郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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本紙新春座談会
認定遺産つないで商品化を
「観光客と交流 人口を増やして庄内活性化」㊦

 本紙主催新春座談会の最終回は、日本遺産などの活用策、DMO(観光資源に精通し、地域と協力して観光地域を作る法人)の必要性、庄内の二次交通、文化・スポーツ大会や学術会議の誘致、国連世界観光会議での庄内のアピール、仙台空港へのタイ直行便誘致などについて話し合った。司会は編集部・土田哲史。文中敬称略。

DMOの設立が必要

小野 真哉氏
山形県庄内総合支庁長
小野真哉氏(59)
2008年に県庄内総合支庁産業経済企画課観光振興室長、11年県商工労働観光部観光経済交流局観光交流課長、13年同局長、16年同部観光推進監兼同局長などを歴任。17年より現職。

酒井 忠順氏
旧庄内藩主酒井家第19代、致道博物館理事副館長
酒井忠順氏(43)
鶴岡市生まれ。羽黒高校、獨協大学経済学部経営学科卒、同大学院経済学研究科修士課程修了。立教大学学芸員課程修了。09年松岡物産(株)(現:(株)荘内藩)代表取締役。16年致道博物館理事副館長。

永田 斉氏
酒田市総務部市政推進調整監兼危機管理監
永田斉氏(59)
酒田市生まれ。酒田商業高校、中央大学経済学部卒。1981年酒田市役所入庁。税務課、議会事務局、総務課、企画調整課、高齢福祉課、商工港湾課などを経て現職。市長の特命事項、各部門の調整を担当。

中原 浩子氏
東北公益文科大学観光まちづくりコース日本語助教兼特任講師
中原浩子氏(56)
広島県出身。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒。山形県観光審議会委員、鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会アドバイザー、酒田コミュニケーションポート(仮称)整備検討委員。

大川 光二氏
(株)庄交コーポレーション常務取締役
大川光二氏(58)
鶴岡市生まれ。山添高校卒。2002年庄交商事(株)入社。10年1月(株)庄交コーポレーション本部総務部長、10年10月同社執行役員、12年同社庄交トラベル事業部代表執行役員、14年同社取締役。16年より現職。

熊谷 芳則氏
(一社)みちのくインバウンド推進協議会理事長
熊谷芳則氏(60)
1957年12月生まれ。99年4月(株)ホテルリッチ酒田代表取締役就任。酒田市ホテル振興協議会長、酒田地区防災協会長。2016年4月から(一社)みちのくインバウンド推進協議会理事長。

司会 日本遺産、ジオパーク、ユネスコ食文化創造都市などの認定をどう活用していくべきか。
中原 山形には観光も食も良いものがいっぱいあると言うが、確かに資源はあるが商品になっていないのが山形の弱みだ、といつも残念に思っている。多くの方の努力でこれほどまでに認定を受けながら、そこから発展した戦略がうまく機能していない。
 観光客は自由気ままな行動を取るので、ジオサイトだけを見るために来ることはない。日本遺産もジオパークも食文化も祭りも温泉も観光施設もスーパーも、全てが訪問地と成り得る。認定された場所や事を連携して途切れのない誘導ルートを商品化することが重要。
 私たちが外国旅行する際を思い浮かべれば、容易に思いつくはず。パリやロンドンでは有名な観光地を回り、お土産を買いたい。しかし何回か旅をすると、普通の観光客が行っていないフランスの田園地帯で農家に泊まって、ワイン作りをしてみたいと思ったりする。庄内も、そのような位置づけではないだろうか。都会ではできない、その土地の生活体験を提供する。それがここにしかない記憶に残る旅の創出になる。
 作って売って受け入れる。観光客が求める商品を造成し、それをターゲット客に販売し、地域の人と連携して観光客のニーズを的確に受け入れる、そういう途切れのない受け入れが必要。それをやっていくDMOの設立が早急に求められる。
 庄内の食は自然や土地力、生活や文化というストーリーに基づく魅力を持っているが、見せ方、伝え方、いわゆる編集の仕方がまだできていないので、テロワールと称される食の背景にある歴史や生活文化まで評価するフランスの美食ガイド『ゴ・エ・ミヨ』に評価を受けると良いのではないか。
永田 北前船の日本遺産に全国の11自治体が一緒に認定されているので、今年度は11自治体全体のPR動画を作っている。それをきっかけとして次年度以降PRしていかなければならないと思っている。まず地元の人に知ってもらうということが大切。北前船で繁栄した時の様子を再認識してもらい、皆さんから発信してもらいたい。11自治体での連携も模索していきたい。
大川 私は酒田の観光パンフレット「酒田散歩」を非常に良いと思っている。酒田散歩を持って実際に歩いてみたら施設の入館料が高いと感じた。もっと料金の工夫ができないか。観光自転車はどこでも返却できて使いやすいのに観光料が高すぎる。周遊させるために割引するとか、施設間で何か工夫してほしい。

