酒田まちづくり開発(株)は前期の黒字から一転、大幅な赤字に転落した。一方、ひらた悠々の杜(株)と(株)最上川クリーングリーンは、前期の赤字から黒字に転換した。鳥海やわた観光(株)は6期連続、酒田駐車ビル(株)は9期連続で黒字を計上した。
 5社中3社は累積赤字を抱え、その総額は前期比9・5%増の7561万3千円。2社の赤字幅は縮小したが、1社の赤字幅が拡大したためで、三セク各社を取り巻く厳しい経営環境を浮き彫りにした。
 同市は25%以上の出資法人を対象に、今後のあり方を判断する指針を17年度内に作る方針。三セクは、設立目的やその達成状況、市が主体的に関わるべき事業かなどを再検証する必要がある。そして類似施設の統廃合や民営化などを含め、より効率的な経営形態を検討していくことは避けられない課題となっている。

鶴岡 当期赤字の法人はゼロに

 鶴岡市が出資・出捐、預託、株式を保有する会社法法人や民法法人、有限会社、組合、協会、基金などは、17年3月末現在58団体・基金で、前年3月末と変わらなかった。
 16年度中は2増2減で結果的に増減無し。新たに湯野浜源泉設備保有(株)、(株)庄内運転者育成学園の株式を取得した半面、朝日観光開発(株)は清算完了、国保診療報酬支払基金は役割を終え預託金返還となった。
 58団体・基金のうち、市の持ち株比率が25%以上で、市が筆頭株主となっている会社法法人(株式会社)も前年度と同じ6社。各社の16年度決算の状況は3面表の通り。当期純損益が赤字の会社は無くなり、前期より改善した。累積収支(繰越利益剰余金)が赤字状態にあるのは前期同様1社。
 事業委託料や補助金など、各社に対する市の支出総額は1億6544万円となり、前期比4・1%減となった。
 市は特に利用が低迷する日帰り温泉施設やスキー場などの管理運営を担う第三セクターに、引き続き▼経営改善の取り組みを求める▼事業継続の是非を総合的に検証・検討するとしている。しかし、存続か統廃合かの判断基準作りに着手できていないのが実情。


客足は各施設でばらつきも
問われる各社の経営手腕

 庄内地域の各自治体に整備されている温泉施設では、入浴客の減少傾向が強まる中、事業の多角化や経費削減などを進めて単年度黒字を確保した。一方、物産販売やレジャー施設などは単年度黒字となっているが、利幅が縮小するなど、決して楽観できる状況にはない。人口減少のテンポが加速し、住民ニーズも多様化している状況下、これまでにも増して各社の経営手腕が問われてきそうだ。

