郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
Community News Web Site

鶴岡市長選
現新 一騎打ちの公算大
衆院選と連動で接戦の様相

 任期満了に伴う鶴岡市長選は8日の告示(15日投開票)まであと2日と迫った。3日現在、現職の榎本政規氏(68)=同市少連寺=と新人で元農水官僚の皆川治氏(42)=同市森片=のほかに立候補の動きは無く、一騎打ちの公算が大きくなっている。両陣営の最近の動向と、両氏に市の重要課題を聞いた本紙独自アンケート調査の結果を掲載する。(本紙選挙報道取材班)

両陣営、総決起集会で気勢

総決起集会で支援者と握手する榎本氏(9月27日)

総決起集会で支援者と握手する榎本氏(9月27日)

総決起集会で気勢を上げる皆川氏(9月13日)

総決起集会で気勢を上げる皆川氏(9月13日)

 今回の市長選は、新文化会館問題に対する市民の強い批判や不満を背景に、新人の皆川氏の動きが先行する形で進んできたが、衆院解散によって市長選と衆院選がほぼ一体化した選挙戦となり、接戦の様相を呈している。
 榎本陣営は、市議選に出る自民系、保守系、公明系の現職、新人計24人との連携、連動が良くなった。榎本氏は加藤鮎子氏と一緒に市議選立候補予定者の事務所開きやミニ集会に顔を出し、支持を訴えている。保守系候補が同じ方向性でまとまり、相乗効果も生まれつつある。
 9月27日の総決起集会には主催者発表で約1200人が出席した。鈴木憲和自民党県連会長、加藤鮎子氏、志田英紀県会議長、秋葉雄公明党県本部幹事長、丸山至酒田市長、國井英夫庄交コーポレーション社長、酒井忠久致道博物館長、石原純一荘内神社宮司らが応援に駆け付けた。
 一方、皆川氏は市民党を掲げ、市民との対話を重視する市政への転換を訴えてきた。新文化会館の責任の検証と市長報酬の3割削減、学校給食費の段階的な無償化など五つの重点政策と50の政策を掲げる。
 民進党県連、日本共産党県委員会の支援、連合山形の推薦を受け、舟山康江参院議員、阿部寿一衆院選立候補予定者、市議会野党系立候補予定者らと連携する。
 これまでにミニ集会を約50回開き、後援会員は5千人を超えた。現在は個人や企業へのあいさつ回りと毎朝のつじ立ちを中心に活動。6日に連合山形主催の演説会、9日に支援する女性の会主催の演説会を開く。
 9月13日の総決起集会には、主催者発表で支援者1300人が集い、舟山参院議員、民進党の篠原孝衆院議員、岡田新一連合山形会長、村上龍男前市立加茂水族館長らがあいさつした。

路線継続か市民との対話か 本紙独自アンケート調査結果

 本紙独自アンケート調査は9月に行った。質問と回答を下記に掲載。
 鶴岡市の現状を榎本氏は「バイオ関連産業の集積や食文化を基本とする成長戦略で市の発展基盤は整ってきた。これからが花を咲かせる大事な時」と評価した。これに対し皆川氏は「現市政が二枚看板とする施策を通じて市民の暮らしの底上げが実現できた状況にはない」と批判した。
 最優先に取り組むべき課題には、両者とも「人口減少対策」を挙げた。具体策として皆川氏は「県内一の定住・子育て支援策、学校給食費の段階的無料化」を唱え、「市の全事業を点検し、優先度の低い事業を見直して財源を捻出する」と説明した。榎本氏は「子育てや教育にかかる費用負担の軽減、若い人の働く場の確保、UIJターンの推進、高齢者に対する地域交通支援など施策の総動員」を訴えた。
 慶應義塾大学先端生命科学研究所の成果では、両者ともベンチャー企業の輩出を高く評価した。しかし皆川氏が「成果を市民に還元する観点で支援の政策評価を行い、支援内容や水準を検討する。企業誕生の好循環を今後のまちづくりに生かす」としたのに対し、榎本氏は、継続的に企業が誕生して人が集まる好循環と、宿泊・飲食・交通など地域経済への波及効果を維持・拡大するため「引き続き支援する」立場を明確にした。
 ユネスコ食文化創造都市認定の効果と展望では、榎本氏は「食と農の景勝地や食文化観光で本市は国内外から注目を集めている。今後も認定効果やブランドをさらに高め、関連産業の活性化に取り組む」と従来路線の継続を強調。皆川氏は「地元の所得向上や経済の底上げにつながらない事業は抜本的に見直す。産地のレベルアップ、地産食材を使う飲食店への支援など、認定にふさわしい取り組みを行う」と異論を示した。
 新文化会館への市民の批判や管理運営では、皆川氏が「新文化会館は対話に欠ける市政の象徴。運営のあり方は年度内に専門家と市民代表で構成する組織で結論を出す。市民の文化活動の拠点となるように全力を尽くす」姿勢を見せた。榎本氏は「建設の件で市民に混乱を招いた経緯を踏まえ、市長報酬を3割カットする。開館後は市民のさまざまな活動の拠点として、多くの市民に親しまれる施設を目指す」とした。