自動運転バスで施設を巡回

酒井 国指定史跡松ケ岡開墾場内の大蚕室5棟については、鶴岡市が活用計画を策定中だ。「サムライゆかりのシルク」を含めてこの庄内地域に日本遺産の認定が三つもあるということは、他地域にはない大きな強み。うまく連携できれば面白い。
 私が以前、松岡物産社長として松ケ岡開墾場を本拠としていたとき、庄内藩レトロバスという事業があった。例えば日本遺産を巡る、できれば無料か可能な限り低料金で乗り降りできるような巡回バスがあれば、日本遺産認定のPRにもつながるし、巡りやすくなる。
 ミシュラングリーンガイドの審査で松ケ岡が星を獲得できなかったのも、公共の交通手段が無いということがネックになったと聞いている。ローカルの交通網の整備こそ大きな課題。
小野 残念ながら費用面の課題があってレトロバスを現在は走らせていないわけだが、時代が変わり、環境対策、環境をさらに大切にしようという流れの中で、ゼロエミッションのEV(電気自動車)を使って自動的に走るようなものを使ってはどうか。高畠町で駅から観光施設まで、ドライバー無しでEVが送迎する実験が始まるようだ。そういう新しい交通方策で松ケ岡や出羽三山に行くということも検討していければいいのではないか。そんな時代になっている気がする。
熊谷 NHK大河ドラマで西郷隆盛(南洲)を取り上げている。「南洲翁遺訓」は庄内藩士が作り上げたものなので、全国区でそういう話を引き合いに出して、日本遺産などにもつなげていく戦略を立てるべき。酒田に南洲神社があることも、全国では知らない人がたくさんいる。松ケ岡も西郷が献策して開墾された。日本遺産やジオパークにつなげていく戦略を取る方がいい。

