郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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夏の決算 ―庄内―
高温・大雨が農業や消費に影響
客足鈍るも夏向け商品は好調

 今夏の庄内は、7月の高温と少雨、8月の大雨と台風などが農業や消費活動に大きな影響を与えた。だだちゃ豆や夏ネギなどの収量が減った一方で、スーパーでは飲料やアイスなど夏向けの商品がよく売れた。海水浴場は晴天の7月は好調だったが曇天の8月は大幅減となり、通期では平年並みだった。花火大会の人出は酒田、赤川とも前年を上回った。(本紙取材班)

農産物 だだちゃ豆は1割減収

 鶴岡市農協によると、メロンの出荷量は前年比8%増(小数点以下は四捨五入、以下同じ)。前年は5月下旬〜6月上旬の低温で収量が振るわなかったため、今年の出荷量は例年並みの見通し。単価は、競合他産地の出荷が早めに終わり、例年より高値で推移した。
 だだちゃ豆の出荷量は例年より1割減った。7月の水不足で実入りがばらついて規格外品が増え、8月の大雨で生育が急に進み、収穫が追い付かなかったことが要因。単価は、枝豆の流通量が少なかった一方、暑さが消費につながり、例年より高くなった。
 庄内たがわ農協では、枝豆の出荷量が8月までに67トンと、前年同期比23%増に増えた。熱風による葉の黄変が一部にあったが、8月までは天候の影響をあまり受けなかった。夏ネギは8月までで27トンと前年同期比21%減。暑さで生育が進まず、収穫期の大雨で畑に入れない状態が続いた。ミニトマトは27トンで同39%増。
 野菜全体では全国的な品薄傾向を受けて、価格が前年比約10%増と高値で推移した。
 赤カブは種まき直後の8月5日の大雨で種が流され、まき直した後も16日の大雨で流れた。種が確保できなくなり収量減は免れない。
 庄内みどり農協ではメロンの出荷量が前年より1割増えた。昨年の収量が低温で著しく落ちたためで、今年は例年より微減とみる。7月上旬は5月の低温で小玉化し、7月中旬は6月以降の高温で実割れを起こすなど品質が低下した。7月下旬以降は持ち直した。
 アスパラガスの収量は例年並みだったが、夏採りでは穂先が柔らかくなる「とろけ」が発生した。


小売 麺類やスイカが伸びる

 (株)主婦の店鶴岡店では猛暑で客足が鈍った。1人当たりの買い物点数が増え、客単価は上がったものの客数減を補うまでにはいかず、7〜8月の販売額は前年同期を少し下回った。
 スポーツドリンクなど機能性飲料を含む飲料全般やアイスクリームなど、暑い時に売れる商品は調子よく売れた。しかし、瀬戸内海周辺の水害後は全国的に飲料が不足がちとなり、アメ類も製造元の予測より売れて販売規制が掛かるなど、本来季節商品として特売するものに販売促進を掛けられなかった。ウナギは価格が高すぎて売りづらかった。
 惣菜は順調に売れ、天ぷらや揚げ物などは特に動きが良かった。一方、盆など催事用のオードブルや寿司パックは少量化し、売れる価格帯は4〜5年前の半額ほどに低下した。
 地元の特産品はメロン、ナシ、桃などは対抗できるが、枝豆は産直施設が圧倒的に強い。中元はホームセンターやドラッグストアなどと競争が激化している。
 暑いため店舗の電気料がかさんだ。冷蔵ケースの室外機のオーバーヒートを防ぐため、常時水をかけたことで、水道料も掛かった。
 生活協同組合共立社では、7〜8月の販売額は前年並み。氷が前年比18%増、アイスと飲料がともに同7%増、豆腐が同4%増と、夏に売れる商品は売れ行きが好調だった。生麺も乾麺も冷たくして食べる麺が伸びた。合わせて天ぷらも売れた。半面、米は苦戦した。塩蔵の魚の切り身や魚卵など、ご飯に合う商品は予測より動かなかった。
 スイカが去年と比べると極端に売れた。カットスイカやブロックにしてパックしたスイカは年々伸びていたが、今年は大玉の1個売りも売れた。今までの契約農家だけでは足りず、新たな仕入れ先も手配した。
 中元は前年比3%減。乾麺や飲料セット、洗剤は良かったが、店で買う客が減り、インターネットで注文して届ける方法に移行している。
 買い物客の来店時間がいつもより1〜1時間半後ろにずれ込んだ。晩ご飯を食べた後にそろって来店する家族や、暑くなる前の午前中に来店し、昼食を買って店内で食べ、夕方までいる年輩の人も目立った。

