郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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遊佐町沖風力発電
公平性、透明性に疑問と指摘
遊佐町議が一般質問で

 洋上風力発電事業を巡る汚職事件で衆院議員の秋本真利容疑者(48)=比例南関東、自民党を離党=が7日、国会質問の見返りなどとして日本風力開発(株)から総額で約6100万円の賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部に逮捕された。前日の6日に行われた遊佐町議会定例会の一般質問では、同町議会議員から事業化に向けて検討が進む遊佐町沖洋上風力発電と同社との関係を問題視する指摘も出た。一方、経済産業省と国土交通省は1日、遊佐町沖を再エネ海域利用法に基づき事業者の公募など具体的な手続きに入る「促進区域」に指定する案を公告した。(編集主幹・菅原宏之)

日本風力開発との関係ただす

 遊佐町議会定例会の一般質問で、日本風力開発と遊佐町沖洋上風力発電との関係を問題視したのは、駒井江美子議員。同社が遊佐町沖洋上風力発電の環境影響評価方法書を最も早く提出していることに言及し「遊佐町と無関係ではないと考える」と述べ、時田博機町長の見解をただした。
 時田町長は「遊佐町沖で環境影響評価を行い、参入を目指す事業者があれば、差別することなく、全ての事業者を対等に扱ってきた。(日本風力開発が)まさか賄賂を出している事業者だとは全く知らなかった」との認識を示した。
 駒井議員はさらに、同社が100%出資する子会社、エネルギー戦略研究所(株)の(山家公雄)取締役研究所長が、山形県エネルギー政策総合アドバイザーに就いている、と指摘した。
 そして「そのような風力発電事業者と利害関係のある人が県のエネルギー戦略をけん引してきたわけだが、この起用は公平性、透明性に疑問があり、適切でないと考える。県によるエネルギー政策の要職への風力発電業界関係者の起用を町長はどう思うか」とただした。
 これに対し時田町長は「山形県議会議員が県議会で提言するのが、山形県に意見を述べる妥当な場ではないかと思う。町議会の場で、山形県の在り方について意見を述べることは控えさせていただく」と述べた。
 遊佐町沖洋上風力発電事業に不安を抱えている町民がいる中で、どう進めていくのかとの問いには「開発事業者が決まらなければ、どのような施設が建つのかも分からない。『CG(コンピュータグラフィックス)で示せないか』とよく言われたが、確定していないものを示しても、行政の責任を果たすことにはならない」と説明した。
 その上で「この事業は、カーボンニュートラルに向け国が再エネ海域利用法を策定し、手順を踏んで進めてきている。町に与えられた権限を見ても、国が進めている事業にノーと言える立場には無い。先進地から教えてもらい、課題を見つけ出していくことが、私の責務」などと答弁した。

国が促進区域の指定案公告

 日本風力開発の塚脇正幸前代表取締役社長(64)=贈賄容疑で在宅捜査=を巡っては、山形県が2016年7月1日に山形市で開いた、エネルギー政策推進プログラム見直し検討委員会(山家公雄委員長)の第2回会合に、参考人として出席していたことが分かっている。
 その際、塚脇前社長は酒田港~酒田北港沖に3500キロワットの風車を100基程度建て、35万キロワットを発電するのは、1プロジェクトで可能との見方を示し「事業者、地元、地元行政が一体となり、地域振興プロジェクトに位置付ければ実現できる。山形県の風力発電開発目標の40万キロワットへの挑戦は十分可能というのが私の意見」などと語った。
 こうした経緯などもあり、一部関係者や住民の間からは「事件の進展次第では、(遊佐町沖と酒田市沖で)これまで積み重ねてきた内容を、再検討する必要がある」との声も聞かれる。
一方、国が促進区域への指定案を公告した遊佐町沖洋上風力発電は、15日まで縦覧を行う。促進区域に指定されれば、事業者の公募など事業化に向けた動きが本格化する。

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