文化・スポーツ大会も有効

司会 文化や学会、スポーツの大会なども交流人口の拡大に有効だと思うが。
小野 文化・スポーツ大会、学会は人が大きく動くものなので、観光の手法を使って文化を活用するということが必要。大会の前後には人が観光に回ったりする。企業研修も同じで、100人規模で研修して、その地域の観光資源を見て回り郷土の成り立ちを知ることも、つながりになる。
 県庄内総合支庁には、庄内全域の市や町、経済界の皆さんからお金を出してもらっている庄内観光コンベンション協会がある。ここがもっともっと活躍すべき時が来ている。大学や、スポーツ大会を催す協会・事務局に足しげく通って誘致活動をすることが必要。
 庄内は伝統芸能や文化財が非常に多いところで、それを大切に守りつなげてきた方たちもとても多い。なぜこの伝統芸能がここに生まれ、ここに残っているのか。その意味合いは何なのか。刀をくわえて逆立ちをして舞う素晴らしい番楽も、意味が分からなければ外国人には伝わらない。素晴らしいものを分かるように伝えながら誘致していくことが必要な時代になっている。
酒井 致道博物館は入館者数がピークの1994年には17万人、昨今は4万人くらいまで減少している。10万人を超えていたころは団体客が大型バスでどんどん入ってきていた。入館者数が減ってきたのは、個人客が中心になってきたため。
 それをどうするか考えたときに、学会などが開催されたときは県外から来た人が必ず立ち寄る博物館にしていかなければならない、と思っている。当館は総合博物館であり、考古、民俗などさまざまあるが、県外の人が見たいのは、この地域がどういうところで、どんな暮らしをしていたのか。庄内の歴史や酒井家の歴史を30分程度の短時間で分かるような展示コースを作ったりして、料金設定も考えていかなければならない。
 以前、私がガイドになり、酒井家の歴史など館内を約30分案内する特別なツアーがあった。徳川幕府の衰退につながっていく三方御国替えや鳥羽・伏見の戦い、戊辰戦争のきっかけとなった江戸薩摩藩邸焼き討ち事件など、歴史的に面白い部分に庄内藩が関係している。庄内藩と西郷さんとの関係、松ケ岡開墾の経緯、南洲翁遺訓を日本全国に頒布したのも旧庄内藩士たちであったことなど、伝えたいことはたくさんある。
 現在、致道博物館の戊辰関連の展示は一部屋だけだが、もっと面白い展示ができるのではないかと思っている。もっと魅力的にするためにもコーディネーターやプロの視点、外部の視点も入れながら考えていかなければならない。

眠れる未来の宝物を発掘

酒井 ゲーム「刀剣乱舞オンライン」のファン、刀剣女子たちで近年、致道博物館は大いににぎわった。きっかけは致道博物館が所蔵する重要文化財「短刀銘吉光(名物信濃藤四郎)」が刀剣乱舞オンラインのキャラクターになったこと。2度のコラボ企画・展示につながって、県内外や海外から2万人超が鶴岡を訪れた。
 博物館だから流行物やサブカルチャーはやらないとか、品格が大事とか、さまざまな考え方がこれまであったのも確か。しかし、これからは品格を保ちつつも、新しいチャレンジをしていきたい。今後、第3弾の刀剣乱舞オンラインとのコラボ企画・展示の開催も含めて模索したい。刀剣だけでなく、これからスポットを浴びるものがまだ博物館には眠っているかもしれない。未来の宝物、ポスト刀剣を探していきたい。
大川 今度新しくなる刀剣博物館(東京都墨田区に1月19日開館)の館長に酒井忠久さんが就任するので、うまくつなげていけないか。我々も大相撲と刀剣博物館を組み合わせたツアーを組み立てている。情報共有しながら地元で何か結び付けられることをしていきたい。
永田 酒田市ではさまざまなネットワークを使って情報収集をしている。競技団体の人からも積極的に動いてもらい、昨年は卓球リーグの開催も決まった。選手だけでなく、見に来る人もたくさんいる。その人たちに酒田のことも見てもらい、再度来てもらうことにつなげたい。誘致には力を入れていきたい。
小野 スポーツ大会は明るさをもたらし、影響は大きい。モンテディオ山形のテストマッチを小真木原でしてもらったが、あのチームはもともとNECを母体としていて鶴岡とは縁が深い。モンテディオやバレーのアランマーレが勝った時の喜びは非常に大きい。そういったプロスポーツを庄内でもっと開催したい。
 文化面では荘内神社がSNSでとても人気を集めている。それはあそこにいる猫の歩いている姿などが人気で、猫を見に来る人もいる。何気ないもので人を呼び寄せられるものがある。いろいろなアンテナの高い人たちの協力を得て発信していくことも重要。

