郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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本紙主催 新春座談会
庄内のみんなが当事者意識を
「少子高齢化・人口減少の進む庄内で未来を作る」㊦

渡辺暁雄氏

東北公益文科大学准教授
渡辺暁雄

1964年東京都生まれ。明治学院大学大学院博士後期課程中退。同大社会学部非常勤講師、東北公益文科大学公益学部助教授などを経て2007年から現職。庄内町まちづくり交付金事業評価委員長など歴任

本間当氏

合同会社とびしま代表社員
本間 当

1981年酒田市飛島生まれ。東日本大震災をきっかけに帰郷。2013年に合同会社とびしま設立。島内の飲食店しまかへや土産品売り場、北前横丁の居酒屋炭かへ、観光ツアー企画やガイドを行う

沼澤好徳氏

山形県庄内総合支庁長
沼澤好徳

1959年高畠町生まれ。県環境エネルギー部エネルギー政策推進課長、同部環境企画課長、県庄内総合支庁保健福祉環境部長、県村山総合支庁産業経済部長、県農林水産部次長などを歴任。18年から現職

中原浩子氏

酒田南高等学校長
中原浩子

1961年広島市生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル学科卒。赤井電機(株)、(株)ベネッセコーポレーションを経て千葉市で塾経営。2010年庄内移住。東北公益文科大学特任講師など経て18年4月から現職

早坂剛氏

鶴岡商工会議所会頭
早坂 剛

1939年鶴岡市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。71年(株)エルサン設立。2001年鶴岡商工会議所副会頭、08年同会議所会頭。県商工会議所連合会副会長、東北公益文科大学監事、市アイスホッケー協会長

瀬尾利加子氏

(株)瀬尾医療連携事務所代表取締役
瀬尾利加子

1969年鶴岡市生まれ。庄内医療生活協同組合で地域医療連携に携わる。2017年に(株)瀬尾医療連携事務所を設立。NPO法人全国連携実務者ネットワーク理事、鶴岡市総合計画審議会企画専門委員会委員

山中大介氏

ヤマガタデザイン(株)代表取締役
山中大介

1985年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。三井不動産を経て2014年に鶴岡市に移住、ヤマガタデザイン(株)設立。18年秋にショウナイホテルスイデンテラスとキッズドームソライを開業

 本紙主催新春座談会の連載最終回は人口減少の対応策を掲載する。行政の垣根を超えた観光振興や子供を産みたいと思える環境づくり、住民がまちづくりに当事者意識を持つこと、高速交通網の整備などが必要といった提言があった。司会は編集主幹・菅原宏之。文中敬称略。

「嫁ターン」で一家移住へ

山中 女性が域外に出ることが多いという話があった。面白いことに、うちの会社も最近オープンしたレストランも、実は「嫁ターン」が多い。
 そこで、庄内から女性を出す前に徹底的に強く育てることをお勧めしたい。結婚後に家庭内で主導権を握った女性に「子育てするなら庄内で」と主張してもらう。嫁ターンの何がいいかというと旦那さんを連れて帰ること。私たちもそういう旦那さんを採用して漁夫の利を得ることがある。
 社員の娘さんの高校生と話をする機会があるが、「世の中に出て結婚相手を含めいろいろな出会いを求めたい」という希望が強い。庄内を出ることまでは止められないが、結婚して奥さんが「庄内に戻りたい」となった時に、家庭でどっちが主導権を握っているかが重要になる。ほんのちょっとの差だが、それによって爆発的に庄内の人口が増える可能性はある。
早坂 もう一つ、庄内の行政区域の線引きを外さないとだめ。よそから仕事や観光で来た人で、どこからが鶴岡だ、どこまでが酒田だなんて境界を気にする人なんかいない。事業をする場合も同じで、庄内は一つにしか見えないし、それでいい。お互いに一体となって協力し合えばいい。
沼澤 私は置賜出身で、置賜も村山も見てきたが、庄内は皆さんが一緒になっていろんなことに取り組んでいる地域だと捉えている。壁を感じることはあるかもしれないが、他地域と比べると壁は低いのではないか。
早坂 庄内はもともと庄内藩が治めていた一つの地域だから、その点では行政区域にこだわらずにもっと協力し合ってもいいはずだが、なかなかそうはいかない。飛島だって縁遠い離れ小島のような存在になっている。庄内の中の飛島という考え方があれば、全く違ってくると思う。
本間 確かにそうだ。
渡辺 江戸時代には加茂と飛島は密接につながっていた。そういうアピールをすることもできる。


