酒田の花火
有料席の7割超は業者が買取
収支合うまで残り837万円
酒田市の最上川河川公園で8月3日に開かれる「酒田の花火」の有料観覧席と駐車券のチケット販売額が、6月19日時点で収支が均衡する当初予算(販売予定額)を837万6860円下回っていることが、同市への取材で分かった。酒田の花火は、前回大会で約1900万円の赤字となり、市が赤字を全額補てんしている。市の担当者は「前年度に比べ(チケット販売の)出足は遅いが、今のところ心配する状況には無い」との見方を示すが、市民の間からは販売の先行きを不安視する声も聞こえてくる。(編集主幹・菅原宏之)
駐車券の出足不調
酒田市役所で6月20日に開かれた「酒田の花火実行委員会」(実行委員長・矢口明子市長)の24年度第2回会合を受け、同26日に松永隆・市交流観光課長が取材に応じ明らかにした。
それによると、有料観覧席は前回大会の6060席から、今回は4750席に1310席21・6%減らした一方、無料の市民抽選席を同千席から3千席に増やした。有料観覧席と駐車券は、前回大会ではセットで売ったが、今回は別々に売る。駐車券は1700台分を販売する。
有料観覧席と駐車券のチケットは、販売を受託したインターネットのチケット販売業者「(株)イープラス」(東京都)が6月1日から受け付けを始めた。しかし、両チケットの販売収入を合わせた事業収入は19日時点で3046万6140円と、当初予算3884万3千円の78・4%にとどまる=表参照=。
内訳は、有料観覧席販売収入が3017万400円で、当初予算3685万2千円に対する不足額は668万1600円。駐車券販売収入は29万5740円で、当初予算199万1千円に対する不足額は169万5260円。
市負担金500万円増す
同実行委員会の当初予算は、総収入が9625万6千円と、前回大会の1億2016万6千円から2391万円19・9%の減額を見込んでいる。▼事業収入はバス駐車場収入などを加え3989万3千円と同2701万円40・4%減▼企業協賛金収入は2300万円と同200万円8・0%減▼市民募金収入は328万3千円と同148万円31・1%減▼市負担金収入は2850万円と同500万円21・3%増▼繰越金は157万円―などとなっている。
市負担金収入を増額したのは、2年連続で赤字は出せないことから、収支の安定を図るため。企業協賛金収入の減額は、前回大会の赤字に対する批判があり、協賛を辞退する企業が出ることを想定したためで「収入は堅く見積もっている」(松永課長)と言う。
今回大会は、赤字リスクを最小限にするため、1万発の打上げ数は変えずに、打上げ時間を従来の90分から60分に短縮する。二尺玉競技大会と水上スターマインは休止し、雨天などに伴う順延はしない。
販売の行方不安視する声
松永課長は「(チケットの)売上は前年度に比べ出足は遅いが、一般的に7月に入ると伸びる傾向があり、現時点で心配する状況にはない。市民の花火を第一に考えながら、観光客も呼び込める大会にしようと鋭意努力してきた。準備は順調に進んでいる」と話す。
しかし市民の間からは「前回大会で収支が赤字になったこともあり、有料観覧席が売れるのかどうか疑問」「従来の花火大会で赤字になることは無かった。なぜ元に戻そうとしないのか」「商業花火を開催する実行委員会のノウハウが問われる」といった声が上がっている。