郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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夏の決算
観光地は帰省中心に客足戻る
悪天候で屋外レジャーは苦戦

 庄内の7、8月の観光客数は、新型コロナウイルスによる行動制限が無くなったことで帰省客を中心に客足が戻り、観光施設や土産品販売施設、宿泊施設では売上や客数が前年を上回る施設が多かった。海や山、キャンプなどの屋外レジャーは、悪天候が続いた8月に苦戦した。スーパーは帰省客の増加で前年の売上を上回ったが、輸入品などの食材の高騰により客の節約志向が強まっている。飲食店は酒田市のラーメン店は前年を上回ったが居酒屋はコロナの影響で客足が鈍い。食材の高騰にも頭を悩ませている。(本紙取材班)

 観光地 

入館者は混雑避けて分散

 鶴岡市立加茂水族館の入館者数は、7月は4万2020人で前年同月比1万338人32・6%増え、8月は5万9290人で同2万242人51・8%増え、両月とも前年を大きく上回った。コロナ禍前の2019年同期の約6割だった。
 今夏の特徴は、8月15日前後の旧盆時期を過ぎても、入館者数が千人以上を維持したこと。前年は8月1~17日は各日とも1千人を超えたが、翌18日には897人に減り、23~31日は3桁台だった。今年の8月は24日まで同1千人を超えた。
 今年8月は12日と14~16日に3千人を超え、25日に1千人を割ったが、27日に1693人、28日に2066人、30日に1115人と盛り返した。
 同館総務課では「全体的に分散している印象だった。混雑する時期や時間を避けて訪れたのではないか。営業時間を7月は午後7時まで、8月は同6時までと1~2時間延長したが、午後4時を過ぎると急に減るので、一日中動いている感じは無かった」と言う。
 コロナ禍前は一日5千人を超える日もあった。今は入館制限でも約4千人入れるが、そこまで増えていない。「観光客の戻りはまだまだと感じる」と話した。
 出羽三山神社によると羽黒山頂の参拝者数は、7月が2万9516人で前年同期比202人0・6%減、8月が2万7903人で同1962人7・5%増だった。19年同期に比べ、7月は1万3183人30・8%減り、8月は同2万297人42・1%減った。
 コロナ禍に加え、丑年御縁年の昨年に比べ今年は催しが無かったことなどから、参拝者数が伸びなかった。家族客が中心で県内と宮城、福島、新潟、秋田など隣県からが多かった。

飛島への修学旅行は減少

 酒田市の定期船とびしまの利用状況は、7月は前年を上回ったが、8月は悪天候の影響と県内からの修学旅行需要が減り、前年を下回った。
 7月の計画運航数47回のうち出航数は42回で、出航率は89・4%と前年同月より2回4・3%増えた。乗客数は3418・5人(12歳以下0・5人換算)で同63・0人1・9%増えた。
 乗客の居住地を見ると、島内7・8%(前年同月6・4%)、酒田市内28・2%(34・7%)、県内39・7%(38・6%)、県外24・3%(26・7%)だった。
 8月の計画運航数47回のうち出航数は33回で、出航率は70・2%と前年同月より3回6・4%減った。乗客数は2564・0人で同1176・0人31・4%減と大幅に減った。
 乗客の居住地は島内9・7%(6・7%)、酒田市内31・2%(20・0%)、県内31・2%(55・4%)、県外29・0%(17・9%)。
 前年も7、8月は移動制限が解除されて人の動きがあった。乗客定員の制限も解除し、前々年に比べ乗客は大幅に戻っていた。
 対して今年は、8月に予定されていた高校生や大学生など団体の利用が、天候の影響で中止になったこと、前年は県外への移動自粛で増えた県内の修学旅行需要が今年は無かったことが加わり、乗客が大幅に減った。
 雨続きで親子連れなどの観光客が減り、乗船予定の翌日以降の天候の悪化を知って、窓口でキャンセルする例も多かった。

