郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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庄内のスポ少 中学の部活①
加入者減り維持難しく
改編、地域移行など模索中

 スポーツ庁の有識者会議は6月6日、休日の運動部活動を2023年度から段階的に地域に移行することなどを提言した。庄内のスポーツ少年団と中学校の運動部を見ると、少子化による児童と生徒の減少で加入者が減り、習い事の多様化などで加入率も落ちている。活動を維持できないスポ少や運動部が増え、統廃合や合同チームの結成が進んでいる。地域スポーツクラブなどへ移行するための検討が始まっている。(本紙取材班)

団員数14年間で4割減少

 山形県スポーツ協会によると、庄内5市町のスポーツ少年団の登録団体数と団員数は、統計が残る2008年度は計308団体7057人だったのが、21年度は237団体4206人へと、14年間で団体数は71団体23・1%減り、団員数は2851人40・4%減った。団員数を全児童数で割った加入率は、08年度42・4%から21年度36・0%へと6・4ポイント減った。
 山形県中学校体育連盟によると、庄内の中学校の運動部の数と部員数は、10年度は440団体6688人だったのが、21年度は379団体4480人へと、12年間で団体数は61団体13・9%減り、部員数は2208人33・0%減った。団体数より部員数の減少が著しい。加入率も10年度76・6%から21年度68・4%へと8・2ポイント減った。
 田川地区で見ると、男子は10年度122団体から21年度は114団体へ8団体6・6%減り、部員数も同2230人から1462人へ768人34・4%減った。同じく女子では126団体から118団体へ8団体6・3%減り、1640人から1199人へ441人26・9%減った。
 同様に男子の加入率は86・8%から74・3%へ12・5ポイント下がり、県内11地域で最も低くなった。女子は66・2%から63・0%に3・2ポイント低下した。
 飽海地区の男子は102団体から76団体へと26団体25・5%減り、部員は1703人から1039人へ664人39・0%減った。女子は90団体から71団体へ19団体21・2%減り、1115人から780人へ335人30・0%減った。
 男子の加入率は89・2%から77・8%へ11・4ポイント下がり、女子は62・6%から58・0%に4・6ポイント落ちた。
 山形県中学校体育連盟の三澤珠栄理事長は、部員数の減少幅に比べ団体数の減少が少ない理由を、生徒数の減少に応じて部活動を精選しているものの容易に廃部にできない難しさがあると説明し、加入率が下がったのは「私見だが、学外のスポーツクラブ等に所属する生徒が多くなり、学校が認可していることがある。生徒が運動をする選択肢が広がっている」と話す。

酒田市、スポ少団員半減

 酒田市のスポーツ少年団の団数と団員数のピークは、市町村合併3年後の08年度の98団体2606人、加入率は40・3%だった。以降、団体数、団員数、加入率とも減少が続いている。21年度は80団体1398人で加入率は33・0%だった。
 市教育委員会スポーツ振興課では、少子化で小学校の統合が進んだことが団体数の減少の要因と説明する。
 団員数の減少には、少子化で児童が減っていることに加え、スポ少以外のクラブチームをはじめ、ダンスなど習い事の多様化が影響していると考えられる。
 ピーク年度と21年度を比べると、団体数は18・4%減に対して、団員数は46・4%も減り、一つの団体の団員数が減って小人数化している実態が見える。
 実際に一つの団体で活動できないため、同じ中学校区の複数の団体がまとまって活動しなければならない例が散見される。
 一例だが、琢成ミニバスケットボールスポ少では、同じ酒田一中学区の松陵スポ少と西荒瀬スポ少の児童が、一緒に活動している。酒田四中学区の十坂野球スポ少と新堀野球スポ少では、それぞれの団員が減ってチームを組めないため、既存のスポ少を残しながら新たに「レンジャーズ野球スポ少」を作った。
 通っている小学校区以外のスポ少に入ったり、活動しに行ったりする場合、活動場所が遠くなり保護者の送迎が大変になっているが、やりたい競技をするためには何とか対応するしかないのが現状のようだ。

庄内のスポーツ少年団員数の推移
 

変わるスポ少の在り方

 齋藤勉・酒田市スポーツ少年団本部長によると、スポ少は設立から50年が経ち、このままでいいのかという転換点に来ている。柔道が全国大会を無くするなど、小学生段階での全国大会を無くそうという動きや、スポーツの喜びや青少年の育成、地域づくりなどを図るスポ少理念を大切にする流れにある。
 指導者は各スポ少で何とかつなぎ、自分の子供が入団したことを機に認定指導員の資格を取得して、指導者になる例が多かったが、23年度からは日本スポーツ協会が認定したスタートコーチの資格を持った指導者が、各スポ少に2人以上必要となる。同資格は4年ごとに更新しなければならず、指導体制も時代に合わせて新しくする。
 齋藤本部長は「スポ少はスポーツの楽しさを感じたり、競技別でない複合団にして、さまざまな競技を経験する機会としたりすることも必要。子供がやりたいスポーツができるように道筋をつけることが一番大事ではないか。保護者が送迎できないためにスポ少に入れないという問題も解決できれば」と話す。
 また、競技団体のクラブチームが増え、中学校の運動部を地域に移行する話もスポ少と無関係ではない。
 酒田市では中学校の部活動の地域移行について具体的な議論をしていないが、齋藤本部長は「地域で部活もスポ少も一緒に運営する形になるのではないか。各競技団体がどうしていくのか、競技力向上や勝負にこだわるところと、そうでないところと二極化していく可能性もある」と話した。