エアコン設置に追われる

 鶴岡市中心部に店舗を構える昔ながらの家電販売店の店主は「エアコンの設置に忙殺された夏だった」と振り返る。エアコンの販売台数は前年同期の1・5倍に上り、多い日は4〜5件の設置工事に追われた。
 顧客は付き合いの長い高齢の固定客がほとんど。真夏日が続いた6月の終わりごろから「冷房の利きが悪いので買い替えたい」「ほかの部屋にも付けたい」などの注文が入り始め、早めに商品の確保に動いた。注文は買い替えが7割、増設が3割を占めた。
 エアコンが売れた半面、他の商品は売れず、提案営業する暇も無かった。それでも、売上額全体では前年同期比1割増だった。


旅行 東京ディズニーが人気

 (株)近畿日本ツーリスト東北イオン酒田南営業所の旅行取扱高は、7月が前年同月比15%減、8月が同15%増となり、2カ月合わせた実績はほぼ前年同期並みで推移した。要因は①7月は国内、海外旅行ともに前年同月を下回った②8月に旅行が集中し、特に海外旅行は前年同月を130%上回ったこと。
 人気旅行先は、国内では開園35周年の東京ディズニーリゾートを目的とした首都圏方面、コンサートなどの催事を目的とした東京方面、それに北海道方面。海外の人気旅行先と売れ筋の価格帯は、韓国が2泊3日で大人1人5〜10万円。ハワイが3泊5日で同25〜30万円。欧州周遊が6泊8日で同30〜40万円。
 (株)庄交コーポレーションの庄交トラベルが主催したミリオンツアーの取扱高は7月が前年同月比56%増、8月が同18%減だった。
 上林弘昌同社営業一部課長代理は7月が伸びた要因を①庄内札所三十三観音霊場巡礼や恐山への参拝、チャーター機を使った北海道、仙台港発着のにっぽん丸クルーズなど、7月に昨年同月には無かった各種ツアーを多数催した②昨年7月の取扱高が低調だった―と分析する。
 8月の低迷は、長岡まつり大花火大会や大曲の全国花火競技大会、青森ねぶた祭りなど、花火と祭りを目的としたバスツアーは前年同月並みだったが、それ以外の1泊2日のバスツアーが不調だったことが要因。そうした中、東日本大震災後は催していなかった松島航空基地航空祭ツアーを7年ぶりに企画し、約160人が参加して人気を集めた。


海・山 海水浴客は乱高下

表
 庄内浜の海水浴場11カ所の総来場者数は51万3400人で、前年比700人0・1%増だった=表参照=。
 庄内最大の湯野浜海水浴場は前年比15%増。湯野浜温泉観光協会によると、7月は前年比82%増と、過去5年間で最多だったが、8月は同7%減と過去5年間で最少だった。
 7月は天候に恵まれたが、8月は稼ぎ時の第1日曜日の5日に記録的な大雨が降り、16日も大雨で、盆や週末に天候の崩れることが多かった。赤川花火大会のあった18日も気温が低く海水浴客は少なかった。例年は海水浴を楽しんでから花火に行く観光客が多い。
 駐車場のナンバーを見ると、太平洋側の車の減少傾向が続き、東日本大震災前の水準に戻りつつある。
 7〜8月の湯野浜の各温泉旅館の宿泊客数は、平年並みの見込み。各週末と盆休み期間の12、13、18日は全館ほぼ満室だったが、台風の接近、上陸が多かったため、交通機関の運休で急なキャンセルが目立った。7月は平年並みだった。
 酒田市定期航路事業所によると、7月の定期船とびしま乗客数は4607人で、前年同月比671人17%増えた。昨年より1便少ない45便が就航したが、飛島がテレビ番組で春先から頻繁に紹介されたことや、保護者同伴の小学生以下を1カ月間乗船無料にしたことで客足が伸びた。乗船無料を利用した小学生以下の乗客は324人と、前年同月より123人61%増えた。
 8月は5059人で同466人9%減った。台風などの影響で就航は昨年より6便少ない41便だった。繁忙期の11〜14日は全便就航し、満員に近かったが、それ以外の平日の乗客数が伸び悩んだ。
 羽黒町観光協会によると、7〜8月に月山を訪れた登山客は、8月に悪天候が多かった影響で前年を下回ったとみている。盆は平年並だった。羽黒山は国宝・五重塔の特別拝観が好評で、週末と8月11〜15日は随神門周辺の駐車場が満車になることが多かった。


