郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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2024年度インフラ予算
国は高速道路を主に175億円
県は酒田港整備に45億円

 国土交通省は、庄内の道路、港湾、河川整備に係る事業費計175億4600万円を2024年度当初予算に計上した。高速道路などの道路事業に計136億5200万円、酒田港の洋上風力発電基地港湾指定に向けた岸壁整備などに計27億6千万円、河道掘削などの河川事業に計11億3400万円を盛り込んだ。県も酒田港の基地港湾指定などを見据えて24年度当初予算の県港湾整備事業特別会計と一般会計に、計44億8550万円を計上した。

 道路・河川整備予算   日沿道などに136億円

 国土交通省酒田河川国道事務所は、24年度当初予算に147億8600万円を計上した。内訳は道路事業が136億5200万円で前年度比9億9500万円6・8%減、河川事業は11億3400万円で同4100万円3・8%増となった。
 道路事業が減った要因は、日本海沿岸東北自動車道(日沿道)の遊佐比子~遊佐鳥海インターチェンジ(IC)間6・5キロが3月23日に開通し、その事業費が無くなったため。河川事業は最上川さみだれ大堰ゲートの更新が新規事業となったために増えた。
 道路事業のうち、日沿道遊佐鳥海~秋田県境間8・0キロは、長さ1・7キロの吹浦高架橋の下部工と橋げたの工事、道路設計、用地買収を行う。
 同区間を含む遊佐鳥海~秋田県にかほ市象潟IC間17・9キロは、にかほ市の小砂川~象潟IC間7・3キロが25年度に、遊佐鳥海~小砂川IC間13・2キロが26年度の開通を予定し、鶴岡市あつみ温泉〜秋田県能代市二ツ井白神IC間が2年後までにつながる見込み。
 日沿道の新潟県境~鶴岡市あつみ温泉IC間6・7キロは、鼠ケ関トンネルと小岩川第二トンネルの掘削を継続し、道路設計と用地買収も進める。同区間を含む新潟県村上市朝日まほろば~あつみ温泉IC間40・8キロの開通時期は未定。
 地域高規格道路の新庄酒田道路では、戸沢村古口~庄内町狩川間5・8キロの道路設計と用地買収を行う。開通時期は未定。
 酒田市広野の国道7号約1・2キロを拡幅する国道7号興屋地区事故対策と福岡交差点改良では、車線を増やす工事などを行う。
 遊佐町白木の国道7号白木地区交差点改良と同地区事故対策では、バイオマス発電所へ木質燃料を搬入する大型車両の通行を円滑にするため、交差点を広げる。
 鶴岡市東原町の国道112号約1・0キロでは、2車線から4車線へ広げるため調査設計と道路工事を行う。
 河川事業では、さみだれ大堰ゲートの水をせき止めるゴム袋体の2~5号を、28年度までに更新する。
 最上川の酒田市遊摺部地区と赤川の三川町田田大橋下流で、水害対策の河道掘削を行う。酒田市の最上川下流鈴川排水機場設備更新は、排水機場のポンプを新しくする。鶴岡市の赤川かわまちづくり事業では、王祇橋〜三川橋間に管理用道路や親水護岸を整備する。

新庄酒田道路が一部開通

 庄内と最上を結ぶ新庄酒田道路のうち、戸沢村以東は国土交通省山形河川国道事務所が事業を担う。同事務所24年度当初予算のうち、新庄酒田道路に関係する予算では、新庄市升形~戸沢村津谷間6・0キロが、防護柵などを設置して今年度に開通する見込み。
 新庄市升形~戸沢村津谷間の西端で接続する高屋防災4・4キロは、道路設計と用地買収を行う。高屋防災の西端でつながる高屋道路3・4キロはトンネル工事や道路の調査設計などを行う。開通時期は未定。

石巻新庄道路が一歩前進

 宮城県石巻市と酒田市を結ぶ高規格道路「みちのくウエストライン」(160キロ)のうち、石巻市~新庄市間約110キロについて、国土交通省東北地方整備局は24年度予算概要の中に「県境部付近など現道課題の多い区間の計画の具体化に向けた検討を、関係自治体と連携して進めます」と記載し、整備に向けた調査を始める考えを示した。
 同省山形河川国道事務所によると、調査の予算額は未定だが、今年度は石巻~新庄間で事故の多い場所などを、沿線自治体の協力を得ながら洗い出す考え。

