郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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ピーク時から1000事業所減少
酒田商工会議所 会員減に歯止めかからず

 酒田商工会議所(弦巻伸会頭)で会員数の減少傾向に歯止めがかからない。今年4月時点の会員数は1832事業所と、過去最多だった25年前の1997年3月に比べ千事業所近く減っている。同会議所では3月にあった通常議員総会の際、一部常議員から事務局の運営体制や1役員の会員資格を問題視する声が上がるなど、会員内のきしみも顕在化した。これに対し会員企業の間からは「コロナ禍や原油高などで地域経済が疲弊する中、役員には会議所への信頼に揺らぎが生じないような言動が求められる」と指摘する声が聞かれる。(編集主幹・菅原宏之)

会員内のきしみ顕在化

運営体制や会員資格問題で緊迫した通常議員総会
運営体制や会員資格問題で緊迫した通常議員総会

 酒田商工会議所によると、今年4月時点の会員数は10年前の2012年3月の2121事業所に比べ、289事業所13・6%減った。これまでで最も多かった97年3月の2813事業所に比べれば、981事業所34・9%も減少している。
 同会議所を含む県内7会議所の今年4月時点の会員数は、山形が3641事業所で最も多く、次いで米沢の2467事業所、以下、酒田、鶴岡1720事業所、天童1530事業所、新庄1123事業所、長井848事業所が続いている。
 最新の公表資料となる16年6月の酒田市の事業所総数5615事業所に占める、今年4月時点の会員数の割合(組織率)は32・6%と試算できる。
 これに対し01年同月の同市の事業所総数7267事業所に占める、97年3月の会員数の割合は38・7%と試算でき、この25年間で6・1ポイント低下していた。
 同会議所を含む県内7会議所の今年4月時点の組織率を試算すると、米沢が54・8%で最も高く、第2位が長井の53・3%、以下天童50・0%、新庄47・4%、酒田、山形27・7%、鶴岡26・3%の順だった。
 酒田市内では第3次産業を中心に創業の動きが見られる一方、後継者不足に伴う廃業も増えているという。
 会員の増強に向け加藤俊一同会議所専務理事は「従来からの商工業者だけでなく、地域内でクリニックを運営する医療法人や、介護施設などを手掛けている社会福祉法人などへの働き掛けを強めていく」と話す。
 そして「酒田商工会議所は会員からの意見を集約して県商工会議所連合会、東北六県商工会議所連合会、日本商工会議所を通じて政府に伝えることができる。それが全国515会議所のネットワークを使った強みで(会員増強にも)これを強く訴えていく」と話した。

離職は職場環境要因か

 同会議所を巡っては、3月24日に酒田産業会館であった通常議員総会の席上、一部常議員から事務局の運営体制を問題視する声が上がったが、4月以降は「職員数、職場環境とも改善されつつある」(同会議所役員)状況となっている。
 同会議所事務局によると、通常議員総会時点の職員数は計15人。内訳は正職員10人、心労が原因で休職中の正職員1人、アドバイザー1人、臨時職員2人、嘱託職員1人だった。
 その後、3月末で事務局長兼総務企画課長と経営相談課長、主事の正職員3人が定年を待たずに退職し、アドバイザーも退任、臨時職員2人のうち1人も契約期間満了で離職した。
 それが今年4月時点の職員数は2人増えて計17人。内訳は新たに加わった専務理事、出向から復職した事務局長兼総務企画課長兼経営相談課長、新規採用を含め正職員12人、休職から復職した正職員1人、新規採用の2人を含む臨時職員3人、嘱託職員1人。このうち正職員1人は4月下旬から産休に入っている。
 複数の関係者の話を総合すると、退職・休職を合わせ離職者が多数出たのは、一部管理職と職員との間に亀裂が生じていたことなど、会議所内の職場環境が主な要因だったとみられる。
 加藤専務理事は今後について▼社会保険労務士から労務診断で職場内の問題点を洗い出してもらう▼職員の出退勤を管理できる仕組みを検討する▼以前は出しにくかった残業申請を出しやすくするーことを挙げ、「職場環境の改善を実現していきたい」と話した。
 通常議員総会では、一部常議員から離職者が多数に上る状況に「事務局の業務量を把握しているのか」「管理職の残業時間が多くなっているのではないか」などと、運営についての指摘や質問が相次いだ。

会員資格巡り総会が緊迫

 通常議員総会では、1役員の会員資格を問題視する指摘も出たが、これを取り上げた常議員が4月19日の定例常議員会で謝罪したことから、事態は収束に向かいつつある。
 同常議員は通常議員総会で役員の任免を定めた同会議所の定款に言及し「(役員が)今在籍している会社は元の会社とは別で、酒田商工会議所の会員になってはいない」と指摘した。
 これに対し弦巻会頭は「この場で話題にするのは適切でなく、後で確認する。皆さんの面前で話題にしているが、事実と違っていたらどうするのか」と迫った。
 同常議員は「(事実と違っていた場合は)議員総会の場で謝罪する。『会員としてふさわしくない言動』ということで、退会になることも理解した上で申し上げている」と反論するなど、両者の間で緊迫したやり取りが交わされた。
 複数の関係者によると、今回の背景には法律に基づく事業承継の問題があり、加藤専務理事は「後継者不足に直面する中小企業にとって、この問題は課題の一つになっている」と話した。

役員の言動に批判

 会員企業や市民の間からは、同会議所の一部役員に対する厳しい指摘や批判の声が聞かれる。
 酒田市内の経済事情に詳しい70歳代の会社経営者は、多数の離職者が出たことに触れ「会頭・副会頭・専務理事(4月まで不在)の三役には、事務局の職場環境を把握し、改善策を打ち出す責任があった。今回の事態は三役の管理能力の欠如が招いたこと」と指摘する。
 役員の会員資格を問題視した常議員に対しては「法的に瑕疵が無い問題を、議員総会という満座の中で取り上げるべきではない。仮に道義的な責任を問うのであれば三役会や常議員会の場が適切だった」と話した。
 ある役員も「信用不安を助長するような言動は慎むべき。会議所でも代表者や住所の変更届けなどを受け付けてきたが、その際に登記簿謄本の提出までは求めていない」と批判した。
 複数の会員企業幹部は「コロナ禍や原油高などで地域経済が疲弊する中、苦しい経営にあえぐ会員企業が多い。そうした企業を助けるための活動を優先するべきで、会員同士で足の引っ張り合いをしている時ではない」と苦言を呈した。
 そして「会員を獲得するためにも、役員には会議所に対する信頼に揺らぎが生じないような言動が求められる」と口をそろえた。

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