鶴岡市、選択肢増え広域化

 鶴岡市のスポーツ少年団は、08年度152団体3305人だったのが、21年度には114団体2046人へと、38団体25・0%減、1259人38・1%減となった。加入率は08年度42・4%から21年度36・6%へと5・8ポイント落ちた。
 鶴岡市スポーツ少年団本部(村田久忠本部長)が3月末に発行した広報誌「とべ!未来へ(№29)」によると、各スポ少へのアンケートの結果、団員減少で将来の存続が危ぶまれ、指導者の不足や高齢化、学校行事などとの日程調整が困難、といった課題が浮かび上がっている。
 同市スポ少本部のサッカー、軟式野球、バドミントン、ミニバスケットボール、バレーボール、卓球、剣道、空手道、柔道の9部会からは▼団員数がピーク時から半減した。普及活動をしているが、あまり加入につながっていない▼指導者不足で保護者に資格を取ってもらわなければならない▼団体戦ができないスポ少が増えている―などの声がある。
 一方、鶴岡市小学校体育連盟の調査では、スポ少に加入していない同市の児童のうち運動関係の習い事をしている児童は、複数回答で16年度2392人38・1%だったのが、21年度は2315人41・4%だった。
 村田本部長は「各小学校区のスポーツ少年団に、他の学区の児童も入っているのが当たり前になってきている。今後は学区という枠組みがさらに消え、広域チームの形に変わっていくのでは」と話した。

地域移行に五つの形態

 鶴岡市は文部科学省の部活動改革の方針を受け、「鶴岡市における運動・文化部活動と地域等の連携の在り方に関する検討委員会」を、21年9月と22年3月に開いた。
 検討委員会では▼教員が指導する部活動は平日のみで、休日は活動しない▼休日に活動する場合はどのような体制で活動していくか、各部活動で検討を進める―の二つの方針を提言した。
 同市教育委員会学校教育課によると、団体競技では、少子化で1学校1チームが組めない中学が増えている。今年度の野球部を例に挙げると、6月の地区総体では合同チームが一つだったが、3年生引退後の新人戦になると、14校中6校が、自校だけでチームが組めない状況になる。
 地域移行は教員の働き方改革が一つの目的ではあるが、学校単位での部活動が限界を迎えていることからも、必要性が高まっている。
部活動の移行先は次の五つが考えられる―
 ①総合型地域スポーツクラブ。同市の9クラブのうち7クラブが中学生を受け入れている。今年度から県の実践研究校になった藤島中学校では、八つの運動部の部員が任意でふじしまスポーツクラブに加入し、部活動の時間以外は同クラブとして練習している。
 ②スポーツ少年団。同市には21年度末で114のスポ少があり、うち35スポ少に中学生以上が入っている。
 ③保護者が運営する保護者会クラブ。市教委に登録申請書、部員名簿などを出して活動する。トラブル発生時の責任問題や、生徒の入学卒業で生徒や役員が毎年変わり、持続性に課題があるため、移行が始まる23年度から3年間の暫定的な方法と位置付けている。
 ④民間クラブ。例えば水泳部などの生徒が民間クラブで練習し、大会には学校単位で出るという形。民間クラブは年々増加傾向にあり、運動部に入らず民間クラブに所属する生徒や、運動部と民間クラブの両方に入っている生徒もいる。市内中学生の約1割が民間クラブに所属している。
 ⑤合同部活動。アーチェリーは小真木原公園を拠点に練習している。剣道では、田川地区剣道連盟が合同寒稽古をした例がある。
 同学校教育課では、6月までに市内11中学校のうち8校に地域移行を説明し、残り3校にも順次説明する。
 市内の各競技連盟・協会向けの説明会も6月24日に初めて開いた。参加した競技団体の代表などからは▼指導者のボランティア精神に頼りきりでは良くない▼生徒の交通手段はどうするのか▼スポ少同様の指導者の資格取得を考えてほしい―などの意見や質問が出た。競技団体への説明や情報提供は今後も続けていく。
 市教委学校教育課指導係の佐藤友大指導主事は「運動部によっては、部員が少なくても学区内のスポ少の受け皿になることなどから、簡単には閉められないという状況がある。部員や指導者の不足には、学校や学区が基本となっている考え方を変えていかなければならない」と話す。

実践研究校で実験中

 県教育委員会は20年度に「運動部活動と地域等の在り方に関する検討委員会」を、教育とスポーツの関係団体で組織し、実践研究校を決めた。21年度は検討委員会を10月と2月に開き、実践研究の検証や今後の課題を話し合った。今年度も10月と2月に開く予定。
 市町村の担当者や地域スポーツクラブなどには、県公式ユーチューブチャンネルの説明動画で、国の方針や県の部活動改革の概要、実践研究校の説明、地域移行の課題を説明している。
 実践研究を21年度から①山形第六中学校②鮭川中学校③天童第一~第四中学校で行っている。
 ①では男女バレーボール部、男女バドミントン部、女子ソフトテニス部をそれぞれスポーツクラブ化した。
 ②では野球部、バドミントン部、バレーボール部の生徒が総合型地域スポーツクラブに加入し、部活動の無い日はクラブで活動する。
 ③では4中学校の野球部が、休日に合同で部活動をしている。天童市野球連盟の協力で平日は4校同じ練習内容を各校でこなし、リモートで指導を受ける。
 22年度からは小国中学校と藤島中学校を、地域総合型スポーツクラブに移行する実践研究校に選定した。

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