郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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酒田市決算2017年度
厳しい財政運営は変わらず
借金増、貯金減、実質連続赤字

 酒田市の2017年度普通会計歳入歳出決算は、経常収支比率や財政力指数など一部の財政指標で改善傾向が見られたが、地方債現在高は増加し、基金現在高は減少、実質単年度収支は2年続けて赤字となるなど、依然として厳しい財政運営が続いている実態を浮き彫りにした。将来に向け財源の確保に注力するとともに、人口減少に見合った事務事業の見直し、限られた財源の効率的・効果的な配分をどう実現するのかなど、取り組んでいかなければならない課題は多い。(編集主幹・菅原宏之)

表

実質収支は16年度比26%減額

 酒田市の17年度普通会計決算(一般会計に診療所事業特別会計と駐車場事業特別会計を加えたもの)の主な財政統計指標と健全化判断比率は表1、2の通り。
 歳入総額は576億4400万円で、16年度比23億3200万円4・2%、歳出総額は564億7900万円で、同29億1300万円5・4%それぞれ増額となり、決算規模は16年度より拡大した。
 社会資本の整備に要する投資的経費のうち、災害復旧事業費と失業対策事業費を除いた普通建設事業費が72億3600万円と、16年度比24億2800万円50・5%の大幅増額となったことが要因。特に16年度には無かった駅周辺整備事業費の同5億1100万円が加わったこと、継続していた新庁舎整備事業費が同14億2千万円、酒田市斎場改築事業費が同2億9700万円それぞれ増額となった影響が大きかった。
 決算収支を見ると、歳入総額から歳出総額を差し引いた形式収支は11億6500万円の黒字となり、16年度に比べ5億8千万円33・2%減額となった。形式収支から事業が進まないため18年度に繰り越すべき財源6800万円を除いた実質収支は10億9700万円の黒字となったが、16年度比3億7800万円25・6%減額となっている。
 実質収支が減額となった要因は①歳出で一般会計予算に計上したものの、結果的に使う必要がなくなった不用額が9億8400万円と、16年度比4億2700万円30・3%減った②歳入で合併による優遇措置期間終了に伴う普通交付税の段階的な縮減によって、同交付税が3億1900万円減った―ことなどによる。
 黒字分のうち4億円を18年度当初予算の繰越金として計上し、5億9700万円を6月と8月と9月に組んだ補正予算の一般財源に充てた。内訳は、6月がごみ処理対策事業2800万円や飛島海釣り公園管理運営事業2200万円、8月が8月5日の豪雨に起因する災害の復旧経費5500万円、9月がふるさと納税推進事業1億8600万円や体育施設のブロック塀を解体する体育施設整備事業1千万円―など。
 18年度内にこれ以上の補正予算を組まなければ、残りは全て3月補正で単年度の収支をやり繰りするのに使う財政調整基金への積立金などとして使うか、市の借入金に当たる市債の繰り上げ償還に使う予定。
 酒田市は今年8月17日時点で、同市と人口規模や産業構造が似ている全国20の類似団体を対象に独自調査を行った。回答があった18自治体のうち、合併を経験した15自治体の実質収支の17年度平均額は17億8千万円の黒字だった。同市の実質収支はこれを6億8300万円下回っており、黒字ではあるが、後年度の財政運営を考慮すると、決して楽観視できる状況にはないことが分かる。


