郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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県・酒田市病院機構 16年度決算
9年連続の単年度黒字計上
新たな施設基準で収入増加

 酒田市の日本海総合病院と同病院酒田医療センターを運営する地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構(栗谷義樹理事長)は、2016年度決算で当期純利益約5億8千万円を計上した。単年度収支の黒字は、県立日本海病院と市立酒田病院が統合再編した08年度から9年連続。患者数は減ったものの、新たな診療報酬の加算を算定するための施設基準を取得したことなどが要因となっている。しかし医療圏人口の減少にどう対応していくのかなど、解決するべき課題は山積している。(編集主幹・菅原宏之)

純利益は5億8700万円

表1 山形県・酒田市病院機構の決算概要と患者動向などの推移
 病院機構がまとめた16年度の決算概要(確定値)と日本海総合病院の市町村別患者数は2面の表1、表2の通り。日本海総合病院と酒田医療センターを合わせた総収益は200億0300万円で、15年度比1・1%の減。総費用は194億1700万円で、15年度と同額。総収益から総費用を差し引いた当期純利益は5億8700万円となった。
 黒字幅は、過去最高の8億0900万円となった15年度から2億2200万円27・4%減、と大幅に落ち込んだ。しかし統合再編からの9年間では、15年度と、6億5200万円に上った13年度に次ぐ、過去3番目の高水準となっている。
 内訳をみると、日本海総合病院は当期純利益が6億6700万円で、黒字幅は15年度から2億7千万円28・8%減った。一方の酒田医療センターは当期純損失が8千万円となったが、赤字幅は15年度から4700万円37・0%改善した。
 病院機構は第3期中期計画(計画期間16〜19年度)の中で「営業収支比率と経常収支比率を4年間の合計で100%以上(営業利益と経常利益が黒字になること)にする」ことを目指すとした数値目標を掲げた。
 これを踏まえた16年度計画の収支計画では、目標の純利益を6700万円と設定したが、当期純利益はそれを9倍近くも上回った。
 この結果、「第2期中期目標期間(12〜15年度)繰越積立金」23億6600万円に、「当期未処分利益」5億8700万円を加えた利益剰余金は、計29億5300万円となった。
 このうち23億6600万円は、第3期中期計画期間内に病院施設の整備・修繕、医療機器の購入などに全額を充てる方針。病院機構によると、利益剰余金の一部を使い、現有のものより高精度で患者への負担も少ない「がん放射線治療装置リニアック」を購入・更新する。17年度から建物の増設工事に入り、19年7月の利用開始を見込んでいる。
表2 日本海総合病院の市町村別延べ入院・外来患者数
 病院機構の五十嵐誠一法人管理部長は「医療圏人口の減少が病院経営に影響を及ぼすと見込まれる中、新たな施設基準を取得するなど、収入をどう増やしていくのかは大きな課題。職員の採用でも予定していた人数を確保できない職種もあり、こうした面にも継続して力を入れていく」と話す。

入院、外来ともに減少

 病院機構が単年度収支で黒字を計上できた最大の要因は、日本海総合病院と酒田医療センターの双方で、新たな診療報酬の加算を算定するための施設基準を取得したこと。酒田医療センターの赤字幅が改善したことも収益を押し上げた。
 半面、日本海総合病院と酒田医療センターを合わせた全体の入院と外来の患者数が、ともに15年度から減ったことなどが黒字幅の縮小につながった。
 全体の延べ入院患者数は22万5634人で15年度比310人減、実入院患者数は1万6637人で同188人減った。一方、延べ外来患者数は33万6264人で同5369人減、新外来患者数は2万9603人で同2774人減っている。
 営業収益は、入院収益が129億2800万円と15年度比1200万円、外来収益が48億6800万円と同1億4900万円それぞれ減少。全体では189億5600万円と同1億4600万円減った。
 これに対し営業費用は、給与費が84億0300万円と15年度比6400万円、引当金繰入も同9800万円それぞれ増加。全体では184億3300万円と同5600万円増えた。
 内訳をみると、日本海総合病院の入院収益は119億2千万円で、15年度比7700万円0・6%減、外来収益は48億6500万円で、同1億4900万円3・0%減った。
 入院収益の減は、延べ入院患者数が18万8230人と、15年度比2228人1・2%減ったのが主な要因。
 DPC(包括医療費支払い制度)医療機関群が16年4月にⅢ群からⅡ群となって、基礎係数と暫定調整係数を合わせ0・014上がったことに加え、看護職員夜間配置加算を年間通して算定したことなどにより、患者1人1日当たりの診療単価が6万3328円と同338円増えたが、入院患者数減少による減収分を補うことができなかった。
 外来収益の減は、医療圏人口の減少や紹介状の無い患者が来院時に5千円を支払う選定療養費の影響などから、延べ外来患者数が33万5448人と、同5375人1・6%減ったのが主な要因。高額なC型肝炎治療薬から低額な新薬への切り替えなどにより、患者1人1日当たりの診療単価が1万4504円と同209円減ったことも大きかった。

