郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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旧清水屋の破産手続き
隣の酒田駐車ビルが競売の可能性
丸山至市長は「受け止める」考え

 酒田市の中心市街地で集客の核店舗として市民に親しまれ、昨年7月に閉店した百貨店「マリーン5清水屋」の破産手続きに絡み、隣接する同市の第三セクター「酒田駐車ビル(株)」(堀正彦代表取締役)の建物と土地が不動産競売にかかる可能性のあることが分かった。駐車ビルは酒田大火後に中心市街地の復興を目的に1978年3月に設立し、市が筆頭株主になっている。丸山至市長は2日の定例会見で「今後の動向を注視していくが、不動産競売にかかる状況になるのであれば、受け止めるしかない」との考えを示した。(編集主幹・菅原宏之)

清水屋が約1億円の債権保有

地図

 破産管財人の加藤栄弁護士(同市北新町1丁目)が、4月25日に山形地裁酒田支部であった第2回債権者集会で明らかにした。マリーン5清水屋を運営していた(株)マリーン5清水屋は、昨年8月中旬に同支部から破産手続きの開始決定を受けた。破産管財人には、藤井正寿弁護士(同市東泉町4丁目)も選任されている。
 債権者に配布した報告書や加藤弁護士などによると、マリーン5清水屋は駐車ビルに対し、建設協力金6900万円と権利金3千万円の計9900万円に上る債権を保有している。
 しかし駐車ビルの現状は、
 ①マリーン5清水屋と駐車ビルとの間の契約には、毎年100万円ずつ返済するとの合意はあるが、期限の利益喪失条項が無く、駐車ビルがいくら遅滞しても、マリーン5清水屋は累積遅滞額しか請求できない。このため、いつになっても債権額9900万円の全額を請求することができず、全額請求が可能になるのは98年後になる。
 ②駐車ビルは、入居していたテナントの大部分が既に退去し、広い床面積を賃借しているテナントも今年夏に退去・移転する。経営を継続するためには、貸しテナント部分の新たな賃貸と、それに伴う本格的な改修工事も必要になる。
 ③駐車ビルは、貸しテナント部分の有効活用を図れない場合、財務内容は欠損が拡大すると予想され、その状態が継続すれば破産を回避することは困難になる。仮に破産した場合、マリーン5清水屋は駐車ビルの建物の主要部分と敷地面積の半分以上に抵当権を設定しているため、不動産競売を申し立てることが可能となる―などと報告した。
 そしてマリーン5清水屋が抵当権を設定している不動産は、駐車ビルが所有している建物の主要部分と敷地面積の半分以上にとどまらず、酒田市、同市内の1株式会社、数人の個人が所有している敷地の一部に及んでいる、とも説明した。
 加藤弁護士は「できれば任意売却を進めたいが、不動産競売を申し立てる場合は、駐車ビルに酒田市、同市内の1株式会社、数人の個人も当事者に加えた形になる可能性が高い」との見通しを示した。

三セク存続の増資はしない

 これに対し丸山至市長は定例会見の席上、駐車ビルはテナントの借り手がなかなか決まらず、今後の経営は厳しさを増すだろうと指摘した。そして「債権処理の動向によっては、駐車ビルが大きな影響を受けることは理解している。存続が困難になる危惧もあることから、(動向を)注視していきたい」と述べた。
 その上で駐車ビルは一定程度その役割を果たしてきているとの認識を示し「存続のために増資などを行うことは、一切想定していない。不動産競売にかかる状況になるのであれば、受け止めるしかない」と語った。
 酒田駐車ビルは、主にマリーン5清水屋の買い物客の利用を見込んだ駐車場経営と、貸しビル業を手掛けている。当初2千万円だった資本金は増資を繰り返し、現在は1億9380万円。このうち市は30・4%に当たる5900万円を出資し、筆頭株主になっている。
 同社の2020年度の売上高は前期比7・6%減の4957万9千円だが、純利益は1090万円の黒字を確保した。累積欠損金は316万5千円、長期借入金は2206万6千円。

建物土地を特定企業に売却

 加藤弁護士は債権者集会で、マリーン5清水屋の建物と同社所有の土地(敷地の一部)を一緒に、この区画で再開発を計画している特定企業に売却したいとの考えも報告した。特定企業の購入目的は、建物の解体と新たな建物の建築という。
 特定企業を含めた複数の関係者は本紙の取材に、まだ流動的としながら「構想の一つとして、敷地を2分割して、テナントビルと居住人口を増やすためのマンションを建設する。酒田駐車ビルが所有する建物の主要部分と土地を取得し、改修して使うことも念頭に置いている」と話した。
 マリーン5清水屋の建物の敷地には、地権者が計10人いる。特定企業は、破産管財人からマリーン5清水屋の建物と敷地の一部を購入し、ほかの9人の地権者全員から残る敷地のすべてを購入しなければならない。
 このため破産管財人、特定企業、駐車ビルの3者が9人の地権者と交渉しているが、「現時点で地権者全員の同意を得るには至っていない」と報告した。
 売却時期を加藤弁護士は「特定企業からは、破産手続き開始決定から2年以内にめどを付けて、と要望されている。それを過ぎると投資価値が無くなるとも言われており、来年8月までに売却したい」と説明した。
 マリーン5清水屋は地権者1人に敷金計2千万円を預けているが「売却できた場合は、8割程度の回収が可能になり、大きな収入になる」とも話した。
 こうした動きに市民の間からは、跡地の活用策に期待の声が聞かれる一方、「関係者には、後世に禍根を残すことがないよう、公平で公正な対応を望みたい」との声も上がっている。

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