世界観光会議で庄内を発信

司会 2月1日に国連世界観光会議が山形市で開かれる。
小野 世界各国の観光の責任者が山形県に来るのは大変なこと。ここでどのくらい庄内の魅力を発信できるか。庄内の精神文化の深さや、ウインターツーリズムということで冬の観光がテーマになるそうなので、庄内の冬の魅力をどう伝えられるか。食では寒鱈に続いて寒フグ。冬の厳しさの中で凛とした、あれだけ高い場所で雪下ろしをする、羽黒山五重塔の姿は非常にインパクトがある。世界の観光トップに映像か何かで伝えていく。
 酒井さんをはじめいろいろな本物の人たちが、国連世界観光会議にいらっしゃる方々と、直接どれだけ意見交換や交流ができるか、ということも大切なポイントになると考えている。庄内総合支庁としてもさまざまな面で頑張っていきたい。
司会 メイン会場は内陸か。
小野 内陸になるようである。ただタレブ・リファイ事務局長が昨年3月に庄内に入り、そこから内陸に入り、山形県の美しさに感激した。そして世界観光会議を山形県で開くということを吉村知事に約束したということ。そういう経緯なので、事務局長と当時のトップの頭には、庄内の姿がインプットされていると思う。この機会に庄内の魅力をどのように世界の皆様に発信していくかが、大きなポイントになっている。
熊谷 観光コンベンション協会には我々みちのくインバウンド推進協議会もメンバーとして入っているが、具体的な成功事例が残念ながら少ない。本来、MICE(学会・旅行・国際会議・展示会)は絶対呼んでこなければならない必須なもの。いろいろな会議が庄内で開かれ、たくさんの人が来る。そして終わった後にエクスカーション(小旅行)で回っていただく。
 そう考えた時に国際会議ができる施設があるのか。新鶴岡市文化会館や酒田の希望ホールがそういう時に使えるのか。我々としては誘致してほしいし、その場合どういう営業が必要なのか。今後、五輪合宿の話も出てくるのかもしれないが、主要な人たちが庄内に来て発信する機会になると思うので進めてほしい。
大川 サイクルイベントを庄内で開けないかと動いている。きっかけは、ブリヂストンの現社長が鶴岡市の出身というつながりがあり、同社から庄内に足を運んでもらい、現状を見てもらった。自然も豊かで食文化もある、いい環境の地域で開きたいとなった。時期は未定だが、2市3町オール庄内での開催を模索している。
 寒河江市では青年会議所が中心となってツール・ド・さくらんぼを開き、1500人集客している。東北の中で大きなサイクルイベントが無いのは山形県、しかも庄内くらいなので、事務局みたいな形でできないかと動き出している。オール庄内のサイクル企画が出来れば一体感が生まれ、誘客にもつながるのではないか。

