郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
Community News Web Site

県議選 鶴岡市区東田川郡区
票読みづらく少数激戦か
有権者の盛り上がりいまひとつ

 山形県議会議員選挙が3月31日告示、4月9日投開票で行われる。鶴岡市選挙区(定数5)は、非自民党系の現職3人と、自民党の新人3人が立候補を予定し、票の読みにくい少数激戦が予想される。6陣営は選挙本番に向けて着々と準備を進めているが、有権者の関心はいまひとつで盛り上がりに欠ける。東田川郡区(定数1)は立候補を予定しているのが自民党の現職1人のみで、4回連続の無投票となる見通し。最新の動向と本紙独自アンケート調査の結果を掲載する。文中敬称略。(本紙取材班)

鶴岡 現職3人と自民新人3人出馬

 鶴岡市区で立候補を予定しているのは、共産党公認で3期目を目指す関徹(62)、共に無所属で2期目に意欲を見せる今野美奈子(63)と髙橋淳(56)の現職3人と、いずれも自民党公認で前鶴岡市議の石塚慶(45)、議長も務めた前鶴岡市議の菅原一浩(56)、前鶴岡市商工観光部長の佐藤正胤(60)の新人3人の計6人。保守の地盤が強い地域だが自民党公認候補が代替わりし、票の行方の読みにくい少数激戦となる見通し。
 非自民党系の現職3人のうち、無所属の今野と髙橋は共に連合山形の推薦を受けた。連合山形鶴岡田川地域協議会の加盟労組の組合員票は4千~5千票。各単組も推薦・支持などを表明し、両陣営と連動して動く。
 県議会では吉村美栄子県知事を支持する会派「県政クラブ」に所属し、吉村県知事の支援を受け、舟山康江、芳賀道也両参院議員、連合山形などの支援を受けた鶴岡市議も支援に回る。吉村県知事との太いパイプと、1期4年の実績をアピールして議席を守る構え。
 今野は2月26日に鶴岡市城南町で事務所開きを行った。3月11日には市内で総決起集会を開き、支援者約200人が参集。舟山、芳賀両参院議員をはじめ、皆川治鶴岡市長後援会の村上龍男会長、連合山形鶴岡田川地協の阿部一寛議長などが応援演説に立った。地元の第一学区自治会長協議会、教職員組合、平和センターなども出席した。
 元教員の経験を生かして教育現場をはじめ弱者・少数者の声を届け、鶴岡市から女性の議席を失うわけにはいかないと訴えている。
 髙橋は、鶴岡市藤島の後援会事務所で2月1日に事務所開きを行った。連合山形、平和センター、出身母体の庄内たがわ農協政治連盟、剣道関係団体などから幅広く支援を受ける。
 地元の藤島地区をしっかり固め、旧町地区などの後援会支部はさらに集落ごとにも拡大中。3月24日に鶴岡市内で開く総決起大会には、皆川鶴岡市長、舟山、芳賀両参院議員、出羽商工会の上野隆一会長、庄内たがわ農協の太田政士組合長なども出席する予定。
 立候補を昨年8月に表明し3選を目指す共産党の関は、総決起集会を東京第一ホテル鶴岡で3月19日に開き、支援者約300人が集まった。事務所を24日、鶴岡市大西町に開く。
 自民党新人の3人は、加藤鮎子衆議院議員、今期で勇退を表明している志田英紀県議、2021年の鶴岡市長選挙に出馬した佐藤聡前県議、市議会最大会派で自民党系の新政クラブ所属市議10人が支援する。鶴岡市議会公明党では、石塚を富樫正毅市議が、佐藤を黒井浩之市議が、菅原を秋葉雄市議が支援する。鶴岡地区医師連盟、県建設業協会鶴岡支部なども新人3人に推薦状を出した。
 石塚は17年から2期務めた鶴岡市議を2月に辞職。これまで企業や親類など約300件にあいさつに回り、推薦状は16日まで保守系政治団体や企業、商店、個人などから約170枚集めた。事務所は2月25日に同市末広町に構え、総決起大会を3月21日にグランドエル・サンで開いた。
 地元の三瀬を中心に湯野浜〜温海の沿岸部を重点的に巡り、京田、大山、西郷、斎、大泉などの郊外にも支持を広げたい考え。候補者最年少の40歳代の若さもアピールしていく。
 佐藤は旧櫛引と鶴岡市の職員を務め、同市商工観光部長を昨年12月に辞職した。父の故・佐藤正光元県議の後援会関係者が選挙対策本部の中核を固め、父の後援会関係者らと300件ほどあいさつ回りをし、推薦状は17日まで約240枚集めた。事務所は2月25日に同市新形町に開設。自身の後援会櫛引支部設立総会を3月5日に櫛引生涯学習センターで催し約230人が参加した。決起大会は25日に東京第一ホテル鶴岡で開く。
 櫛引地区を中心に藤島、羽黒、朝日の旧東田川郡の票を固め、大票田の旧市内にも浸透を図る。サッカー関係者にも支援を求める。
 菅原は鶴岡市議を13年から3期務め、市議会議長を昨年12月に辞職した。400~500件はあいさつに回り、推薦状を約200枚集めた。事務所は2月25日に大塚町に構えた。個人演説会を4月1日に開く。市街地を重点的に固めたい考えで、鶴岡商工会議所専務理事の経験も生かす。
 東田川郡区は、自民党公認で7期目を目指す現職の田澤伸一(73)が立候補を予定している。事務所を3月4日に開いた。総決起大会を22日に響ホールで予定。