温泉入浴施設 入浴客の減少傾向強まる

 酒田市で温泉施設を運営する三セクは2社。温泉施設アイアイひらたを管理運営するひらた悠々の杜(株)は、単年度収支が22万1千円の黒字、累積収支(繰越利益剰余金)は2272万9千円のマイナスとなった。
 売上高は1億461万9千円で前期比121万円1・2%減。温泉入浴収入が4167万6千円で同211万3千円5・0%減。9月13日〜10月4日にサウナ室と露天風呂床を改修したことが減収につながった。
 食堂や宴会での飲食収入は3285万4千円で同119万4千円増。温泉休館中も食堂は開いていたことと、10月以降に法事の会食が増え、団体客が7650人で同410人5・3%増えた。直売所収入は812万7千円で、同94万3千円下回った。
 販売費及び一般管理費は8265万2千円で、管理費のうち最も大きい水道光熱費が2131万5千円と同162万8千円減。入湯税は856万4千円で同72万9千円減。負担が大きい水道光熱費が減ったことが、黒字化に影響した。
 入浴者数は11万9千人で同1万人減ったが、例年1カ月約1万人が入ることから、休館中の減少とみており、ほぼ横ばいの状態。
 入浴者数や収入はほぼ横ばいだが、減少傾向にある。評判の良かった10月のオープン記念日イベントや、回数券の割引販売などを続けて集客する。
 八森温泉ゆりんこの管理運営などをする鳥海やわた観光(株)は、単年度収支で720万4千円の純利益を計上したが、利幅は851万4千円だった前期から131万円15・4%減った。売上高は6億4397万4千円と、前期比2112万8千円3・4%増えた。
 この結果、累積収支は1254万7千円と、534万3千円だった前期の2・3倍に急増した。
 売上を伸ばした主な要因は、中核事業のヨーグルト工房鳥海の売上が2億3660万円と、前期比2171万円10・1%増えたこと。ヨーグルト工房鳥海では、東京や大阪、埼玉県浦和、大宮両市などの商談会・催事などに積極的に参加。その結果、バイヤーとのつながりができて受注が増え、製造量は56万1693kgと前期比9・8%増えた。
 一方、各施設が苦戦した実態は、利用者数の推移に表れている。▼八森温泉ゆりんこ18万1815人、前期比5・1%減▼八森自然公園5万0866人、同1・7%増▽産直たわわ4万3582人、同1・4%増▼湯の台温泉鳥海山荘3万3120人、同0・0%▼鳥海高原家族旅行村2万4772人、同11・5%減。ゆりんこの入浴客数は前期比5・7%減の16万0680人。16年7月12日〜8月5日の休業が響いた。
 鳥海高原牧場は16年度途中に職員の交代があり、管理の見直しなど改善に努めた結果、生乳販売量を増やし、子牛販売頭数も伸ばした。一方で販売費と一般管理費は3億9837万4千円と、前期比1061万1千円2・7%増えた。
 鶴岡市で温泉施設を運営している三セクは3社。ぽっぽの湯を管理運営するふじの里振興(株)の収益は、226万9千円で前年度比188・7%増と大幅に増え、2期連続の黒字となった。しかし累積収支は、依然として839万7千円の赤字。
 黒字の要因は、原油価格の下落による燃料費の低下や、食堂と宴会の仕入れを見直すなどして支出を抑えたこと。一方、売上は1億2215万2千円で前年度比2・3%減。入浴者数が20万1038人と前年度より1・5%減ったことなどが響いた。
 温泉施設ゆぽかを管理運営する(株)ゆぽかは、収益が104万9千円で前年度比64・5%減の大幅減だが、6期連続の黒字を確保した。
 9月に予定する浴室の天井修理費1800万円を引当金として前倒ししたことが主な要因。収入は、食堂、宴会、売店部門が好調で1億9082万1千円と、前年度より0・6%増えた。
 一方、入浴者数は23万4113人で前年度比4・2%減。天井の応急修理で12月に4日間、臨時休業したことが響いた。
 温泉施設ゆ〜タウンを管理運営する(株)くしびきふるさと振興公社は、収益が59万3千円で前年度比60・7 %減だが、6期連続の黒字。
 たらのきだいスキー場の営業日が雪不足で大幅に減り、スキー場ロッジの利益が15年度の120万円の黒字から、16年度は6万6千円の赤字に転落したことが、収益を悪化させた。
 一方、入浴者数は13万9420人で前年度比0・7%増とわずかながら増加に転じ、食堂部門も増益と好調だった。次回入浴割引券を配るなどして再利用を促したことが、入浴者数を押し上げた。

物産販売 大幅減益も黒字1千万円

 鶴岡市早田の道の駅あつみしゃりんを管理運営する(株)クアポリス温海の16年12月期決算は増収減益となった。売上高は2億6755万円で前期比3・2%増、当期純利益は1000万円で同31・7%減と3期ぶりの大幅減益。
 減益の主因は▼正規職員、臨時職員の増員と待遇改善▼全国豊かな海づくり大会連携行事、開設25周年記念行事などの経費負担等。
 しかし、収益力は庄内の三セクの中でトップクラス。累積収支も、他を圧倒する1億1674万円の黒字。唯一固定資産税を負担する。
 物販売上高は、年間を通して天候に恵まれたこともあり、2億3860万円で前期比3・8%増えた。特に第1四半期の1〜3月は積雪が少なく、車の往来が多かったことから堅調に推移し、冬場としては珍しく黒字を積み上げた。市のふるさと納税返礼品に採用された「あつみ豚詰め合わせ」が下支えし、前期比2・5倍の約1500セットを発送した。
 食堂や屋外バザール、立そばなどテナントからの施設利用料は1947万円で前期比3・2%減、鼠ケ関マリーナなど施設管理に伴う受託料は947万円で同2・4%増となった。