本紙独自アンケート 鶴岡市長選挙 立候補予定者に重要課題を聞く
鶴岡市長選に立候補を予定する2人に、同市の重要課題について聞いた。掲載は順不同、敬称略。
皆川治 皆川 治(42)
みなかわ おさむ

無所属・新人
元農林水産省職員 宇都宮大学農学部卒 森片

(1)鶴岡市の現状をどのように認識しているか
 現市政は「食文化」と「先端生命科学支援」を二枚看板として施策を進めた。しかしこれを通じて市民の暮らしの底上げが実現できている状況にはなく、新文化会館整備をめぐる一連の過程は、これまでの市の取り組みと意思決定プロセスが市民目線と大きく離れている現状を浮き彫りにしている。

(2)当選したら最優先して取り組む政策は何か
若者・子育て世代に選ばれるまちづくり。県内ワーストの人口減少数に対し、ナンバーワンの定住・子育て支援を導入する。市のあらゆる事務・事業を人口減少問題への対応の観点から厳しくチェックし、優先度の低いものを見直して財源を捻出する。学校給食費は段階的に無料にする。

(3)鶴岡市の人口減少数は県内で最も多くなっているが、若者の地元定着策も含め雇用の確保・拡充に向けた政策はどうするか
 市が発注する事務・事業の分割発注の徹底など、雇用の受け皿となる岩盤産業への支援を強化するとともに、1000万円規模の起業・開業融資制度を創設。企業誘致・立地制度の抜本的な見直しを行う。仕事と雇用に加え、住まいと子育てを含めた若者の地元定着対策を進める。

(4)慶應義塾大学先端生命科学研究所が開設して16年になるが、その成果や鶴岡市への波及効果をどのように認識しているか。今後、鶴岡市はどのように関わっていくべきだと思うか
 鶴岡からバイオベンチャー企業が生まれていることは市民の誇り。他方で、市の投資が具体的にどのように活用されているのか、よく見えないとの声がある。地域経済の振興や雇用の増大など、成果を市民に還元する観点から、バイオ関連産業の発展に向けた支援の政策評価を行い、今後の支援の内容や水準などの方向性を検討する。若者の小さな起業や地元定着など、今後のまちづくりにベンチャー企業が生まれる好循環を生かしていきたい。

(5)鶴岡市はユネスコ食文化創造都市に認定されて2年が経ったが、市の活性化にどのような効果があったと受け止めているか。今後、どのような政策を展開すべきだと考えるか
 認定は種をつなぎ、伝統行事や食事を守ってきた先人たちの血のにじむ努力によって成り立ったもの。食文化創造都市関連事業のうち、イベント重視で農林漁業者や飲食店などの地元の所得の向上や経済の底上げにつながらない取り組みを抜本的に見直す必要がある。東京五輪を見越して産地のレベルアップを図り、給食の地産地消化、地元産食材を使う飲食店、商店街への支援強化を図るなど、食文化創造都市の名前にふさわしい取り組みを行う。

