郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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山居倉庫
土産品販売の移転に反対決議
夢の俱楽納入業者会が総会で

 酒田市が、山居倉庫内での土産品販売(物販)をやめて旧商業高校跡地に移す考えを示していることに対し、山居倉庫内の同市観光物産館・酒田夢の倶楽に土産品を納めている事業者の団体「酒田夢の倶楽協力会」(梅田光隆会長、会員141人)は、9月22日に酒田勤労者福祉センターで臨時総会を開き、山居倉庫から移ることに反対することを全会一致で決議した。協力会では決議内容を同市議会と市に提出する意向を示している。(土田哲史)

不満続出、史跡指定は何のため

 臨時総会には出席62人、委任状49人の計111人、約79%が参加した。「酒田夢の倶楽での営業を続けたいことの確認」を議題とし、市が山居倉庫から商業高跡地に物販を移す考えを示していることに対し、会員の意見を求めた。
 会員8人が、市の方針や対応に批判や不満を述べた。市の方針に賛同する意見は無かった。
 飲食店関係の会員は「(移転を)市から正式に言われたことが一度も無い。納入業者に何かしら打診があってもいいのではないか。観光客がたくさん来ている山居倉庫というものがありながら、近代的な施設を別に建てて何が魅力になるのか。山居倉庫は12棟あるので、活用を考えてもいいのではないか」と述べた。
 菓子製造業の会員は「国の史跡になって何かメリットがあるのか。山居倉庫で商売ができなくなるのなら、史跡指定を取り消してもらったほうがいい。建物を残して人を残さない。市はどこを見ているのか。人がいない建物は劣化するという。酒田市民が利活用する方法を考えるべき」と批判した。
 食品製造業の会員は「観光客目線で見ると、山居倉庫の景観を利用したほうがいい。商業高跡地に車を止めて山居倉庫まで歩くことは考えられない。酒田は商人の町。費用対効果を考えるべきだ。市外の業者に入ってこられるより、市内の業者が有効活用する方がいい。(物販が)商業高跡地に移るのに、市が移転の条件を(協力会員に)提示しないのもおかしい」と話した。
 別の会員は「史跡になると、なぜ出ていかなければならないのか分からない。夢の倶楽は酒田に特化した商品だけを売っており、誇るべきもの。商業高跡地では同じようなことはできないと思う」と指摘した。さらに別の会員は「山居倉庫はみんなで作り上げてきた。いきなり移転しろというのはどうかと思う。夢の倶楽だけの問題ではなく、酒田市民の問題でもある」と話した。
 その後、全会一致で議題を採択した。
 協力会では、10月中に臨時総会の議事録を酒田市議会に提出し、市議会や市に移転中止を働き掛ける意向を示している。

市、方針変えず着地点探る

 佐々木好信・酒田市地域創生部長は、協力会員から不満の声が出ていることに「山居倉庫は観光施設であったが、国の史跡として歴史を伝える施設に生まれ変わる」と話し、物販を山居倉庫から商業高跡地に移す方針は変えない、と本紙の取材に答えた。
 商業高跡地への物販の移転は、酒田観光物産協会とは2018年ごろから話し合ってきた、と説明する。しかし、「協力会への説明は今年7月に行った。配慮が足りなかった。会話のキャッチボールを重ねて、ご理解いただけるようにしたい」と陳謝した。
 そして、10月下旬に公表する商業高跡地の開発事業者の公募要件に、協力会員が現在支払っている委託販売手数料21%の維持や売り場面積の確保など、協力会員が不安視している問題を解消する内容を入れられないか詳細を詰めている、と話した。
 公募要件なので事前にどこまで公開できるか課題はあるが、「協力会と話し合い、協力会の意向を公募要件に盛り込むことで解決策を見いだしたい。協力会の皆さんが苦しむようなことにはしたくない」と話した。

商業高跡の開発業者、今月公募

 市が21年度に策定した酒田商業高校跡地活用基本構想によると、商業高跡地約2万883平方メートルには、観光客向けの土産品販売・飲食・サービス業、市民向け生活雑貨・書物などの店舗、庄内みどり農協の産直施設などを導入する。
 市は商業高跡地を民間事業者に貸し出し、貸付料を徴収する。民間事業者が開発資金を調達し、運営も行う。市は24年度中の開業を見込む。
 商業高跡地を開発する民間事業者の全国公募は10月下旬に始め、来年2〜3月の公開企画発表を経て、今年度内に開発業者を決める。企画提案方式での選定を想定し、すでに市内と県外の数社から問い合わせがある。
 山居倉庫は、文部科学省の国史跡指定を3月に受け、市は保存活用していくための基本方針や方法、現状変更の取り扱い基準などを含む保存活用計画を、21、22年度の2年間で定める。計画を策定する山居倉庫保存活用計画策定委員会を10月26日に開き、年度内に2回の会合を予定する。
 酒田夢の倶楽は、市が酒田観光物産協会に指定管理を委託しているが、23年3月に契約期間が終わる。協力会員が商業高跡地で土産品を売る場合は、商業高跡地を運営する民間事業者と、個別にテナント契約や委託販売契約を結ぶことになる。
 酒田夢の倶楽は、市が建物を所有し、酒田観光物産協会が指定管理者のため、同協会が市に支払うテナント料が発生しない。このため同協会は協力会員の委託販売手数料を21%と低めに抑えてきた。しかし、協力会員が個別に商業高跡地を運営する民間事業者と土産品の委託販売契約を結ぶ場合、民間事業者にテナント料が生じるため、委託販売手数料が大幅に引き上げられる可能性がある。

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