レジャー施設 ボルダリング9千人が利用

 (株)月山あさひ振興公社の17年3月期決算は、売上高が1億1456万円で前期比4・4%増、当期純利益が222万円で同11・0%増の増収増益。春の大型連休、夏、秋の行楽シーズンなど繁忙期が好調だった。
 旧アマゾン自然館は、ボルダリング施設に衣替え。休憩室、喫茶室を設け、関連商品も販売する「梵字の蔵」として4月21日に開館した。利用者は年間約9千人に上り、冬も月約600人が訪れた。
 増収は2期ぶり、増益は2期連続。繰越利益剰余金は1028万円で前期比27・7%増。鶴岡市からの事業受託料は1479万円で同21・3%減、補助金はゼロだった。
 部門別売上高は、湯殿山スキー場が6159万円で前期比3・1%増、大梵字関連が2104万円で同12・4%減、入館料・商品販売・喫茶は1403万円となった。そば処大梵字は、プレミアム付き観光券や商品券を利用する客が多かった前期の反動で客足が減った。

黒字化も顧客獲得が急務

 最上川河川敷の最上川カントリークラブを管理運営する(株)最上川クリーングリーンは、単年度収支1222万5千円の黒字で、前期189万5千円の赤字から転換した。内訳の大半を占めるのが、会員の権利放棄による預託金の債務免除益1156万円で、実際の収入はない。
 業務費及び一般管理費は6107万8千円で前年対比364万9千円5・6%減。水害等の被害が無くコース修繕費がかからなかったことと、大きな設備投資を行わなかったことが、経費削減につながった。繰越利益剰余金は2809万8千円の赤字だが、債務免除益と管理費削減で、前期4032万4千円の赤字から大幅に改善した。
 売上高は、6484万5千円と、同123万4千円1・9%減。来場者数は1万6155人で同435人2・6%減。会員の高齢化による体調不良と死去、天候不良による2月冬期プレー、4〜10月の早朝、薄暮プレー者の減少が影響した。
 今年度からは、1年ごとに契約を更新でき、体調に不安がある高齢者や若い世代でも入会しやすい「年次会員」制度を導入し、新規顧客の獲得を目指す。

観光・まちづくり 単年度収支で大幅損失

 観光施設の山王くらぶと旧鐙屋などを管理運営する酒田まちづくり開発(株)は、単年度収支1898万3千円の純損失を計上し、11万9千円の前期黒字から赤字に転落した。売上高は3732万6千円と、前期比9813万7千円72・4%の大幅減となった。累積収支は2478万6千円のマイナスと、前期から1898万3千円拡大した。
 純損失を計上した主な要因は、管理運営を15年度で終えた宿泊入浴施設眺海の森さんさん、天体観測館、眺海の森スキー場の清算処理に要する費用がかさんだこと。消費低迷や有名観光地への一極集中が進み、環境が年々厳しさを増していることもある。
 13年度から指定管理者となった山王くらぶの入館者数は1万7394人と、前期比2200人11・2%減った。同様に旧鐙屋の入館者数は1万0773人で同1920人15・1%減った。
 西村修代表取締役は「赤字を出してしまったが、経営的に問題はない。事業縮小を機に、まちづくり会社本来の役割に立ち返り、まちなかの活性化に資する事業を進めていく。すでに旧北都銀行ビルの開発構想に着手し、まちなか居住とにぎわい創出を兼ねたような複合施設を整備していきたい」と話している。

