郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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加茂風力発電計画
反対署名1万筆を提出
日本野鳥の会も中止を要請

 市民団体「ラムサール湿地近接風車に反対する会」(代表呼びかけ人・佐久間憲生出羽三山の自然を守る会理事長ら6人)は8月29日、ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)(東京都、竹内一弘代表取締役社長、以下JRE)が鶴岡市加茂地区で計画する発電用大型風車に反対する署名1万筆を市に提出した。署名は9月7日までに環境省、県、JREにも提出した。(編集部課長・土田哲史)

 署名は8月29日時点で1万232筆。内訳は市内7割、市外2割、県外1割。署名活動は今後も続ける。
 同会は8月23日に鶴岡市役所で記者発表し、佐久間代表呼びかけ人は「当初の目標としていた数に到達した。計画地は大切な場所。加茂近隣の三瀬八森山では風車への衝突死の可能性があるクマタカの死骸が見つかり、心配していたことが現実になった。JREはこの事実を受け止めて対応していただきたい」と話した。
 公益財団法人日本野鳥の会(東京都、遠藤孝一理事長)と同会山形県支部(細谷千鶴子支部長)、日本雁を保護する会(宮城県、呉地正行会長)も8月15日、加茂地区の発電用大型風車の計画中止を求める「(仮称)加茂風力発電事業の建設予定地に近いラムサール条約湿地である大山上池・下池に生息する希少鳥類の保全に関する要請書」をJREに提出した。
 同要請書は、中止を求める理由に▼大山上・下池は国際的にも我が国にとっても国内有数の水鳥の重要生息地▼鳥類が計画地に向かって飛べば、風車への衝突が起こるか風車を避けて飛ぶ障壁影響が発生する▼計画地と周辺はクマタカやオオタカなど希少な鳥類が繁殖する国内有数の生物多様性ホットスポット▼これらの希少鳥類は、風車への衝突や生息地放棄などの影響を受けやすい▼運転開始から2年も経たない八森山の風車で衝突死の可能性があるクマタカが見つかった▼クマタカの衝突死と営巣地放棄は人間が考え得る保全措置では防げない―などを挙げている。
 一方、鶴岡市は、加茂の風力発電計画に対する市の見解を示す文書「ラムサール条約登録湿地近傍での風力発電事業の問題点について」を8月25日に更新した。
 同文書では、JREが8月18日、ラムサール条約湿地の北海道サロベツ原野から約1・5キロで発電用大型風車14基が稼働していると主張してきたが、「渡り鳥にとって重要なペンケ沼からは4キロ以上離れており、大山上・下池と同列に論じることはできない」などと反論している。

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反対する会が反対署名1万筆を報告(8月23日)

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