飛島―加茂・秋田便があれば広がる

早坂 酒田・飛島の定期船も、観光バスのような観光船にして鼠ケ関や加茂からも乗れるようにしてはどうか。飛島航路は酒田港としかつながっていないのではなく、海は加茂・鼠ケ関や佐渡・新潟へもつながっている。枠組みから少し外れて考えてみると、いろんなアイデアがたくさん出る。日本海から庄内平野、そして出羽三山の山岳信仰・食文化・歴史・文化など、観光資源にあふれた庄内へ交流人口を増やすことに知恵を出し合うことが必要だ。
山中 例えば湯野浜温泉に宿泊する観光客が飛島に行こうと思ったら、酒田港まで車で移動する必要がある。しかし、公共交通機関を利用する観光客にとって、飛島は目的地でもないかぎり行きづらい。湯野浜を拠点に加茂港から船で飛島に直行できるなら、格段に行きやすくなる。
本間 庄内を一つと考えて、湯野浜温泉に泊まって加茂から飛島に、飛島からは例えば秋田にとか、柔軟に船が動ける体制になれば、庄内に対する日本の人の注目度はもっと変わってくるのではないか。現在は酒田市営の航路という制限があるので、どう変えられるか。
早坂 JR東日本が主催した山形デスティネーションキャンペーンの時に、定期船「とびしま」は夜間運航していないから、加茂港など日本海側の安全な海域を納涼船のように運航してはどうか。または新潟港から佐渡ケ島・飛島を経て酒田港に入ってくるような航路を、夏季の間だけでも設けてはどうか、と提案した。しかし全く取り合ってもらえなかった。
本間 飛島にはもともと漁師の方が多いので、佐渡ケ島方面に自分の船で漁に行ったりする文化的なものはある。普通に考えれば不可能なことはない。
司会 公益大も将来に向けた取り組みがあると思うが。
渡辺 大学での学びを地域の中に反映させていくことに、楽しみを持って参加するようになってきている。中原先生がつくった酒田おもてなし隊が今年度の「輝け山形わかもの大賞」を受賞するなど外部から評価されている。
 遊佐のアマハゲを含む「来訪神仮面・仮装の神々」がユネスコの無形文化遺産に登録され、遊佐の人だけでなく庄内の人が喜んだ。芸能は自由な雰囲気があり、外からお客が来てくれる。黒川能や黒森歌舞伎も鶴岡や酒田だけでなく、各地からお客が来ている。そうした伝統技術を残す一環として、本学は私立大学研究ブランディング事業を17年度に取り、国から5年間にわたり助成を受けている。代表的なものは玉本英夫特別招聘研究員が取り組む、モーションキャプチャーによる黒川能のデジタル化がある。黒川春日大社下座義太夫(座長)の上野由部さんに全面協力していただき、舞いを記録している。


好循環生む仕組み作りたい

司会 庄内若者定着促進会議はあるが、庄内総合支庁での今後の取り組みは。
沼澤 人口が減少するということは、相当前から予測が立てられていた。それが数年前に増田寛也・元岩手県知事による増田レポートで「都市が消滅するのだって」と衝撃的に際立つことになった。しかし早坂会頭がおっしゃったように、まちは絶対に消滅しないと思っている。
 ただ人口減少のひずみがいろいろなところに重くのしかかっているのは間違いないし、顕在化してきている。庄内の一番の課題は若い人たちが外に出て行って、多くは戻ってこないこと。この人口の循環がうまくいっていない地域なので、そこにどう対応していくのかということが我々行政の役目なのかと思っている。
 庄内地域を見てみると、 県内の他地域に比べ山中さん、本間さん、女性の方々もそうだが、自分でいろいろな業を起こし、しっかりと地域を見据えてビジネスをやっている人が、ここにきてたくさん出てきている。それもIターンの方であったり、Uターンの方であったり。そういった方々の顔が一人一人浮かぶような状況で、他地域には無い強みだと思う。それが一つ。
 もう一つは知的クラスターが形成され、研究所からベンチャー企業がいくつかできてきた。そして今、局面が変わって山中さんの力もあって、まち全体を巻き込んだようなクラスターが形成されている。こういう地域でもあるということで、非常に注目を浴びている。この勢いをどうやって生かしていくのか、が二つ目。
 三つ目は観光にもつながる話だが、「食の都庄内」は奥田政行さんをはじめとした地元食材への愛着と高い技術を持った料理人の方から庄内総合支庁に「一緒にやろう」とお声掛けをいただき、15年前から取り組みが始まった。私は官民協同ではなく民官協同だと言っているが、民の方と官が協同して食の都に磨きをかけてきた。今や何よりの観光資源になってきている。こうした庄内地域の強みがうまく回るような環境を、今年はしっかりとつくっていきたい。
 それが郷土愛につながり、産業の基盤強化にもつながり、親御さんからみれば企業の評価にもつながって子供さんを地元に就職させるという気持ちにもつながってくると思う。いくつかの強い資源を組み合わせながら、好循環が生まれるような仕組みができたらいい。