県議選立候補予定者への質問と回答について

本紙では各立候補予定者に質問3項目を渡し、各150字以内で回答してもらった。調査期間は2月20日~3月9日。掲載は五十音順、敬称略。


石塚慶

石塚 慶(45)

鶴岡市区
自由民主党公認 新人
鶴岡市三瀬/関西大学経済学部卒/前鶴岡市議会議員


❶吉村県政に対する評価をお聞かせください。
 多岐にわたる分野への施策またはその結果、結果は出なくとも将来を見据えた投資的施策など多様な視点がある。評価基準を設定しにくい「県政」という大きなくくりで評価をするのは難しい。

❷庄内地方と内陸地方の社会基盤等の格差が広がっているとの声が少なくありません。当選したら、どのように対応されますか。
 日本海東北自動車道、月山道路等の整備や空港の利便性、県有施設の設置・遊休施設への対応、地域医療提供体制、農地整備等1次産業の活性化の視点で内陸と格差があるのではとの声がある。水産振興など庄内独自の課題も含め地域の声を聞きながら活性化のために必要なことを実現できるよう提言していきたい。

❸当選したら、第一に力を注ぐことは何ですか。
 鶴岡・庄内の最大の魅力である農業林業水産業を活性化することで観光・移住を含む交流人口、関係人口の拡大に取り組む。また、若者・子育て世代が活発に活動できるよう支援・環境整備に努めたい。活発に活動する地域コミュニティを支援することで防災を含め住みよいまちづくりを実現するよう県と市の連携を深めたい。

今野美奈子

今野 美奈子(63)

鶴岡市区
無所属 現職
鶴岡市文園町/日本女子大学大学院修了


❶吉村県政に対する評価をお聞かせください。
 女性活躍のロールモデルとして、県内の女性の意欲喚起に好影響を与えている。若者の声を聴く姿勢や現場最優先の考えに基づく県政で、評価したい。県民の困り感に寄り添い、適切な判断とスピード感を持って決断していると感じる。災害時はすぐに現場に駆け付けるなど被災地の声に耳を傾け、適切に対応していると高く評価する。

❷庄内地方と内陸地方の社会基盤等の格差が広がっているとの声が少なくありません。当選したら、どのように対応されますか。
 交通インフラ整備などのように庄内地方には関係機関との連携・協力が必要で、県政だけでは解決できない課題がある。しかし、県は常に県民の気持ちに寄り添い、達成するための要望活動などは精力的に行っている。それらを含め、鶴岡市などが提示している県に対する重要要望事業などの早期実現に向けて支援し全力を尽くす。

❸当選したら、第一に力を注ぐことは何ですか。
 鉄道、月山道の整備促進や日沿道の利用、2次交通の活用などに力を入れ、若者に住みやすく、高齢者が安心して生活できるようなインフラ整備に力を入れる。障がい者や医療的ケアの必要な方と家族、LGBTQの方など一人一人の人生を大切にする施策を国に要請して前に進めていく。教員の働き方改革は継続して取り組む。

佐藤正胤

佐藤 正胤(60)

鶴岡市区
自由民主党公認 新人
鶴岡市馬渡/東北学院大学経済学部卒/前鶴岡市商工観光部長


❶吉村県政に対する評価をお聞かせください。
 県議会は二元代表制であり、県民の代表として選ばれる議員は、常に議案に対する是々非々のスタンスで挑むべきと考えている。そのため地域課題や方向性、さらには将来の山形県の在り方などで様々な視点があり、一概に評価することはできない。

❷庄内地方と内陸地方の社会基盤等の格差が広がっているとの声が少なくありません。当選したら、どのように対応されますか。
 庄内地方と内陸地方の社会基盤の格差が広がっていると感じている。高速交通網の整備促進をはじめ、各種インフラ整備等の県土全体のバランスある整備・発展を目指し、地域の課題をひたむきに県政に訴え、課題の解決につなげていく。

❸当選したら、第一に力を注ぐことは何ですか。
 ①人づくり=子育て関連の負担軽減と将来的無償化、教育環境と生涯を通じた学び環境の充実、若者の定着へ向けた取り組み強化
 ②産業づくり=農林水産業の振興、各種産業の発展と事業承継支援、創業、起業家の育成と起業環境の充実
 ③社会基盤づくり=県土のバランス良い発展、高速交通の整備促進、多様な社会参画の促進。

菅原一浩

菅原 一浩(56)