 土産品販売施設 

海鮮市場はコロナ前超す

加茂水族館は観光客が分散して訪れた
加茂水族館は観光客が分散して訪れた

 酒田市観光物産館酒田夢の倶楽の売上は、7月は前年同月比30・0%増え、8月は同80・0%増えた。19年同月比では7月が19・0%減、8月が37・0%減だった。修学旅行は過去最多だった前年より少ないが、19年より増えている。
 今年は突出して混む日が無く、そこそこに混む日が、山の日の8月11日から赤川花火大会翌日の21日まで続いた。
 高齢者が少なく、若者や女性が多く、駐車台数に比べてケヤキ並木を歩く人が少ないことから、今夏は帰省客が多かったとみている。
 酒田市交流観光課によると、さかた海鮮市場の入館者数は、7月は3万5936人で前年同月比5584人18・4%増え、19年同月比では6088人20・4%増えた。隣の酒田市みなと市場は7月が1万9656人で同1960人11・1%増え、19年同月比では690人3・6%増えた。両施設ともコロナ前を上回った。
 みなと市場テナント会長の小松祐輔・小松鮪専門店代表によると、8月は客足が途切れなかった。同店の客足のピークは8月14、15日で1日600人弱が来店した。県外客が6~7割を占め、新潟、秋田、宮城など隣県がほとんど。同店のテレビ番組を見た北海道の客もいた。
 客足が増えた一方で物価高が影を落としている。海産物の仕入れ値が上がったが店頭価格に転嫁できず、収益が減っている。小松代表は「客足が増えてきたことはうれしいが、値上げが相次ぐ状況は中小規模の店にとってかなり厳しい」と話した。

バス団体客は戻らず

湯野浜は海水浴客が過去最低だった
湯野浜は海水浴客が過去最低だった

 遊佐町の道の駅・鳥海ふらっとは、7月の入込客数(レジカウント数)が前年同月比107%、売上が同106%だった。売上は19年同月の95%まで戻り、空梅雨で天候が良かったことが影響した模様。
 一方8月は入込客数が前年同月比100%、売上は同105%だった。軽食や産直の魚屋などで値上げしたことが主な原因。
 お盆の帰省客の移動を見込んで11~15日は開店時間と閉店時間を前後30分広げて対応し、客数増と売上増を期待したが伸びなかった。
 前年までほとんど見かけなかった、四国や九州、関西ナンバーの車もいて、遠方の客が戻ってきた。バスは日に1台程度とまだまだ戻っていないため、土産品売り場の苦境は続いている。
 鶴岡市の道の駅あつみしゃりんの入館者数は、7月は約2万3千人で前年同月比約6千人35%増え、8月は約2万8千人で同約7400人36%増えた。19年と比べ7月は99%、8月は73%まで戻った。
 矢口泉支配人は「8月の旧盆期間の入館者数は前年同期より50%ほど増えた。帰省時期の分散化で明確なピークが無かった。帰省自粛や行動制限などが無い分、人の動きが良く、16日以降も県外ナンバーの車が目立って多かった」と言う。
 また「コロナ禍前の19年と比べると、旧盆期間の入館者数は6割程度にとどまったが、平均客単価は今年の方が高く、レジャーでお金を使いたがっている印象を受けた」と話した。