改善した財政指標もあるが

 主な財政統計指標では、経常的経費に対し経常一般財源収入がどの程度充当されているのかを示し、財政構造の弾力性を判断する経常収支比率が94・7%と、16年度の94・8%から0・1ポイント改善した。
歳出で経常的経費の一般財源として退職者減に伴う退職手当の減少で人件費が16年度に比べ2億3900万円、地方債の償還や利子の支払いに充てる公債費が同6200万円それぞれ減った半面、歳入で市税が同1億1500万円、地方消費税交付金が同1億0100万円それぞれ増えたことなどが要因。
 さらに標準的な行政需要に自前の財源でどれだけ対応できるのかを示し、1に近いほど自主財源の割合が高く、財政に余裕があることを表す財政力指数は0・477と、16年度から0・008ポイント改善した。
 しかし比較対象とした類似団体の経常収支比率は17年度平均で90・5%。酒田市の経常収支比率はこれを4・2ポイント上回っており、依然として財政の硬直化が深刻な状態にあることを浮き彫りにした。
 類似団体の財政力指数も17年度平均値は0・620。同市の財政力指数はこれを0・143ポイント下回り、大きな隔たりがある。
 過去からの蓄えの積み上げ額と見ることができる実質単年度収支がマイナス3億1400万円と、同6億2300万円だった16年度から3億900万円改善しているのも見逃せない。
 その内訳は、単年度収支のマイナス3億7800万円に、積立金9億6300万円と繰上償還金2400万円を加えた黒字要素は計6億900万円。これに対し赤字要素の積立金取り崩し額は計9億2400万円。赤字要素は16年度の16億9千万円から7億6600万円減ったものの、黒字要素も同年度の10億6700万円から4億5800万円減っている。
 同市では、財政調整基金(積立金)などの基金を取り崩して財源に充てないと予算を編成できない状況が常態化しているが、取崩し額は16年度より縮小しているとはいえ、基金頼みの財政運営は変わらない。
 こうした背景から、市の貯金に当たる基金現在高は17年度末現在で111億200万円と、16年度に比べ4億400万円3・5%減っている。主な内訳は▼借金の償還資金に充てる市債管理基金が21億1千万円で同4億4千万円17・3%減▼健全な財政運営のための資金に充てる財政調整基金が33億4100万円で同4千万円1・2%増▼市民の連携強化や地域振興に向けた事業の資金に充てる地域づくり基金が30億5700万円で同400万円0・1%増▼振興計画に基づく主要開発事業の資金に充てる振興開発基金が4億6100万円で同1億200万円28・4%増―など。
 一方、地方債現在高は631億2千万円と、16年度比5億9700万円1・0%増えた。類似団体の地方債現在高の17年度平均額は581億5900万円で、酒田市はこれを49億6100万円上回っている。


早期健全化基準を下回る

 酒田市の全ての会計を対象とした、自治体財政健全化法に基づく四つの健全化判断比率を見ると、借入金の返済額やこれに準じる経費の大きさを指標化し、資金繰りの危険度を示す実質公債費比率は11・3%と、16年度の11・8%から0・5ポイント改善した。
 一般会計などの元利償還金は高止まり傾向にあるものの、一部事務組合への公債費に要する負担金が減少したことなどが要因。
 一般会計などの借入金や将来支払っていく可能性のある負担などの現時点での残高を指標化し、将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す将来負担比率も42・4%と、16年度の44・6%から2・2ポイント改善した。
 その要因は、地方債現在高は増加したが、公営企業などへの公債費に要する繰出見込額が減少したこと、合併特例事業債や過疎対策事業債などの借り入れにより、後年度に交付税措置される算入見込額が増加したことなどによる。
 基準を超えると財政健全化計画の策定や外部監査が義務付けられている実質公債費比率の早期健全化基準は25・0%、将来負担比率の同基準は350・0%。両比率とも基準を大きく下回っているが、さらなる改善が求められる。実質赤字比率と連結実質赤字比率は生じなかった。
 池田里枝・市財政課長は17年度決算を「主な財政統計指標の中には、財政力指数や経常収支比率など16年度から改善した指標も見受けられる。しかし地方債現在高は増加し、基金現在高は減少、実質単年度収支は2年続けて赤字となるなど、依然として厳しい財政運営が続いている」と総括した。