鶴岡市区
自由民主党公認 新人
鶴岡市本町2丁目/立教大学法学部卒/前鶴岡市議会議員


❶吉村県政に対する評価をお聞かせください。
 個人的には、無難でこれといった特色も感じられない県政運営の印象である。一方で、これまで活動してきた市議会同様、県議会も二元代表制の一翼を担うものと認識しているので、常に県民目線を持ちながら、個々の議案に対して是々非々の立場で臨むことが肝要と考える。よって、単純な評価については差し控えるべきと考える。

❷庄内地方と内陸地方の社会基盤等の格差が広がっているとの声が少なくありません。当選したら、どのように対応されますか。
 これまでの経験上、日本海沿岸東北自動車道と東北中央自動車道の進捗具合や庄内空港と山形空港に対する利用振興予算の金額など、明らかに格差が確認された事項があった。今後、予算や決算における両地域の他の具体的な事例等を調査比較し、格差があれば是正できるよう対応したい。

❸当選したら、第一に力を注ぐことは何ですか。
 活力ある地域づくり、安全安心な地域づくりのために、社会基盤の整備に注力したい。地域にとって産業や地域間交流の土台となる高速交通網の整備促進、企業活動や市民生活に欠かせないエネルギーや水道等の供給体制の再構築、頻発する自然災害に対応できる道路や河川・橋等の整備に力を注ぎたい。

関徹

関 徹(62)

鶴岡市区
日本共産党公認 現職
鶴岡市長者町/文教大学人間科学部卒


❶吉村県政に対する評価をお聞かせください。
 歴代自公政権の国民負担増・地方切り捨ての政治から県民生活を守る防波堤の役割を果たしてきた。非正規労働者正社員化と賃上げ、子どもの医療費無料化、私学助成、放課後児童クラブ支援、福祉灯油等が特徴的。新型コロナ対策でも、医療機関支援、児童関係施設職員への慰労金、生活困窮者等の支援等、先進的施策実施。

❷庄内地方と内陸地方の社会基盤等の格差が広がっているとの声が少なくありません。当選したら、どのように対応されますか。
 医学部が無く看護学校も少ない庄内の医療従事者確保対策。県立の主な施設が内陸に偏在することから、庄内での出張活動強化、地域の事業・イベント等への支援を求める。巨額費用を要する仮称米沢トンネルの代案を求め、新幹線フル規格化も含めた費用対効果を検討。羽越本線及び庄内空港発着便の運休(欠航)・遅延対策。

❸当選したら、第一に力を注ぐことは何ですか。
 医療・介護・福祉充実で安心して暮らせる山形を目指す。具体的には、従事者の増員と賃上げ等で人材を確保する。感染症を含めた地域医療確保・保健所強化。国保税の抑制。介護保険料・利用料の抑制およびサービス確保。障がい福祉事業支援強化。発達障がい者支援体制構築。社会保障制度改悪反対と軍拡反対を政府に迫る。

髙橋淳

髙橋 淳(56)


鶴岡市区
無所属 現職
鶴岡市和名川/庄内農業高校卒


❶吉村県政に対する評価をお聞かせください。
 未曾有の大災害となった新型コロナウイルス感染症も今年で3年目。近年は頻発・激甚化する自然災害も多く、多くの難しい難題にも県知事を中心となって取り組んでいただいた。県民の多くの支持を得て、対話を重視し、県政発展ために最大限ご尽力いただいていると思っている。

❷庄内地方と内陸地方の社会基盤等の格差が広がっているとの声が少なくありません。当選したら、どのように対応されますか。
 県財務諸表での総資産は約2兆2000億円、その約7割以上が 県民の生活基盤である道路や空港 等のインフラ資産が占めている。 引き続き、国・県・市町、建設業等と連携し、朝日温海道路などの早期開通に向けた要望を行ってい く。そして、公益性の見地から、県全体を見据え、県民の多様な意見を県政に反映する。

❸当選したら、第一に力を注ぐことは何ですか。
 現在も市民の多くの皆さんから要望や地域課題に関する陳情等をいただいており、それらの個別課題への対応を早急に行う。そして、多くの地域で少子高齢化が加速化し、喫緊の少子化対策を進めなければならない。物価高騰などの多くの課題が山積しており、ポストコロナの県づくりを推進したいと思う。

田澤伸一

田澤 伸一(73)


東田川郡区
自由民主党公認 現職
庄内町狩川/早稲田大学法学部卒


❶吉村県政に対する評価をお聞かせください。
 知事提案の議案(予算案)に対し県民視点に立ち審議し、県民のためになる場合は賛成。そうでない場合は反対するか修正を求めてきた。今後も是々非々で対応していきたい。

❷庄内地方と内陸地方の社会基盤等の格差が広がっているとの声が少なくありません。当選したら、どのように対応されますか。
 インフラ整備は目に見えるため、格差を感じやすい。庄内選出の議員と力を合わせ、庄内がさらに住みやすい地域になるようインフラ整備に力を尽くしていきたい。

❸当選したら、第一に力を注ぐことは何ですか。
 「デジタル化」と「再生エネルギー化」は世界の潮流である。庄内地域で、そのような技術に長けた人材を育てるためにも東北公益文科大学の公立化と、機能強化として公益学部の他に理系の学部を新設するべきである。

トップへ戻る