 酒田港整備予算   基地港湾整備に26億円超

 国土交通省は1日、24年度公共事業予算の配分(箇所付け)を発表し、遊佐町沖と酒田市沖での洋上風力発電の事業化を念頭に、酒田港の海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾(基地港湾)の指定に向けた岸壁整備などに、計27億6千万円を配分した。
 洋上風力発電設備の設置や維持管理に利用される基地港湾には、風車の羽根や支柱、機械室といった資機材を扱うことが可能な耐荷重・背後地を備えたふ頭が必要になる。
 このため同省は、新たに「酒田港外港地区国際物流ターミナル(−12メートル)整備事業」(24~27年度)26億1千万円を盛り込み、24年度分を含む国直轄事業分104億円を合わせた計122億円を投じて、港湾機能を強化する。
 同省酒田港湾事務所と山形県港湾事務所の担当者によると、山形県は酒田港外港地区の海面埋め立て用地41ヘクタールを「大浜西ふ頭」として整備し、うち岸壁と背後地8ヘクタールが早ければ4月下旬にも基地港湾として指定される見通しとなっている。
 これを踏まえ同省は、国の直轄事業で▼新たに船を係留する延長230メートル、水深12メートルの岸壁▼船が安全に停泊できる面積1・4ヘクタール、水深12メートルの泊地▼船が往来する面積21・2ヘクタール、水深12メートルの航路・泊地―を整備する。24年度は岸壁整備に向け既設護岸を撤去し、洋上風力発電設備の各種資機材の重みに耐えられるよう地盤改良工事などを行う。
 基地港湾に指定される見通しの背後地と岸壁は、国が発電事業者に最長30年間にわたり貸し付ける。
 このほか酒田港港湾整備事業に計1億5千万円を配分した。同事業は「外港地区国際物流ターミナル整備事業」6千万円と「外港地区防波堤改良事業」9千万円の二つに分かれ、いずれも継続事業。防波堤を整備して防災・減災と荷役作業の安全性・効率性の向上などを目指している。
 24年度は外港地区国際物流ターミナル整備事業で防波堤(北)(第二)の上部コンクリート打設を、外港地区防波堤改良工事では、防波堤(北)(改良)の上部コンクリート打設と消波ブロック据え付けを行う。

洋上風力に42億円超計上

 山形県も酒田港の基地港湾の指定などを見据え、24年度当初予算の県港湾整備事業特別会計と一般会計に、計44億8550万円を計上した。このうち基地港湾関連予算は42億3800万円に上り、当初予算全体の95・5%を占める。
 内訳は①県港湾整備事業特別会計の酒田港施設整備費②一般会計の酒田港整備事業費③同国直轄港湾事業費県負担金④同港湾施設長寿命化対策事業費=表参照
 酒田港では、洋上風力発電設備などの導入促進と基地港湾の指定に向け、23年12月に港湾計画を一部変更し、外港地区に岸壁や航路・泊地、ふ頭用地などの整備を新たに計画した。
 これに基づき①の「大浜西ふ頭の調査設計」(新規)では、24年度に基地港湾の岸壁と背後地を除いた用地を発電事業者に貸し出すための調査設計を行う。国が貸し付ける背後地が不足する場合を想定し、県が管理用道路などを除いた26ヘクタールを貸し出せるようにする。
 同じ①の「高砂埋立護岸工事」(継続)では、23年度に調査設計を終え、工事3件を発注済み。24年度は酒田港国際ターミナルや展望台のある高砂ふ頭西側に、しゅんせつした土砂を受け入れるための護岸を造る。
 ②の「波除堤の調査設計」(新規)では、24年度に大浜西ふ頭に造る岸壁の波を抑える波除堤を新設するための調査設計を行う。岸壁の西側に長さ175メートルにわたり消波ブロックを置く予定。
 ③の「岸壁と航路・泊地の整備」(同)では、国が直轄事業で岸壁や航路・泊地の整備、しゅんせつも行うことから、24年度に県が負担金を拠出する。
 このほか①に「大浜ふ頭の舗装改良工事」(継続)と「西ふ頭上屋、西ふ頭くん蒸上屋、古湊ふ頭上屋の照明のLED化」(同)、④に「港湾施設長寿命化対策事業費」(同)を盛り込んだ。
 港湾施設長寿命化対策事業では、24年度に岸壁や護岸などを対象に損傷、劣化、変状が無いか定期点検で調べ、長寿命化対策に要する詳細設計や工事も行う。

表

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