郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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大雨被害
どうする八幡保育園の再開
「戻りたい」保護者は多く

 酒田市立八幡保育園(堀ゆかり園長、園児69人)は、7月25日の大雨ですぐそばを流れる荒瀬川の氾濫で園舎が床上浸水し、床下に土砂がたまった。園舎は使えなくなり、同市立松山保育園の園舎を間借りして保育を続けている。市は9月2日の保護者説明会で、園舎を補修再開しても安全性を確保する必要があり、移転するには1〜2年以上要するなどと説明した。転園を含めた保護者の意向を9日までに聞き、同市の方針を協議する。(編集委員・戸屋桂)

松山保育園で間借り保育中

 酒田市保育こども園課によると、八幡保育園は園舎東側の2~5歳の保育室などを中心に、泥水が床上に及び、床下には泥がびっしり入り込んだ。園舎での保育は難しいと判断し、全園児と職員が7月29日から、松山保育園に移って代替保育をしている。
 松山保育園には、2歳児以上の希望者は朝のみバスを運行して送り、夕方の迎えは保護者が対応している。
 市は、園舎の床下の泥の撤去や床暖房、壁、プール、遊具、園庭フェンスなどの修繕費1億420万円と、園舎の清掃や消毒、流木撤去などに約500万円の計1億900万円を、補正予算に計上した。復旧工事も8月中に始めた。
 保護者説明会は8月26日に開き、被害の現状を伝えて保護者の意見を聞いた。
 保護者からは「八幡保育園に戻りたい」という発言が多く、①全園児・クラス・先生をばらばらにしないで、八幡保育園の保育を受けたい②八幡地域から保育園を無くさないでほしい③松山保育園に通園するのはいつまでか④松山保育園に夕方もバスを運行してもらいたい⑤全体の見通しが知りたい―などの意見が出た。

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床上浸水した八幡保育園。荒瀬川のそばに建つ

補修再開か移転か協議へ

 市保育こども園課では保護者の意見を踏まえ、9月2日の説明会で、園舎復旧や八幡地域での保育を続けるための、短期と中長期の2案を示した。
 短期案は、浸水していない子育て支援センターを含めた、八幡保育園園舎西側を中心に、園舎の一部を補修して再開するというもの。4カ月程度で再開できる可能性はある。荒瀬川は形状が変化し、大量の土砂流入で水深が浅くなっているため、河川改修の進み具合も見ながら、雨量や増水の予測に注意して、事前避難などのソフト面で安全性を補完していく必要がある、と説明した。
 中長期案では、水害を避けるために、市の他の既存施設を改修して移転するにしても、再開までには1年程度かかるし、新たな場所に移転新築するには場所の選定を含めて2年以上かかるなどと、再開は長期化するとの見通しを示した。
 同こども園課では、全保護者の転園も含めた意向調査を、9日昼までに終えた。これを踏まえ、市では今後の方針を協議する。
 八幡保育園をめぐっては、市が8月26日の説明会で、同園をどうするか方向性を全く示さず、来年度の入園募集の停止を検討し、他園への転園希望を調整する、と説明したため、保護者らは「市は八幡保育園を閉園するつもりではないか」と不安を募らせ、さまざまな波紋を呼んだ。
 村上環同こども園課長は「転園だけがクローズアップされて受け止められてしまったが、保護者の意見を聞く場と考えていた。八幡保育園を閉園するつもりは無く、年長児にも八幡保育園を卒園させたい。一方で転園を考える保護者の声も拾う必要がある」と話した。

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