(6)新鶴岡市文化会館は、度重なる建設費の増加や客席数の削減についての説明が不十分であると市民から批判の声が聞かれるが、どのように受け止めているか。こうした声への対応も含め、開館後の管理運営で注力しようと考えていることはあるか
 デザインが重視され、施設整備の成果目標が市民に共有されていない。市民や議会を軽視した説明と対応が繰り返され、新文化会館は成果目標があいまいな「ルネサンス」市政、対話に欠ける市政の象徴になってしまった。駐車場の不足など難題を抱えての船出となるが、専門家と市民の代表で構成する「新文化会館利活用会議」で運営主体などのあり方について今年度中に結論を得て、新文化会館が市民の文化活動の拠点となるように全力を尽くす。

(7)鶴岡市大荒の最終処分場計画について地元住民等から反対の声が上がっているが、どのように対処するつもりか。計画はこのまま進めるべきだと思うか
 現場の意向をよく伺って対応する必要があると考えている。もしもここが最善の適地であれば、地元の理解が得られるように努力したいが、現時点では十分な情報がない。なぜこのような混乱が生じているのか、立地を選ぶ過程、合意形成のプロセスを含めて現市政の取り組みを把握した上で判断したい。

(8)荘内病院の医師確保や経営改善・強化を図るためにはどうすべきだと思うか
 優れた部門の情報や改善が必要な部門の改革の道筋が市民に共有されておらず、ここにも対話不足の問題がある。市民との対話・情報提供を徹底し、ハードとソフトを検証する。官民の役割分担などを踏まえた特色作り、キャリア形成、家族を含めた支援など、医師が働きたくなる環境作りを担当する部署を設置するなど、市民から信頼され愛される施設となるよう充実を図る。

(9)広域合併から間もなく12年になるが、旧町村地区の現状認識と今後の旧町村地区の活性化対策は
 合併前は約50億円規模の予算額のあった旧町村は、支所の体制が縮小され、施設の修繕などは本庁舎の了解がなければ実施できない状況。支所を個性あるまちづくりの拠点とするため、旧町村の実情に精通した職員を配置・育成するために人事制度を見直し、旧町村の人口規模などに応じて10億円規模の「まちづくり未来基金」を創設するなど支所の権限と財源を抜本的に拡充する。

(10)今後の人口減少や市の財政運営を考えると、公共施設の集約・統廃合は不可欠だが、その基本的な考え方とルールはどうあるべきだと思うか
 市民合意の下での施設整備に際し、防災機能等の多面的な機能を持たせるなど復合化を図り、集約と統廃合のデメリットを減らすことが重要。ライフサイクルコストと市民負担の軽減を重視する中長期のインフラ公共施設整備計画を策定する。学校や安全安心な通学路などの長年の懸案事業の実施時期の市民への見える化など予見性を高めて民間の投資を誘発するように取り組む。

(11)酒田市長は羽越本線の整備新幹線化を進める意向を示す一方で、陸羽西線の高速化推進も訴えている。庄内の鉄路高速化に対する考えは
 県などの関係する自治体と経済界などと連携して全力で取り組む。「庄内は一つ」。もっと緊密な連携が必要と考えている。事業費用や完成までの期間などを踏まえて酒田市長とも協議したい。

榎本政規 榎本 政規(68)
えのもと まさき

無所属・現職
自由民主党推薦 中央大学経済学部卒 少連寺

(1)鶴岡市の現状をどのように認識しているか
 バイオ関連産業の集積やユネスコ認定を受けた食文化、出羽三山と松ケ岡の二つの日本遺産認定など、これまで種をまき育ててきた取り組みにより、今後に向けた発展基盤は整ってきた。まさにこれからが花を咲かせる大事な時である。これまでに培ってきた人脈なども生かしながら成長戦略を継続していく。

(2)当選したら最優先して取り組む政策は何か
 最優先すべきは人口減少対策で、このまちの未来をつくっていく若い人たちへの支援が大事である。子育てや教育にかかる費用負担の軽減、若い人の働く場の確保、UIJターンをさらに推進する。また、高齢者に対する地域交通支援など、施策を総動員して人口減少課題の克服を継続する。