土産・観光施設 夢の倶楽は増、水族館は減

 酒田市観光物産館酒田夢の倶楽の入込数は、7月が9万5409人で前年同期比3万0954人48%増、8月が10万8950人で同4436人4%増だった。
 盆休み期間の8月13〜15日は1万7302人と、同1091人6%減ったが、今年は盆の3日間に集中せず、8月10〜20日では5万1170人で同1037人2・1%増えた。向かいの消防署跡地を臨時駐車場にしたことで、混雑を昨年より抑えられた。
 土産品は、新商品の夏季限定メロンのバウムクーヘンが人気だった。館内にお薦めランキングを張ったところ、上位の「北前饅頭」もよく売れた。気温が28度以上の日はジェラートやソフトクリームもよく出た。
 外国クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスが7月1、17日に酒田港に寄港し、欧米系外国人観光客が多数来館した。メイドインジャパンと書いてある商品や御殿まり、和柄の手ぬぐい、マグネット等が良く売れた。
 酒田市交流観光課によると、さかた海鮮市場の入込数は、7月は3万2280人で前年同月比848人3%減、8月は3万5012人で同6580人16%減。2階の海鮮どんやとびしまでは店の外まで観光客の行列が続き、あまりの暑さに途中で帰る人も多かった。
 隣の酒田市みなと市場は、7月が1万9806人で同286人2%増、8月が2万3792人で同569人3%増と2カ月連続で微増した。みなと市場テナント会の小松祐輔会長は「秋田県や新潟県、山形県内陸など近隣地域の固定客が増えたため」と分析している。
 移転改築5年目の鶴岡市立加茂水族館は、7〜8月の入館者数が15万2870人で前年同期比4万601人21%減。特に8月が前年同月比3万1744人で同25%減と落ち込んだ。
 17年7〜8月は、同水族館を舞台とするNHK「ドキュメント72時間」の放映効果で16年同期比14%増、15年同期比3%増と活況を呈した。今年はその反動が生じた。加えて7月の猛暑、8月の大雨も客足を遠のかせた。しかし4〜8月の累計入館者数は29万7212人で、今後の動向次第で年間50万人の大台を維持する可能性はある。
 奥泉和也館長は「8月は5日の大雨当日まではまずまずだったが、翌日から影響が出た。大雨や洪水の警報が1カ月で5回も出たため、外出、遠出を控えた客も多かったのではないか」と嘆いた。


イベント 赤川花火は35万人が来場

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有料席が6日間で売り切れた赤川花火大会

 鶴岡市観光物産課によると、8月18日の赤川花火大会の来場者は35万人で前年比2万人6%増だった。14、15日の荘内大祭は前年並みの8万人、19日のおいやさ祭りは2万5千人で同8千人47%増だった。
 赤川花火大会実行委員会によると、有料席を前年より千席多い8千席用意し、7月1日から売り出したが、昨年より1カ月短い6日までにほぼ完売した。購入者の7〜8割は再訪者で、全国的な認知度が年々高まっていると感じている。おいやさ祭りは昼の踊りを催し、前日に赤川花火を楽しんだ観光客を取り込んだ。
 8月4日の酒田花火ショーの観覧者数は22万人。昨年より2千人0・9%増えた。市内と山形市、仙台市などの来場者が多く、東京、北関東、新潟の客も目についた。8月2、3日の長岡花火大会の後に酒田花火ショーを見るツアーもあり、団体バスが多かった。
 有料の椅子席と升席は昨年より1〜2割増やしたが、ほぼ完売した。全国のコンビニやインターネットで買うことができるため、大阪や北九州などでも売れた。
 3日の酒田湊・甚句流しの観覧者は約1万7千人で昨年比約1500人増えた。