センターは診療単価が増

 一方、酒田医療センターの入院収益は10億0700万円で、15年度比6500万円6・9%増、外来収益は15年度と同じ300万円。
 入院収益の増は、延べ入院患者数が3万7404人と15年度比1918人5・4%増えたのに加え、休日リハビリテーション提供体制加算を16年度当初から算定したこと、理学療法士などの増員でリハビリ単位数が増えて、患者1人1日当たりの診療単価が2万6933円と同378円増加したことによる。
 延べ外来患者数は816人で、同6人0・7%増。
 県と酒田市からの繰入金は救急医療などの運営分が14億1400万円、建物と医療機器の元利償還分が12億4400万円の計26億5800万円。27億3300万円だった15年度から7500万円2・7%減った。

鶴岡市の患者数増が顕著

 日本海総合病院の延べ入院患者数と実入院患者数、延べ外来患者数と新外来患者数が減少した要因には、医療圏人口の減少が進んでいるという事情がある。
 日本海総合病院の病床利用率は81・9%と15年度に比べ0・7ポイント減少。いかに短縮するのかが急性期病院の経営を左右し、治療能力などの総合力を反映するといわれる平均在院日数は、11・7日と15年度と同日数になった。
 市町村別にみると、酒田、三川の1市1町で延べ入院・外来ともに患者数を減らし、庄内、遊佐の2町で延べ外来患者数を減らす中、鶴岡市からの患者数がどちらも伸びているのが目立つ。
 鶴岡市からの延べ入院患者数は3万0193人で、15年度比2865人10・5%増加した。1万0027人だった統合再編初年度の08年度から約3・0倍に増え、延べ入院患者総数に占める構成比は16・04%と、08年度の6・60%から9・44ポイント上昇した。
 延べ外来患者数も4万5703人で、15年度比4113人9・9%増えた。1万2758人だった08年度の約3・6倍に達し、延べ外来患者総数に占める構成比は13・62%と08年度の5・50%から8・12ポイント上昇している。
 酒田医療センターの病床利用率は89・9%と15年度比4・9ポイント上昇した。平均在院日数も65・4日と同3・8日長くなった。

連携法人18年4月設立へ

 五十嵐法人管理部長は今後の課題に▼医療圏人口の減少を踏まえ、18年4月からの参画を目指している地域医療連携推進法人への対応▼酒田市立八幡病院を18年4月に編入し、無床診療所とする計画への対応▼常勤医師が0〜1人の診療科の医師を中心に、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士などといった不足感のある部門の人材確保―の三つを挙げる。
 地域医療連携推進法人とは、地域の医療・介護施設が緩やかに連携する新型の医療法人。現在、酒田市内の2医療法人と社会福祉法人、一般社団法人の計5団体で設立準備を進めている。参画する法人はさらに増える可能性もあるという。
 今後は12月県議会と同酒田市議会に対し、地域連携推進法人に参画することを盛り込んだ第3期中期目標の変更案を提出し、議決を得たいとしている。
 同法人が設立されれば、グループ内施設間での医療スタッフの相互派遣や医薬品の共同購入、医療機器の共同利用などが可能となり、より安定した人材確保と経費削減を実現できる。
 一方、人材確保についてみると、常勤の医師数は17年4月1日現在で、初期研修医25人を含め計151人。16年同日の145人から6人増えた。しかし皮膚科、内視鏡内科、小児外科の3診療科は常勤医師がいないほか、緩和ケア内科と病理診断科は常勤医師が1人。
 このため皮膚科は山形大学から週3回と教授が毎月1回、小児外科は東北大学から毎月1回出張医という形で応援してもらっている。
 また常勤医師のいる産婦人科や整形外科、消化器内科、精神科でも地元の医師などから応援してもらっており、医師確保には引き続き注力していく。
 看護師数は同613人。16年同日の599人から14人増えた。退職者の補充分を確保するため、今後も継続して採用していく方針。

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