手厚いデンマークの子育て支援

中原 生まれてくる子供たちを「地元に戻す、戻さない」という議論になっているが、一方で女性が子供を産みたいと思えるような環境・仕組みをつくってほしい。女性活躍社会と言われても親の介護、家事、育児は女性が担ったまま。その上、社会進出を求められて負担を感じる女性たちが二の足を踏んでしまう状況を打破する、社会のフレームを作ることが先決だと思う。
 例えば東京では、シングルマザーは待遇が手厚い江戸川区を目指す。私は以前から庄内でシングルマザーが住みやすい、暮らしやすい制度を作ることを提案している。デンマークの地域全体で子育てを応援する在り方はすばらしい。0〜2歳が月額2万6千円、3〜6歳も同2万1千円という形で18歳まで子供がいるだけで支給され、出産も無料。育児休暇も8カ月あり、その間は1週間当たり8万円、月額32万円を休んでいても受け取ることできる。日本ではそうした支援が不十分なので、女性は産むことに対し不安になると思う。ぜひ行政には考えてほしいし、実現を願っている。


医療介護は移住にも欠かせない

瀬尾 各病院の看護部長たちの間から、新たな看護学校を要望する話が出ていたと思うが、どうなったのか。
沼澤 3年前に少し動きがあったと聞いている。鶴岡市は市立で養成施設を持っているし、酒田市でも地区医師会で養成施設を持っている。そこから地元に定着すればいいのだが、県外に出ていく人がたくさんいることから、県では地元に定着してもらうため修学資金を貸与し、地元に勤めた場合は償還を免除する制度を作っている。
 庄内地域では病院、施設で看護職が不足している現状がある。在宅看護の流れがある中で、訪問介護など在宅分野でもこれから不足感が増してくると思うので、そこはしっかりと課題として捉えていきたい。
瀬尾 医療介護はどの分野の人もあまり考えてくれない。若い女性が増えると産科が必要になるが、現状は産科が少ないので、子供を産む環境が不安な状況にある。医療も対策を取らないと、移住や定住のことだけを優先しても安心して暮らせる庄内にはならないと思う。ぜひ皆さんの中でも、医療介護のことを考えるような雰囲気づくりに協力をお願いしたい。
司会 酒田市では地域医療連携推進法人が発足している。あのような動きは鶴岡市では無いのか。
瀬尾 同法人は病院間でとても話題になっている。実はこのあと南庄内地域医療セミナーがあり、荘内病院の三科武院長が話をすることなっている。鶴岡市民に聞いてほしいと庄内の明日を考える会の人が企画したのだが、興味を示したのは他の病院の医療関係者たち。酒田市のような仕組みにどう参加するのか、それとも参加しないのか、自分たちの病院がどういった役割を担うべきなのかを決めるためにも、荘内病院の考えを聞きたいのだと思う。現状は今後どうなるのかといった段階。関心はとても高い。