高速交通機関 東京便、盆は前年割れ

 庄内空港東京便の8月10〜19日の利用者数は1万3884人で前年同期比10%減。飛行機が小型化し、座席数が計1万6615席で同19%少なかった。ピークは下りが8月10〜13日、上りが14〜19日だった。
 羽越本線の特急いなほは、7月20日〜8月19日の利用者数が9万5千人で前年同期比6%減。山形自動車道の庄内あさひ―鶴岡間の8月8〜19日の1日平均通過台数は下り、上りとも3400台。前年同期比8%減った。


救急車 熱中症の搬送が増加

 酒田地区広域行政組合消防本部警防課によると、救急出動件数(速報値)は、7月は466件で前年同月比29件6%減、8月は562件で同29件5%増。このうち熱中症(疑いも含む)での搬送件数は7月43件で同7件増、8月21件で同5件増となった。
 熱中症の搬送件数は気温が30〜35度の日に増え、7月は1〜3日に9件、28〜31日に13件、8月は21〜23日に12件あった。
 丸山孝弥同課警防主幹兼高度救急推進室長は「熱中症での搬送件数は、暑さのわりにそれほど増えていない印象。熱中症に気を付けようと意識した人が多かったのでは」と話した。
 鶴岡市消防本部警防課によると、救急出動件数(速報値)は7月が575件で前年同月比73件15%増、8月が578件で同70件14%増。このうち熱中症(疑いも含む)での搬送件数は、7月が34件で同4件増、8月が28件で同22件増。
 熱中症での搬送は気温が35度を超えた7月29、30日に7件、8月21〜23日に18件あった。


気象 真夏日3倍、降水量最多

 山形地方気象台によると庄内の天候は、7月は平年よりかなり暑く、少雨で日照時間も多かった。8月は一転して豪雨に見舞われて雨量がかなり多く、気温は平年並みだが日照時間は少なかった。
 酒田の7月の平均気温は26・0度で平年の23・3度を2・7度も上回った。これまでの7月の平均気温の最高25・6度(1978年)を上回り、過去最高を更新した。日最高気温が30度を超えた真夏日は18日で平年値6・4日の約3倍になった。最低気温も高く、酒田では日最低気温が7月29日に28・0度を記録。7月としても、1年間を通しても最も高い日最低気温となった。
 月降水量は酒田で80・5ミリと平年比39%とかなり少なく、月日照時間は207・0時間で平年比126%と多かった。
 一方、酒田の8月の平均気温は25・4度と平年の25・3度を0・1度上回る平年並み。日最高気温が30度を超えた真夏日は13日で平年値14・5日をわずかに下回った。8月23日は日最高気温が38・9度で、1978年8月3日の40・1度に次ぐ2番目を記録した。同日に浜中では日最高気温が37・1度、鼠ケ関では同38・2度となり、8月の日最高気温の最高と、年間を通じても最も高い気温を更新した。
 酒田の月降水量は553・0ミリと平年の178・5ミリの310%とかなり多く、2005年8月の395・0ミリを上回り、8月としては過去最高となった。日降水量は8月5日が169・5ミリと、これまで最高だった2011年8月18日の163・0ミリを上回リ、8月では過去最高となった。
 鶴岡、櫛引、鼠ケ関でも8月の降水量は過去最高を更新し、特に鼠ケ関では年間を通しても最高となった。
 日最大1時間降水量は酒田で8月5日に71・5ミリで1949年8月24日に次ぐ、8月として2番目を記録した。鶴岡では8月5日に75・5ミリ、鼠ケ関で同日70・0ミリとなり、8月でも、年間でも最高を更新した。


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