(3)鶴岡市の人口減少数は県内で最も多くなっているが、若者の地元定着策も含め雇用の確保・拡充に向けた政策はどうするか
 まちの活力は、若い人たちが生き生きと活躍してくれることで生まれる。若い人の意欲を生かせる雇用の確保が重要になる。サイエンスパークを拡張開発して、バイオ関連企業などの誘致を進めるとともに、食文化を生かして農業・観光・食産業などを振興し、雇用拡大につなげる。

(4)慶應義塾大学先端生命科学研究所が開設して16年になるが、その成果や鶴岡市への波及効果をどのように認識しているか。今後、鶴岡市はどのように関わっていくべきだと思うか
 慶應義塾大学先端生命科学研究所からはベンチャー企業が6社誕生し、雇用は400人を超えている。先端研究から若い優れた企業が繰り返し生まれ、本市に多くの人が集まる流れを継続したい。宿泊・飲食・交通等の経済波及効果も広がっており、これまでに築いた互いの信頼関係を基に引き続き支援する。

(5)鶴岡市はユネスコ食文化創造都市に認定されて2年が経ったが、市の活性化にどのような効果があったと受け止めているか。今後、どのような政策を展開すべきだと考えるか
 食文化はすべての市民や産業が関われるという思いで取り組んできた。農水省の「食と農の景勝地」や食文化観光の取り組みなどで、本市は国内外から注目を集めている。今後も「ユネスコ食文化創造都市・鶴岡」のブランドをさらに高め、関連産業の活性化に具体的に取り組む。

(6)新鶴岡市文化会館は、度重なる建設費の増加や客席数の削減についての説明が不十分であると市民から批判の声が聞かれるが、どのように受け止めているか。こうした声への対応も含め、開館後の管理運営で注力しようと考えていることはあるか
 文化会館建設の件で市民の皆様に混乱を招いた経緯を踏まえ、市長報酬を3割カットいたしたい。ご心配をお掛けしたことは大変心苦しく、今後に生かしていきたい。開館後は、市民のさまざまな活動ができる拠点として、多くの市民に親しまれる施設を目指していく。

(7)鶴岡市大荒の最終処分場計画について地元住民等から反対の声が上がっているが、どのように対処するつもりか。計画はこのまま進めるべきだと思うか
 最終処分場は市民生活に必要不可欠な重要施設である。これまでも地元住民の皆様に説明申し上げてきたが、事業内容の周知が不十分なところもあり、生活環境影響調査や地質調査等の結果報告も含め、引き続き丁寧にご説明しながら進めていく。

(8)荘内病院の医師確保や経営改善・強化を図るためにはどうすべきだと思うか
 医師確保では、首都圏大学からの医師派遣の要請や民間人材紹介会社の活用、医学生への修学資金貸与等を行うとともに、経営改善・強化策では、新たな施設基準の取得等による収入確保や各種経費削減と併せ、医療の質の向上と患者サービスの向上等に取り組む。

(9)広域合併から間もなく12年になるが、旧町村地区の現状認識と今後の旧町村地区の活性化対策は
 旧町村地域にある不安や不便の声を真剣に受け止めたい。合併による財政基盤の安定化や防災対策の充実など、将来にも備えたまちづくりは着実に前進しているので、今後はすでにある地域振興基金40億円を生かして、各地域の課題に関する予算確保も高めていきたい。

(10)今後の人口減少や市の財政運営を考えると、公共施設の集約・統廃合は不可欠だが、その基本的な考え方とルールはどうあるべきだと思うか
 これからの公共施設等の維持管理は大きな課題であり、長期的な視点で更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行う必要がある。そのため、今年2月に「公共施設等総合管理計画」を策定するとともに、改修等に対応する基金も設けて備えをしている。

(11)酒田市長は羽越本線の整備新幹線化を進める意向を示す一方で、陸羽西線の高速化推進も訴えている。庄内の鉄路高速化に対する考えは
 高速で安定した鉄道運行のためには、フル規格の羽越新幹線の実現が最も望ましいと考えている。当面、新潟駅での新幹線同一ホーム乗換を生かすとともに、山形県及び新潟・秋田の両県と連携して政府与党への働き掛けを強めていく。

トップへ戻る