郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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鶴岡・酒田両市議選
選挙戦となる公算強まる
現新が続々と立候補の意向

 任期満了に伴う鶴岡市議会議員選挙(定数28、10月10日投開票)は10月3日の告示が約2カ月後、酒田市議会議員選挙(定数25、10月31日投開票)は10月24日の告示が約3カ月後に迫った。両市議選とも、現時点で立候補予定者が定数を上回る見通しで、流動的な面は残るものの、選挙戦になる公算が強まっている。立候補を予定する鶴岡市の現新合わせて29人と酒田市の同27人は、今後激しい前哨戦を繰り広げていくことが予想されるが、両市の有権者の間からは議員に対する厳しい意見や指摘が聞かれる。文中敬称略。(本紙取材班)

 鶴岡市議会議員選挙   定数28に29人が出馬予定

鶴岡、酒田市議選の動向

 鶴岡市議会議員選挙は、同市長選挙と同じ日程で実施され、衆議院の解散総選挙と重なる可能性も取りざたされている。
 定数は前回選挙の32から4減るが、欠員3の状態が約2年半続いているため、定数が減ったという印象はあまり与えない。19日現在、現職23人、新人6人の計29人が立候補を予定し、現職1人、新人1人がなお考慮中としている。
 現時点で定員を1人上回っており、選挙戦になる見通しではあるが、無投票の可能性も依然としてある。
 住民の意識の変化や人口減少もあり、農村部などでも後継者が見つからないことが多い。議員のなり手不足は深刻で、定数を減らすだけでは解消が難しいことが浮き彫りになっている。
 現職29人の会派別内訳は、自民系の新政クラブが15人、日本共産党鶴岡市議団が5人、連合山形と共闘する市民クラブが4人、公明党が3人、無所属が2人。このうち、新政クラブは小野寺佳克、佐藤文一、野村廣登の3人が勇退を決め、齋藤久が検討中。市民クラブの加賀山茂、無所属の中沢洋も勇退する。
 立候補に向けて準備を進めている23人の内訳は▼新政クラブ=阿部寛、五十嵐一彦、石塚慶、尾形昌彦、佐藤博幸、佐藤昌哉、渋谷耕一、菅原一浩、本間信一、本間新兵衛、本間正芳の11人▼日本共産党鶴岡市議団=加藤鑛一、坂本昌栄、菅井巌、長谷川剛、山田守の5人全員▼市民クラブ=石井清則、小野由夫、田中宏の3人▼公明党=秋葉雄、黒井浩之、富樫正毅の3人全員▼無所属=草島進一―となっている。
 一方、新人はいずれも無所属で、連合山形の推薦を受ける元中学校教諭の南波純、元市職員の工藤博、田川地区平和センターの推薦を受ける遠藤初子、前回出馬した三浦宗平、保守系の中沢深雪、佐藤麻里の6人。女性の立候補者は現職1人、新人3人の計4人に増える。ほかに企業経営者1人が「ぎりぎりまで出馬を検討する」としているが不透明。
 検討中を除く立候補予定者の地域別内訳は、鶴岡地域が21人、藤島地域が3人、羽黒地域と温海地域が各2人、櫛引地域が1人で、朝日地域からは1人もいなくなる。
 鶴岡地域を小学校区別に見ると、市街地の第一学区が4人、第二学区が1人、第三学区が5人、第四学区が2人、第五学区が3人、第六学区が1人、郊外地の大山学区が3人、黄金学区、豊浦学区が各1人となっている。

当確圏は2千票か

 前回選挙では、トップ当選が5000票、最下位当選が1093票と大きな差が生じたが、今回はばらつきが小さくなるとみている関係者が多い。総合すると、当確圏は2000票、当落ラインは1300〜1600票になる。
 菅原一浩・新政クラブ団長は「衆院選と市長選・市議選が仮に重なったとしても、三つの選挙はリンクしないと考えている。市長選も双方が市民党の立場を強調しているし、新政クラブの候補者も個々に応援する対応になる」と話す。
 そして「選挙が三つもあると、市議選が埋没する恐れはある。このような選挙は経験が無いので何とも言えない。市長選・市議選への市民の関心はまだ高まってはいないが、市長選の争点が明確になり、政策論争が活発になることを期待したい」と言う。
 菅井巌・共産市議団幹事長は「市議選では、市民派の新人候補も何人か出るので、自公が多数派を形成するのを阻止したい。衆院選は、政権への批判はあるが風は吹いていない。政治への諦めが感じられ、投票率も上がるか分からない。市長選・市議選との同日選挙でないことを望む」と話した。
 小野由夫・市民クラブ代表は「合併特例期間が終わり、これからは借金の返済が大変になる。個人的には次の4年間は市の財政基盤の確立が重要になると考えている。市民の所得向上策、荘内病院の経営安定化も求められる」と見通す。
 また「衆院選の今の構図は自民対非自民ではなく、市長選も両陣営が市民党を標榜している。この構図が変わらないかぎり、衆院選が同日選挙になっても、市長選・市議選に大きく影響しないのではないか。衆院選への関心が低いので、投票率には影響するかもしれない」と分析する。

