郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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酒田一中生自死問題
市長、いじめとの関連を再調査
県外の弁護士らで第三者委設置

 酒田市立第一中学校に通っていた石澤準奈さん(当時1年生)が2021年2月に校内で自死した問題で、丸山至酒田市長は7月31日、弁護士など県外の専門家で作る第三者委員会を10月に設けて、いじめとの関連などを再調査する、と同市役所で記者会見した。市教育委員会内の第三者委員会「酒田市いじめ問題対応委員会」が6月29日に丸山市長に提出した調査報告書では、判然としない部分があり、十分な調査が尽くされていないと判断した。全容を解明し、二度と同じようなことが起きないようにするために再調査する。(編集委員・戸屋桂)

十分な調査尽くされずと判断

 丸山市長は「報告書にはさまざまな判明した事実が記載されているが、だれに、いつ、どのような調査で判明した事実なのか、調査課程の詳細がはっきりと記載されていないため、遺族にとっては納得のいかない内容だった。遺族の意見書でもその点を指摘された」と話した。
 そして遺族から再調査の強い要望があることも踏まえ「文部科学省の『いじめの重大事態の調査に関するガイドライン』の地方公共団体の長等による再調査を行う必要があると考えられる場合の『十分な調査が尽くされていない場合』に当たる、と判断した」と説明した。
 再調査委員会の委員は弁護士2人、精神科医1人、学識経験のある心理学専門家1人、福祉学専門家1人の計5人で構成し、酒田市に利害関係の無い県外の人で、いじめ問題対策に造詣の深い人を、日弁連など各職能団体に推薦を依頼する考えを示した。
 再調査委員会は、委員名を公開し、記者会見などにも同席してもらうなど、透明性を高めたいとしている。
 市議会臨時議会を9日に開き、再調査の費用について予算措置を諮る。丸山市長は、9月中に再調査委員会の委員を決め、10月には再調査委を設けて、来年10月には報告書をまとめてもらいたい意向。
 再調査の内容は、委員となる専門家に分析・検討してもらうとし、遺族の望むことをすべて再調査できるかは、今の段階では分からない。市としては、重大事態となった原因の分析と、再発防止のために何をしなければならないのかをはっきりさせたい、と話した。
 丸山市長はこの日の午前中に遺族と初めて会い、お悔やみを伝え、遺族の意見を聞いた。

失態重ねた市教委、学校

 石澤準奈さんの自死をめぐっては、市教育委員会がいじめ重大事態として、学校と連携して基本調査を実施したが、21年3月に「直接的に嫌がらせや攻撃を受けていた状況は確認できなかった」などとする調査結果をまとめた。
 しかし、石澤さんの靴箱に悪口を書いた紙が入れられ、担任に相談していたのに事実確認がされず、保護者に伝えられていなかったことや、保護者がいじめがあると書いたアンケートを、いじめが無いと書いたアンケートと取り違えて基本調査の資料としていたことなどが判明した。
 遺族は第三者委員会による調査を再三求め、市教委は市教委内に第三者委員会「酒田市いじめ問題対応委員会」を21年9月に設置した。対応委では一中生にアンケートや聞き取り調査をしたが、遺族への途中経過の説明や情報開示が不十分で、遺族は対応委に不信感を募らせた。
 対応委は調査報告書を22年3月31日に市教委へ提出し、市教委は4月16日に遺族に報告書を渡した。遺族によると、報告書では複数のいじめを認定したが自死の主因とはせず、因果関係はあいまいなものだった。
 遺族は再調査を求める意見書を6月29日に提出。同日、市教委は丸山市長に対応委の調査報告書と遺族の意見書を提出していた。
 丸山市長は6月30日の記者会見では、報告書について「調査はしっかりしている」と発言していたが「再調査に否定的だったわけではない」と説明した。

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