 宿泊施設 

利用客はコロナ前の85%

 酒田市ホテル振興協議会によると、加盟6ホテルの利用客数は7月が前年同月比3・6%増、8月が同12・0%増と、2カ月連続で前年を上回った。しかし7月と8月の2カ月合計の利用客数は19年同期比85・0%にとどまり、依然コロナ禍前に戻り切れていない。
 利用客数が前年を上回ったのは、今年3月下旬にまん延防止等重点措置が終了し、行動制限が緩和されたことによる。これを受け5月は前年同月比17・6%増、6月は同15・3%増と高い伸びを示したが、その後、感染が急拡大し、7月と8月の利用客数は当初想定していた人数に届かなかった。
 各ホテルの利用客は、山形市を含む県内陸部や宮城県仙台市、東京都などからのビジネス客が中心。それが今夏は、従来からの帰省客に加え、出羽三山を巡る団体旅行や県内高校の合宿、各種大会に出場した県外高校など、過去2年には見られなかった利用も目立った。
 一方、飲食を伴う各種会合後の懇親会や宴会などの利用は低調だった。コロナ感染者が急増しキャンセルが相次いだ。
 資源高や物価高騰で、各ホテルとも厳しい経営を強いられている。電気料金上昇の影響は深刻で、加盟ホテルの一つ、ホテルリッチ&ガーデン酒田では、7月と8月の支払い額が前年同月に比べ月額30万円以上増えている。
 各ホテルでは、部屋の稼働率を上げて売上と利益を最大限に確保しようと、以前から需給のバランスに応じて価格を弾力的に変える料金体系を導入している。
 鶴岡市の湯野浜温泉観光協会によると、同温泉街の旅館やホテルでは、7月末~8月20日の週末は全館ほぼ満室になった。コロナ禍前には届かないものの昨年よりはにぎわった。
 予約の出だしは例年並みの6月ごろだったが、山形県民割の効果で予約枠が埋まるのは早かった。宿泊客は東北や関東地方が中心。大雨があった内陸や宮城県からは例年より少なかった。コロナ禍前に見られた関西や九州はほとんど無かった。

 高速交通 

羽田便8月は前年の3倍

 県庄内総合支庁連携支援室によると、全日本空輸(株)の庄内―羽田便の搭乗者数は、7月は2万1707人で前年同月より1万3716人171・6%増え、8月は2万6560人で同1万8134人215・2%増えた。しかし、19年同月比では7月が1万2545人36・6%、8月が1万2544人32・1%減った。
 東日本旅客鉄道(株)によると、8月10~17日の特急いなほの利用客数は1万8千人で、前年同期の9千人から倍増した。18年同期比では1万9千人51・4%減だった。

 レジャー 

海水浴客は過去最低

 湯野浜温泉観光協会によると、湯野浜海水浴場(遊泳期間7月15日~8月21日)の海水浴客は14万2200人で過去最低に落ち込んだ。前年同期比では7万1500人33・5%減り、19年同期比では6万9300人32・8%減った。
 原因は天候不順。遊泳期間38日のうち遊泳禁止は11日、遊泳注意は9日、と半分以上が悪天候だった。海水浴場が晴れていても内陸や太平洋側が雨の日があり、海水浴客は少なかった。例年は朝の客と昼の客で2回転するが、今年はどちらも少なかった。
 遊佐町内の西浜、釜磯、十里塚の3海水浴場では、海水浴客が7、8月とも前年同月比60%に減った。8月は大雨の影響で流木が多く、遊泳禁止が多かった。
 鶴岡市のプール、スパールの一般利用客数は、7月が約1万人で前年同月比約1千人11%減ったが、8月は約1万3千人で同約1千人8%増えた。19年と比べると、7月が約6割、8月が約5割に減った。
 スパールでは「例年より帰省客が多く感じた。8月の旧盆時期は、天候が悪く風が強いなど、海水浴場で泳げない日はいつもより多く来場した」と話した。
 遊佐町企画課によると、鳥海山の吹浦口、蕨岡口、二ノ滝口の町内3登山口の入込数(推測値)は、7月は7400人で前年同月と同じだった。8月は1万7900人で前年同月より1500人9・1%増えた。19年7月の2万4900人より1万7500人70・2%減り、同8月の2万5千人より7100人28・4%減った。土日の天候が悪かったこととコロナ禍の影響で増えなかった。
 羽黒町観光協会によると、月山八合目駐車場の午前9時の駐車台数は、7月は2217台で前年同月比192台9・4%増え、8月は976台で同371台27・5%減った。19年7月の2368台より151台6・3%減り、同8月の2170台より1194台55%減った。7月は前年を上回り、8月は悪天候のため前年を下回った。
 内訳は県内客が最も多いが、県外客が昨年より増えた。宮城、新潟など隣県が目立ち、関東からも多かった。遠方では関西もいた。
 鶴岡市の休暇村庄内羽黒キャンプ場の利用客数は、7月は1000人で前年同月より151人13・1%減り、8月は1020人で同522人33・8%減った。19年7月の854人より146人17・0%増え、同8月の2202人より1182人53・6%減った。
 7月は天候が良かったが8月は土日を中心に天候が悪く利用客が伸びなかった。客層は家族客が中心。カップルや友達同士など20歳代~50歳代の幅広い年代が利用した。県内客が多く、県外は宮城県が目立った。
 遊佐町の西浜コテージ村・キャンプ場は、7、8月はコテージが人気で満室が続いたが、キャンプ場は海水浴客に比例して利用客は前年同期比50%程度に落ち込んだ。雨の影響が痛かった。