不動産賃貸 買い物客の駐車減り収入減

 酒田駐車ビル(株)は、売上高が6564万6千円で前年比7・0%減、単年度収支は8万円の利益。累積収支は474万2千円となった。売上の内訳は、駐車料金収入が4068万5千円で前年比10・5%減、家賃収入が2496万2千円で同0・7%減。酒田市からの事業受託料や補助金は無く、駐車料金収入の落ち込みが全体に響いた。
 年間の駐車利用台数は23万1749台で前年比6・5%減。このうち月極台数は5万7430台で同9・7%減、マリーン5の買い物客の利用台数は13万4303台と同10・1%減。
 販売費及び一般管理費は6107万2千円で、前年比5・2%減った。この中で最も多いのは支払地代の2165万8千円で前年同額、次いで減価償却費の1563万5千円で同1・5%減、業務委託費840万円で同17・6%減、固定資産税374万6千円、水道光熱費333万4千円など。
 経費の節減も図っているが、同社ではテナント募集に力を入れて家賃収入を確保していく方針。

庄内3町 ふるさと納税売上増加

 庄内町の(株)イグゼあまるめではギャラリー温泉町湯の指定管理や余目駅前の新産業創造館クラッセのテナントとして、同町の特産品や農産物を販売している。売上高は5億1885万円で前年比11・3%増、単年度収支は161万5千円の黒字となった。累積収支はマイナス941万6千円。
 売上の柱は物販事業3億9197万3千円で、売上全体の75・5%を占める。余目駅内のホッとホーム、クラッセ内のなんでもバザールあっでばと本部販売などがあるが、本部販売が3億2452万4千円に上る。これは、庄内町ふるさと納税の返礼品を扱っているためで、16年度は約4万件の納税があった。
 一方、町湯の温泉事業売上は5240万円で前年比4・0%増だが、計画比4・7%減で、単独では赤字となった。採算ラインは入浴者を1日360人と見込むが、年間入浴者10万4937人と1日当たり300人を割り込んだ。
 温水プールのアクア庄内は会員数が600人弱と増加傾向で推移し、単独でも黒字を確保した。子供の水泳教室と高齢者の利用が主だが、プールサイドでのヨガ教室が人気で会員増に貢献した。

売上の5割以上がふらっと

 遊佐町総合交流促進施設(株)は、道の駅鳥海ふらっとやホテル遊楽里、温泉施設あぽん西浜など同町が設置した9施設を指定管理している。売上高は9億3869万円で前年比1・2%増、単年度収支は1241万7千円の黒字。累積収支は2186万円。
 営業成績を見ると、売上高はふらっとが5億2369万4千円、同1・4%増と全体の55・8%を占めた。ここ数年は売上が前年を上回っている。
 遊楽里は2億1279万7千円で同0・4%増。あぽん西浜は同0・7%減の5489万9千円、しらい自然館は同16・8%増の2885万円、西浜コテージは同4・7%増の2827万5千円。
 遊佐町からの事業受託料は計4416万5千円。運営に余裕を持たせて事業を安定させ、雇用の確保を図るため15年度より1200万〜1300万円増額した。

宿泊施設の利用が好調

 三川町のなの花温泉田田などを管理運営する(株)みかわ振興公社は、単年度収支で540万7千円の純利益を計上し、456万円の純損失だった前期から黒字に転換。売上高は2億7019万4千円と、前期比2243万5千円9・1%増えた。累積収支は866万4千円と、325万6千円だった前期の2・7倍に増加した。
 増収増益の要因は、利益率の高い田田の宿の売上が9558万5千円と前期比838万8千円9・6%増えたこと。なの花温泉田田も売上が9404万1千円と前期から557万円6・3%、文化館なの花ホールの売上も7288万1千円と同901万3千円14・1%伸びたことも大きい。
 一方で販売費と一般管理費を1億8985万2千円と前期比202万6千円1・1%増に抑えた。水道光熱費が270万円5・8%減、従業員賞与が219万7千円32・7%減となったことなどが背景にある。
 各施設の利用者も増えた。田田の宿の宿泊者数は1万2709人で前期比1441人12・8%増。宿泊客の内訳は全体の6割を新潟、宮城両県、東京都などからのビジネス客や観光客、帰省客などが占める。県内陸部からの利用も多い。
 なの花温泉田田の入浴者数は20万5949人で、同7711人3・9%増えた。庄内南部地区の日帰り温泉6施設の中で一番の伸び率だった。2年前に直営に切り替えるなど、飲食部門に力を入れた効果が現れた。


庄内の自治体が資本金の25%以上を出資している第三セクター(会社法法人)の2016年度決算

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