市民の立場で行政の監視を

 鶴岡市の60歳代の自営業男性は「ウィズコロナ、ポストコロナの経済対策などで、自治体の財政も大変なことになるのではないか、と心配している。市職員にも議員にも、そのあたりの危機意識が欠けているように思えてならない。
 現職か新人かを問わず、今回立候補を予定している方たちは、市の財政についても真剣に勉強し、当局と一緒に財政健全化を考える姿勢を見せてもらいたい」と要望する。
 同市の50歳代の会社員男性は「市議会で多数派を占める新政クラブが、野党的立場に転じたことで、ある意味、議会が活性化した。大いに結構だが、前市政の時も同じようにやっていれば、文化会館のような問題は起きなかったのではないか。誰が市長であろうとも、常に市民の立場に立って行政を監視し、市長に率直に物が言える議員たちであってもらいたい」と話す。

 酒田市議会議員選挙   勇退4人、立候補30人超か

 酒田市議会議員選挙に立候補の意思を表明、または立候補に向け準備を進めているのは、7月19日現在、現職22人と新人5人の計27人。ほかに現職2人と、元職1人・前職2人を含む新人4人の計6人が立候補を検討している。勇退の意向を示している現職は五十嵐英治、関井美喜男、髙橋正和、本多茂の4人。
 新人の動向を中心に、まだ流動的な面は残るものの、定数を28から25に削減して行われる次期市議選は、7人超の35人が立候補して議席を争った前回選(2017年10月)に続き、乱立含みの激戦になる可能性が高まっている。
 現職の動向を会派別にみると、立候補の意思を表明、または立候補に向け準備を進めている22人の内訳は、▼自民党と公明党からなる最大会派の公成会=安藤浩夫、齋藤直、佐藤伸二、佐藤猛、佐藤善紀、進藤晃、髙橋千代夫、富樫幸宏、松本国博の10人中9人▼保守系で第2会派の志友会=池田博夫、後藤仁、田中斉、田中廣、冨樫覚の9人中5人▼労組系の市政研究会=阿部秀徳、江口暢子、齋藤美昭、佐藤弘の4人全員▼労組系の市民の会=後藤泉、武田恵子の3人中2人▼日本共産党酒田市議会議員団=市原栄子、斎藤周の2人全員―となっている。
 立候補を検討中の小松原俊は志友会、堀豊明は公成会にそれぞれ所属する。勇退の意向を示している五十嵐、髙橋、本多の3人は志友会、関井は市民の会に所属している。
 一方、新人で立候補の意思を明らかにしている5人のうち、遠田敏子は公明党の公認。残る阿彦裕光、伊藤欣哉、後藤啓、髙橋弘哉の4人は、いずれも無所属。現職と新人を合併前の旧市町村別でみると、旧酒田市地域が現職17人、新人3人の計20人。旧3町地域は現職5人、新人2人の計7人となっている。
 大票田の旧酒田市街地のうち、亀ケ崎学区では現職5人による激しい集票争いが展開される見通し。泉学区では現職4人と新人1人が、宮野浦学区でも現職4人がそれぞれ立候補の意思を固めていることから、学区内での支持拡大に向けた動きが活発化するのは必至とみられる。