仙台空港にタイ直行便を

司会 交通面の課題は。
小野 高速交通網が庄内では大きな課題。高速道路は、つながっていないことには効果が非常に小さくなる。ボツボツ切れている高速道路を早くつなげていく必要がある。海路の方は、酒田港は今、国と県の整備が大変進んでいる。最大16万dクラスの船まで入れるようになった。これは東北で一番の大きな船が入れるということ。
 鉄路は特急いなほの運休率が少し高いのではないかと感じる。JRでは新潟駅が同一ホーム化になっていくので利便性が高まる。いろんな工夫をしながら運休率もぐっと低くなっていくといいのではないか。
 あとは何と言っても空路。これはボーイング767が夏場に飛んでいたわけだが、ああいう中型機、270人乗りの飛行機が年中飛べば一番いい。もしいろんな面で心配というのであれば、たとえば190人乗りくらいの機材を年中飛ばすとか。
 空路については地域の皆さんからも、とりわけ便数を増やしてほしいということと、席数を確保してほしいという要望を頂いている。ビジネスの利用者でもういっぱいで、席数が無ければ旅行商品も作れない。もう一つは、運賃をもう少しリーズナブルにできないか、何とか検討してもらいたい。
熊谷 庄内空港を使うとどうしても乗り継ぎが必要になる。例えばタイの場合、タイ国際航空で羽田に着くのはだいたい午前6時半ごろになるので、東京発庄内行きの始発便には間に合わない。昼の便で来ることになるが、羽田で相当の時間、待たないといけない。羽田空港にバスを乗り付け、東北を回るコースも準備しているが、かなり長距離の移動になるので、途中で日光東照宮を見せるなど飽きさせないコース設定を考えないと、なかなか難しい。
 庄内空港を使うのはタイの富裕層だが、タイの物価水準は日本の3分の1ぐらい。料金が高いのはネックになる。タイからのツアーは11月に1本、12月に2本来ることになっていたが、料金の問題でキャンセルになった。肝に銘じておくべきは、外国人観光客は結局、相手国の旅行会社が客を集めてくれないと実現しないということ。日本国中で地域間競争をしているのに、料金が日本一高いというハンデが加われば非常に厳しい。
 今、インバウンドのゴールデンルートは東京から大阪までで、外国人は必ず行く。名古屋から能登半島に抜けるドラゴンルートも、途中に立山・黒部アルペンルートがあって、雪の壁をバスで通り抜けるのが、外国人にはダイナミックに感じるようだ。
 北海道、九州、沖縄は直行便が飛んでいるので、乗継料金が掛からずに済む。インバウンドがたくさん来ているのは直行便がある所。仙台空港にタイからの直行便を誘致していただきたい。実現すれば、東北に大きな流れが出てくると思う。
 日本海側の高速道路がつながっていないのも大きなネック。バスでの移動が基本なので高速道路が無いと時間の短縮、休憩場所の確保が困難になる。
小野 チャーター便については、昨年は韓国からしか来ていないが、韓国をはじめ、特に山形県のことが大好きな台湾からのチャーター便が、以前のようにどんどん来るように誘致活動を進めていきたい。タイのような王国の方々には昔の酒井家のプリンス、若殿ですよ、本物ですよというのがよく伝わる。そうしたこともあってチャーター便に期待したい。誘致活動も一生懸命していきたい。
司会 羽田からの航空運賃が高いとの話だった。LCC(格安航空会社)を庄内空港や山形空港に誘致しようという構想はないのか。
小野 LCCは庄内空港の活性化ということでは、以前から経済界から意見が出ている。庄内空港を活性化させるにはぜひ必要な検討材料と考えている。
熊谷 インバウンドに関係なく、関西空港から庄内空港にLCCを飛ばしてくれたら、格安で関西に行けるのだから、庄内人にとって非常にいい。全日空と提携しているピーチアビエーションのようなところで庄内―関空便を開設してくれたら、国内旅行にとっては非常にプラスになっていく。
 正直、富裕層はLCCに乗らない。料金が荷物一つ一つに掛かるが、海外の人はとんでもない荷物を持ってくる。インバウンドにLCCは似合わないのでは。