自分たちが今やる、が大事

山中 最終的に庄内27万人の人たちに、まちづくりに対する当事者意識を持ってもらう、ということがすごく大事だと思っている。いつか誰かがやってくれるだろうと思い続けた結果が今だと思うし、行政がやってくれる、あるいは大手企業がやってくれる、あるいは国がやってくれる、誰かがやる―ではなく自分たちが今やるという、27万人が当事者意識を持つことが理想論だが非常に大事。
 今我々はホテルを運営していて、よくターゲットは誰なのかと聞かれるが、地元の人たちだと思っている。結局、地元に住んでいる人が地元を面白がって、地元のまちづくりを考える。地元の人が1人当たり年に4人の友達を県外から呼ぶだけで、庄内の交流人口はすぐに年間100万人になる。
 この間、ある方が「年に1回、仲の良い旧友と集まる会があって、毎年京都に集まっている」という話をされた。「なぜ庄内に集まらないのですか」と言ったら、「庄内には呼べないよね」と言っていた。それは違うのではないか。庄内に誇りを持ち、庄内は良い所だと知るべきだし、庄内のまちづくりに当事者意識を持ってやっていくという考え方が大事な時代になっているのではないか。提言ということでは、庄内27万人が総当事者の時代をつくっていくということではないか。
早坂 沼澤庄内総合支庁長が「食文化とか観光資源とか、庄内にはいいものがたくさんある」と言われたが、これから運動を展開していくときに一番不足しているのはインフラ整備だと思う。インフラ整備だけは、我々民間だけでやろうというわけにいかない。
 「庄内若者定着促進会議」の資料に、庄内は15年から30年後の45年に人口が37・9%減り、特に若者は54・6%減りますよ、と書いてある。これに我々はものすごく危機感を抱いている。ところが山形県では強い危機感が無いように見える。庄内の方には関心が薄いのではないだろうか。これからは県と庄内が一丸となって、人口減少を早く止めることに手を打つ必要がある。
 日沿道の全線開通や庄内空港の滑走路2500メートルへ延長問題など、懸案のインフラ整備を早急に進めるならば庄内は大きく変化すると思う。その後の変わり方を皆さんに想像していただきたい。山中さんのような起業家が続くと思うし、庄内はまだまだ伸びる。花がしぼんでからいくら水をやっても遅い。だから県の方々もこの数字を見て「庄内は大変だ。庄内にもっと力を入れないといけない」と考えていただきたい。
沼澤 この資料のサブタイトルに「存亡の危機」という言葉を使っている。これはサブタイトルとしては非常に強い表現。この存亡の危機というフレーズは、県としての強い危機感の表れでもある。このままで庄内は大丈夫なのか、今こそしっかりと手を打つべき時期だろうという認識でいる。だから高速道路のミッシングリンクが両県境にまたがっていることについても、非常に力を入れて取り組むべしという考えである。ここは官民挙げて取り組んでいかなければいけないところである。若者定着促進会議のサブタイトルにもそういう気持ちが表れていることをご理解いただきたい。


高速交通網は庄内一丸で促進

司会 酒田と鶴岡の連携や、高速交通網の整備などを進めるには具体的にどうしたらよいのか。
早坂 庄内空港の滑走路延長問題・酒田港の利活用・日沿道の早期完成・国道47号高規格道路整備など、庄内には課題が山積している。これからは酒田と鶴岡がスクラムを組み、庄内が一つになって向かわなければならないと思う。
 庄内空港の滑走路が2500メートルになれば冬の運航も安心安全になるし、国内外のチャーター便も増える。酒田港も外航クルーズ船の寄港が増えればインバウンドが増える。庄内の各市町は立地や強み、魅力を互いに生かし、一つになって取り組まなければならない。
 庄内観光コンベンション協会は庄内が一つになって、一緒になって庄内全体のグランドデザインを作り、情報発信、宣伝していくことが大切になる。
渡辺 会頭と本当に全く同じ意見。酒田が北前船をキーワードに日本遺産に登録されたが、北前船は加茂港、飛島、酒田港に入ったのに、北前船は酒田だけだろうというイメージで認識している。しかし日本遺産に登録されたのだったら、そして江戸期を代表する流通の要がそこにあったのだったら、うちもこういう形で北前船と関わっていたよ、内陸だが北前船から降ろされた荷はこういう風に運ばれたよと関連させて、自分のところも日本遺産に登録するくらいのエネルギーがあってほしいと思った。単体ではなくて、それがどう自分たちとつながっているのか、そしていかに全体を活性化させていくのか、ということを庄内全体で考えていかなければならないのでは。


格安航空会社が評価した

司会 高速交通網が整備されれば有利に働くところもあるかと思うが。
山中 私は、まず空路を強化すべきだと思っている。プラスアルファで新潟までの高速道路がつながっていくことが良い。新潟からの関越自動車道はリスクも小さいし、海沿いに新潟までつながっていくことが良いのではないか。
 例えば東京から広島に行くには新幹線を使っても飛行機を使っても時間がかかる。飛行機で羽田から広島までは一瞬だが、市内に出るには時間がかかる。しかし、庄内は空港に降りてから酒田、鶴岡に15分か20分で行ける。これは大きな強み。ここをいかに拡充させるかが重要だし、優先順位を付けるなら空路の充実を優先したい。あとは吉村県知事に本気になっていただいて庄内―中部便、庄内―関西便、庄内―タイ便、庄内―台湾便をぜひ。また庄内―飛島便も。
早坂 ジェットスター社は庄内就航をまだ最終決定したわけではないが、庄内については前向きに分析している。地元に定着している企業の交流・物流の動きが活発で、出羽三山、鳥海山・飛島ジオパーク、最上川などの観光資源が充実し、ポテンシャルの高い地域と評価している。航路開発に確かな確信を持っているように見える。これは我々にとってありがたいこと。
山中 インフラ整備は鶏と卵の関係だと思っていて、インフラを整備する側は「ニーズが無いから」と渋り、地域の人は「インフラが無いから」と不満を言う。しかし、庄内の場合、地域が持っている潜在力の高さや地域のさまざまな動きが一歩リードし始めた状態に見える。ジェットスターの話は、外から見る目がそこに気付いたということではないか。今度はインフラ整備に一歩先を進んでもらい、また地域が追い付き、追い越すように発展すればいい。地域が活性化するように知恵を絞ることで、「鶏も卵も」という好循環が生まれるのではないか。
司会 学生を集める場合も交通インフラは関係するか。
中原 本校には関西方面から来ている生徒が10人程度いる。遠方の人には、空路はやはり便利だと感じる。
 庄内空港は高速道路のインターに近いことも、かなりの利点だと言われている。しかし二次交通という点では依然問題を抱えている。運転免許を持っていない人は、空港でバスを利用したその次の目的地へ行く手段がかなり限られるので、ウーバーが導入されると便宜性が上がると思う。