衆院選への対応に温度差

 次期市議選に向け、立候補を予定する現職議員らが測りかねているのが、今年1月の山形県知事選に加え、国政の影響がどこまで及んでくるのか、ということ。ワクチン接種を含む新型コロナ対策や東京五輪への対応、政治とカネを巡る一連の不祥事などで、政権与党に対する批判が高まっていることが背景にある。
 髙橋千代夫・自民党酒田支部長は「国政による影響が全く無いと言えず、危機感を持っている」との見方を示し、佐藤猛・公明党酒田支部長は「ワクチン接種での不満があり、追い風が吹いてはいない」との認識を示した。
 このため、現職の加藤鮎子氏が立候補を予定する次期衆院選山形3区への対応も複雑で、「加藤氏の選挙には協力していくが、逆に(鮎子氏からの)応援を受けるのかどうかは個々の判断に任せている」(髙橋自民党酒田支部長)と話す。
 富樫幸宏・公成会長も「(加藤氏とは)お互いに協力していくが、所属議員の間にそれぞれ温度差があることも事実」と解説した。
 これに対し齋藤美昭・市政研究会長は、国政のような自民党への逆風は酒田市ではあまり吹かないと考える、とした上で「次期衆院選では、現職の信任投票のような戦いでなく、県3区で野党統一候補をしっかり擁立できれば連携して活動でき、票の上積みも期待できるのだが」と擁立作業が進まない現状を嘆いた。
 複数の立候補予定者の話を総合すると、次期市議選の争点には①新型コロナで疲弊した地域経済の立て直し②酒田港を活用した次世代型エネルギーや洋上風力発電などの誘致促進③マリーン5清水屋の建物の活用方策④企業誘致による雇用の創出⑤人口減への対応⑥コロナ禍の市民への生活・経済支援⑦酒田共同火力発電所の休廃止への対応―などを挙げた。
 当落ラインは、定数削減に加えて、新人の立候補も多数予測されていることから、「立候補予定者が確定しなければ読みづらい」と話す現職議員は多い。
 前回選では、最下位当選者の得票数は1077票だった。これを踏まえ齋藤市政研究会長は「酒田市の人口減少を踏まえても、当落ラインは前回選の千票余りから1200票前後に上がる可能性がある」とみる。
 共産党酒田市議団の斎藤市議は「確実に当選できるラインは1500票、安定して当選できるのは1800〜2000票台」と指摘した。

市民の声もっと吸い上げて

 前回酒田市議選の投票率は57・74%で、市町村合併前の旧市時代を含め、過去最低だった前々回選(13年11月)の54・36%を3・38ポイント上回ったが、低投票率から抜け出せていない。
 次期市議選に立候補を予定する非自民系のある現職議員は「次期衆院選から続く選挙疲れが怖い。市長選と同時日程ではない市議選は一般的に盛り上がりに欠けるとしても、投票率が55%前後では、市議会が信任されたのかどうかと考えざるを得ない」と話した。
 次期市議選に対しては、市民の間からさまざまな意見や要望が聞かれる。
 酒田市の60歳代の主婦は「日ごろの市議会議員の姿が見えず、自分にとって身近な議員がいないため、市議選に対しての関心が低い。毎回、投票には行っているものの、だれが当選しても何も変わらないのではないか、と感じている」と言う。
 そして「政策や市の施策に対してはっきりとした主張をし、市全体の活性化のためにばりばり働いてくれる人を選びたい。市長と緊張感を持って対峙する議会を望む。そのためにも、議員は普段から街なかを歩いて市民の生活の実態を見聞きし、話を聞いてもらいたい。市長も市議も市民の代表というが、選挙の時に出てくるだけで、市民の声をどこでどう吸い上げているのか分からない」と指摘する。
 60歳代の会社役員は「コロナ対応を通して、議員は市民と一緒に巣ごもりをしているように見える。それはおかしい。こういう時こそ逆に、市民の意見を吸い上げ、市政に反映させるよう、活動を活発にするべきではないのか」と批判する。
 70歳代の会社経営者は「危機管理の第一歩は情報公開。新型コロナへの対応を見ても、酒田市から市民に発信される情報は他市に比べ少ないように感じる。市議会は市当局に対し、もっと情報公開を徹底するよう、求めていくべき」と話した。
 20歳代の男性は「酒田市議会では否決することが無く、市長任せにしている、意見を言える人が少ない、という印象がある。また議員になる人は60〜70歳代が多く、酒田の将来を担う若者にとって、市議は遠い存在に思える。盛岡市では20歳代の議員が当選し、SNS(会員制交流サイト)や動画配信サイトなどで議会活動を発信している例もある。もっと若い人が立候補するようになってほしい」と話した。


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