合併特例債は残り59億円超

 主な性質別歳出の状況は、任意に削減できない義務的経費が233億6900万円と、16年度比1・6%減った。主な内訳は、人件費が一般職給や退職手当の減額などで66億5600万円と同3・6%、社会保障費に充てる扶助費は年金生活者等支援臨時福祉給付金等が無くなったことなどで91億7200万円と同1・3 %、公債費は利率の見直しに伴う利子の減額などで75億4100万円と同0・1 %それぞれ減った。
 歳出総額に占める義務的経費の構成比は41・4%と、16年度の44・4%から3・0ポイント低下している。
 一方で備品購入費や委託料などに充てる物件費は、ふるさと納税推進事業に要する役務費の増加などで69億4500万円と同6・4%増えた。歳出総額に占める物件費の構成比は12・3%で同0・1ポイント上昇した。
 他の地方公共団体への支出などに充てる補助費等も、水道事業との統合等により性質が繰出金から変更となる下水道事業運営費負担金が新たに加わったことなどで95億8200万円と同27・5%増加。歳出総額に占める構成比は17・0%で同3・0ポイント上昇した。
 普通建設事業費は前述の通り大幅に増加。歳出総額に占める普通建設事業費の構成比は12・8%で同3・8ポイント上昇した。
 実施した事業のうち事業費の95%に使うことができ、元利償還金の7割を国が普通交付税で充当する合併特例債を、17年度は計34億1500万円活用した。内訳は酒田市斎場改築事業に7億1800万円、新庁舎整備事業に2億8800万円、駅周辺整備事業に1億6100万円、側溝整備事業に1億1700万円の4事業を含む計33事業に充てた。
 合併特例債の発行可能額は計329億2900万円。これに対し16年度末までの活用実績は、建設関連で241億3千万円、基金造成済みの28億6600万円を合わせ269億9600万円に上っている。借入期間は15年度から20年度まで延長されていることから、残り3年間の発行可能額は、建設関連で59億3300万円となっている。
 合併特例債は有利な起債であることから、市では全額を使い切る方針。


合併優遇の縮小で交付税減少

 主な歳入状況は、自主財源の中心で歳入総額の23・1%を占める市税は、132億9200万円と16年度比1・0%増えた。このうち個人市民税は所得の伸びなどで同1・7%、固定資産税は住宅着工数の増加や企業の設備投資の増加などで同1・0%、軽自動車税は税率の改正などで同3・3%、法人市民税は同0・6%それぞれ増えた。
 その一方で、依存財源の柱で歳入総額の25・4%を占めている地方交付税は、146億4600万円と同2・8%減った。
 しかし自主財源では、寄付金(歳入総額に占める構成比2・8%)が16年度に無かった中型いか釣り船団支援寄付金が加わったことなどで16億600万円と同63・5%、諸収入(同5・4%)も16年度は無かったJFAサッカー施設整備助成金が加わったことなどで31億3800万円と同24・7%それぞれ増えた。
 依存財源では、地方債(同13・3%)が76億8300万円と同33・7%、国庫支出金(同10・5%)が60億2400万円と同0・5%、地方消費税交付金(同3・4%)が19億2800万円と同5・5%それぞれ増えており、こうしたことが歳入総額の増額につながった。
 合併による普通交付税の優遇措置は15年度末で終了した。16年度からは合併前の市町村ごとに算定した普通交付税の総額を配分する合併算定替と、一つの自治体として算定する一本算定の差額が16年度10%、17年度30%、18年度50%、19年度70%、20年度90%と5年間をかけて段階的に減額されている。
 これに基づく酒田市の17年度の合併算定替による配分額は137億4400万円、一本算定による配分額は125億9100万円で、その差額は11億5300万円となっている。
 これにより普通交付税は、差額の30%に当たる3億4600万円が減らされる計算だが、実際の縮減額は3億1900万円と2700万円の開きがあり、「実際にいくら減らされるのかははっきりしない」(池田・市財政課長)のが実情という。
 今後の財政運営について池田・市財政課長は「17年8月に策定した中期財政計画に沿い、歳入の増加と歳出の縮減を目指していく。とりわけ財源の確保に最大限注力し、計画に盛り込んでいる各種の対策を着実に実施していきたい」と話す。
 市が18〜22年度の5年間を計画期間に策定した中期財政計画によると、収支不足額は18億5400万円〜8億9900万円で推移すると予想。歳入では企業誘致の促進や産業振興で税収を増やし、国県などの補助制度の情報収集による新たな財源確保などで、計約28億円を増やすとしている。


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