二次交通は課題多い

大川 東北では、青森が観光客を集めている。その理由は、一つは北海道新幹線。もう一つは仙台空港が東北のインバウンドの入口になっていること。仙台を軸に福島、あるいは北上する周遊ルートが出来上がっている。北海道から南下して仙台から出国するのも便利。青森はちょうどよいところに位置している。庄内は出ていくのも入ってくるのも不便。周遊ルートを戦略的に作ることが庄内の活性化につながると思う。
 外国から来る人にジャパンレールパスがあれだけ利用されている中、新潟までは確実に同パスを使って来ている。その先の鶴岡、酒田でいなほを降りてから次の足、同パスの域内のフリーパスというか二次交通がセットされているものが、何とかならないのだろうか。
 二次交通で言うと、地域の生活路線と観光路線は区分けして考えていかないといけない。実験的に羽黒山から湯殿山につなげる路線などを始めているが、まだまだ改善が必要だし、放射状に出て行って回って帰ってこられるバスが無い。バスが地域にどうあるべきかを考える時が、もうそこまで来ている。
 外国人が増えることを前提とした話だが、高齢化社会の運転免許返納も含めて考えると、乗ろうとしているバスが今どこにいるのか、どこを走っているのかを分かるようにするとか、バスもIC化を図っていかないと。五輪など大イベントの後は地域住民が恩恵を受けることになるので、どこかのタイミングで取り組んだらいい。
中原 庄内に来てからの二次交通は大きな課題。地方はタクシーをうまく利用する方法を考えていかねばならない。東北高速バスのパスができたが、そこから先が無い。駅やバス停に着いてもホテルに行く足がない。バスとタクシーを組み合わせた移動手段の商品が必要。
 観光ポイントで実施した調査で分かったのが、庄内は通過点になっているということ。八戸のように夜や早朝の楽しみを用意している所は、滞在地として選ばれている。ナイトタイムエコノミー(夜間の消費・経済活動)を満たすべく、温泉旅館でも今後は、健康志向に応えて軽くすませた夕食のあとの、夜の楽しみ方を提供していく必要がある。

酒井家入部400年視野に

司会 最後に新年の抱負を。
熊谷 今後臨んでいくのは冬の観光。雪に魅力を感じる暖かい国の人には、ある意味キラーコンテンツになる。冬に来てもらえるツアーを狙っていきたい。
 2月8日にタイからのチャーター便が仙台空港に来る。230人が6班くらいに分かれて庄内に入ってくる。酒井家19代の忠順さんにも協力していただき、新たな着地型の体験旅行を成功させたい。定期的にタイからのチャーター便が飛んでくるようにしたい。いずれ定期便につながればいい。宮城、山形両県が主導権を握ってタイ国際航空の誘致活動を進めてほしい。
大川 今年新たにクルーズ船自体にチャレンジするし、サイクリングイベントのツール・ド・庄内という今まで地域の旅行会社としてやってこなかったことを軸に、いずれインバウンドにもつながる、庄内への誘客の道筋を確実なものにしていけたらと考えている。
中原 新年はプレDCということで、学生たちは自治体と連携してプロジェクトを企画し始めている。酒田駅前の施設も観光の拠点となるよう学生が将来を見据えて準備を始めている。地域の大人の方に支えて頂きながら、学生がいる土地の意味を把握し、大学のモットーである「すべての答えは現場にある」を胸に挑戦・実践を積み重ねて、地域に有益な人材を送り出していきたい。
酒井 致道博物館として酒井家として見据えているのは、庄内DC、東京五輪だけではなく、その先の未来のこと。2022年には庄内藩酒井家が庄内に入部して400年という節目の年を迎える。そこに向けて博物館として酒井家として、もっと地域に貢献できるような事業を立ち上げたい。
 「観光」とは国の光を見ることであり、400年前を考えると国の光はひょっとしたらお殿様であり、藩主の手腕力量にかかっていたと思う。庄内藩酒井家の末裔ということで、地域の方々に喜んでいただけるような、誇りにしていただけるような人間でありたいと思う。一人の人間として光輝けるようにこれからも学び成長していきたい。
永田 市長が人材は「人財」、人が財産ということを強調している。新年はクルーズ船も来るので、ぜひ市民と一体となって市全体が盛り上がっていけるような年にしたい。
小野 庄内の陸路、鉄路、空路、海路、この四つの基盤整備促進に頑張りたい。もう一つは飛島振興の方向性を、明るい未来を描けるように作っていきたいと思う。酒田市とさまざまな意見交換しながら飛島を発展させるために、いろんな人と議論しながら作戦を練っているところ。あとは具体的なところでは若者定着対策をまとめること。そして国連世界観光会議に向け庄内の魅力をぜひ発信したい。2回目になる庄内DCに向け、インバウンドも含めた庄内DCが成功できるような準備を進めたい。

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