 夏物消費 

食品値上がり売上増加

 生活協同組合共立社の売上は7月が前年同月比101%、8月は同107%だった。製造元が食料品の多くを値上げしたことが要因。
 7月は暑かったこともあり、飲料、アイスクリーム、南禅寺豆腐やところてんなどの売れ行きが好調。果物はグレープフルーツやキウイなどの輸入品が値上がりしているため入荷が難しくなり、前年並みを確保するにとどまった。
 8月はお盆期間の帰省客が前年までより多くなり、オードブルなどの惣菜やすしパックの売上が増えた。しかし、コロナ禍前の19年同期と比べるとまだ80%程度。ビールも伸び、特にノンアルコールビールは前年同月比108%となった。
 天候の影響は無かったが、食料品全般が値上がりしているため、これまで2個買っていたものを1個にするなどの抑制も起きている。1個売りから2分の1個、4分の1個に少量化して、価格を据え置くなど、買い物総額が大きく増えないように見直しも図っている。
 鶴岡市中心部のある家電販売店では「今年はエアコンの動きが早かった」と話す。半導体不足の影響でエアコンが品薄になることが分かっていたため、5月ころから早めに品数を確保し、顧客を待たせることは無かった。多い日には1日5台を取り付けた。同店は付き合いの長い固定客がほとんどで、買い替えが多かった。
 一方で洗濯機や電子レンジ、電気給湯器は、半導体不足の影響を受け、販売がままならなかった。
 8月を過ぎてからは、トイレの便座や電気給湯器以外の家電は流通するようになってきている。

 飲食店 

ペイペイでラーメン好調

 酒田市麺類食堂組合によると、7、8月のラーメン店の売上は前年同月を上回り、コロナ禍前の水準に並んだ。酒田市のペイペイ30%還元事業が効果を上げた。
同市のめん工房さらしなでは、8月のお盆休み前後が最も忙しく、昼時は通常の土日の1・5倍となる150人が並んだ。観光客よりも帰省客が多い印象だった。
 食材と光熱費の値上がりは深刻。多くの店でラーメンの値段を値上げしたか、値上げを予定している。
 酒田市のある居酒屋では、7月前半はペイペイ還元事業の効果で客足が伸びたが、7月後半~8月前半はコロナ感染者が急増した影響で一気に減った。8月後半はペイペイ還元事業の駆け込み需要でやや盛り返した。
 帰省客は来たが宴会の人数は多くても5人ほど。テーブルを二つ以上使う大規模な宴会は7~8月の2カ月で1度きりだった。午後9時以降はほとんど客が来なかった。
 店主は「ペイペイ還元の効果は夜営業の店には限定的だった。コロナ感染者は9月から減ってきたが、会社側に飲み会を控えるように言われているのか、まだ外で酒を飲もうという空気になっていない。値上げする10月以降はさらに厳しくなるのではないかと心配」と話した。

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