通院や買い物をウーバーで

瀬尾 医療介護従事者間で話題に上がる交通インフラの話は、車を手放した高齢者の問題。通院できない、買い物に行けないというところで、バスなり何なりをもうちょっと走らせてほしいという話はすごく出ている。あと買い物難民がとても出ているので、どうするか。タクシー券があると言えばそれまでだが、使わない人たちも結構いる。自家用車以外の交通手段を考えないといけないという問題は、とても出ている。
山中 タクシー業界も課題を抱えていて、かなり車を余らせている。最近、地方都市でタクシーを待っていてもなかなか来ないのは、ドライバーが不足しているから。ウーバーのように、気軽に人が人を乗せられる仕組みはいい視点だと思う。
渡辺 京丹後市ではNPOが中心になって、山間地の高齢者等の移動のためにウーバーを利用している。タクシー業界も山中さんがおっしゃったような形なので、特に反発は無い。逆に高所得層の高齢者が多く移動し、中心市街地に行って買い物をしてくれるので、地域が潤う。
山中 逆に帰りはタクシーでということも…。
渡辺 構造改革特区になって実施してもいいのではないか。それが評判になって訪日観光客が民泊を使うようにウーバーを使うと。庄内も世界標準を活用できたら、さまざまな業界が潤うことになるのではないか。
司会 最後に新年の抱負を。
沼澤 今年は今の総合支庁の母体となった山形県庄内支庁ができてから50年を迎える年。大きな節目になっている。社会的にも外部環境、内部環境を見ても大きな節目になっているのではないかなと思っている。都市間競争、地域間競争に負けないように、我々も皆さんと手を携えながらしっかりとやっていきたい。
早坂 世の中は産業革命のような技術革新の時代に入っている。人口減少が進む中で庄内が一つになって、一人でも多くの若者が喜んで地元に定着できる活気あふれる庄内、豊かな庄内を作れるように挑戦する。
山中 スイデンテラスとソライをサイエンスパークに開設し、全国から若い人たちに集まってもらった。新年は日本全国から若い人たちをもっと人さらいしてきて、山形庄内全体のまちづくりとして、地域の課題解決の中で若い人が自己実現できるような仕組みづくりを引き続きやっていきたい。
瀬尾 1月から事務所を鶴岡銀座通りのまちづくりスタジオ鶴岡Dadaに移す。立ち寄りやすくなると思うので、医療介護の話題にもっといろんな人から興味を持ってもらうような仕組みを、みどりまち文庫の会員と一緒に考えながら発信していくことを続けていく。
本間 今までの事業を継続させつつ、少しでも飛島に人を呼び込むような、「飛島の活性化につながっているね」と周りから見てもらえるような会社に育てたい。
中原 地域づくりとかいろいろ考えていくときに何があれば一番いいのかなと考えると、希望を持って生きている大人がいるかいないかだと思っている。大人たちがすごくここはいいと希望を持って生き生きと生きていれば、子供たちはここに残りたいと思う。来年度、酒田南高校で新しい専攻が始まる。自分の未来に希望を描く人材育成ということに対して、ますます画期的な改革に挑戦していこうと思っている。
渡辺 自然景観への記憶も含めて、人の記憶が地域というものを作ってきたと考えている。膨大な先人たちの地域の記憶、それは文献だったり写真だったり音声だったりするかもしれない。そういうものをいかに残していくのか、デジタルアーカイブしていくのか、というのが私の新年度の抱負。
司会 今日は長時間ありがとうございました。

(連載終了)


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