郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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総じて厳しい状況が続く
経済指標で見た酒田市の姿

 酒田市の姿は、各種の経済指標からも読み取ることができる。一般有効求人倍率、農業産出額、製造品出荷額等などで改善の兆しも見られるが、総じて厳しい状況は変わらず、地域経済の活力低下は否めない。

高卒者の県内定着率低く

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 酒田公共職業安定所管内の2017年度一般有効求人倍率は1・82倍で、県内8職安の中で最も高い鶴岡職安管内の1・99倍、村山職安管内の1・87倍に続き、3番目となった。
 07年度以降、酒田職安管内の求人倍率は09年度の0・36倍を底に回復し、逆に求人に対して求職者が少ない人手不足となっている。正社員求人倍率も09年度は0・16倍だったが、17年度は1・06倍と選ばなければ1人に一つはある状況となった。
 一方で課題となっているのが、酒田市の人口減少の一つの要因として挙げられる、高校を卒業して地元に就職する「県内定着率」の低さ。酒田公共職業安定所管内の18年度高卒就職者355人のうち県内就職者は226人、県外就職者は129人で、県内定着率は63・7%だった。これは県内8職安で最も低い=表参照=。
 庄内は内陸に比べて県外志向が強いとも言われるが、隣の鶴岡職安では県内定着率74・5%と、酒田職安より10ポイント高い。村山職安管内は、高卒就職者が酒田職安管内の半分に満たず規模は違うが、毎年度90%前後と高い。
 酒田市や県庄内総合支庁でも、酒田・庄内の高卒就職者の県内定着率の低さに危機感を持ち、生徒と保護者の企業見学会や高校生と地元企業の交流会を開くなど若者の地元定着を図る取り組みを進めている。
 一方で高卒者のうち進学者が約65%を占め、就職者が約35%と進学傾向が強い中で、進学で地元を離れた若者の地元就職やUターンを進めることも必要。大学などに進学した後、帰ってきて就職したい企業があるか、またそうした情報発信ができているかも課題となっている。


半分占める米が産出額左右

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 酒田市の2017年農業産出額(推計)は205憶円で、県内では鶴岡市の312億8千万円に次いで2番目となった。05年の198億1千万円より3・5%増えたものの、鶴岡市をはじめ県内他市に比べると、伸び率は小さくほぼ横ばいとなっている=表参照=。
 205億円の内訳は米が98億8千万円で48・2%を占め、次いで枝豆を含む野菜51億6千万円で25・2%、豚26億7千万円で13・0%。05年は米が107億円で54・0%を占め、野菜が39億9千万円で20・1%、豚が19億4千万円で9・8%だった。米が減り野菜や豚が増えたものの、米が約半分を占める米依存の農業が続いている。
 酒田市農政課によると、同市の米の作付け面積は7千ヘクタール超で、18年の米収量は約71万俵。米価が1俵千円上下すると農業産出額が7億1千万円増減する。平野で水田が広がり風が強く吹く土地柄のため、果樹は難しく、今後も米を中心とした土地利用型作物の栽培を主体としていく。米を作付けできない場所では、アスパラやパプリカなど高収益作物の導入を進めていくとしている。
 一方、他市を見ると鶴岡市は05年265億円から17年312億8千万円に18・0%増、東根市は126億円から183億4千万円に45・6%増、天童市は105億8千万円から168億9千万円に59・6%増えた。
 鶴岡市も産出額に占める米の割合は141億4千万円45・2%と高いが、野菜105億3千万円33・7%、果実21億1千万円6・7%で、特に野菜は05年の2倍になった。東根市と天童市は果実が産出額の約8割を占めている。


製造品出荷額は伸びる

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 酒田市の製造品出荷額等の推移を見ると、05〜09年は県内順位で米沢市、東根市、鶴岡市、山形市に次ぐ5位だった。08年のリーマンショックで全体的に出荷額が落ち込む中、10年に山形市をわずかに抜いて4位に浮上した。
 消費税が8%に上がった14年には前年より21・1%増えて、鶴岡市を抜き3位に上昇した。しかし16年には鶴岡市が前年より36・8%伸びて順位が逆転し、4位に下がった。両市の差は607億円になった。
 17年は過去13年間で最多の2706億円となったが、鶴岡市も同様に3612億円となり、順位は4位のままで、両市の差は906億円に開いた。
 05年と17年の製造品出荷額等を比べると、酒田市は22%伸びた。県内主要市で最も伸び率が大きい東根市の47%、鶴岡市の34%に次ぐ。
 伸びた要因を丸藤広明・酒田市商工港湾課長は(1)景気が上向いた(2)既存企業の工場拡張などが相次ぎ出荷額が増えた(3)工場立地件数が順調に伸びたからと説明した。
 17年の酒田市の従業者4人以上の製造業事業所数は188あり、従業員数は8776人で、05年より79事業所、251人減った。


卸小売とも販売額減る

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 酒田市の卸売業と小売業を合わせた年間商品販売額は16年2381億円で、14年より56億円2・3%減った。山形市や鶴岡市など県内主要市が4〜9%増えた中で酒田市と東根市は減った。内訳は、卸売業が1264億円で同17億円1・4%減、小売業が1117億円で同39億円3・4%減。小売業では、織物・衣服・身の回り品が同18億円25・7%減、ガソリンスタンドなどを含むその他で同105億円21・7%減と大きく落ち込んだ。
 県内順位は山形市に次いで2位と変わらなかったが、3位の鶴岡市との差は14年490億円から16年254億円へと縮小した。
 年間商品販売額が減った要因を丸藤課長は、人口減少による購買力の低下とネットショップの利用増と説明する。
 酒田市の16年の商店数は1373店と2・0%増えたが、従業員数は8012人と0・5%減った。


観光客は減少傾向

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 山形県観光者数調査によると、酒田市の17年度の観光客数は281万6千人で、同市合併直後の06年度から53万9千人16・1%減った。県内35市町村中の順位も3位から5位に落ちている。
 同市で策定した16〜26年度の酒田市中長期観光戦略では、観光入込者数の目標を16年度290万人、17年度300万人、18年度310万人と10万人ずつ増やしているが、現状では減少傾向にある。
 県内の主な市の観光客数を見ると、鶴岡市は17年度が632万8千人で、06年度から116万8千人22・6%増えた。順位は06年から1位を維持している。
 山形市は569万人で同117万4千人26・0%増え、順位は06年から2位を維持。東根市は172万1千人で同36・9%増え、順位は10位から9位に上がった。新庄市は80万1千人で同3万人3・9%増えた。
 一方、米沢市は191万4千人で同18・4%減り、天童市は258万6千人で同2千人0・1%減った。
 県内全体の観光客数は17年度が4512万2千人で、同458万8千人11・3%増えた。東日本大震災発生後の11年度に大きく落ち込むが、山形デスティネーションキャンペーンなどで回復。16年度は調査を開始した1963年以降最多の4581万4千人を記録するなど、増加傾向で推移してきた。
 佐々木好信・酒田市交流観光課長は「人口減少や、他市のように知名度が高い観光地が無いという要素がある中、減少をゆるやかに抑えられている」と話す。
 酒田市内は二次交通が不足していて回遊しにくいという課題には、無料自転車を十数カ所で乗り捨てできるようにし、観光案内看板を23カ所に設置するなどした。市の知名度が低いという課題には、日本遺産やジオパークを活用し情報を発信していく考え。
 佐々木課長は「観光客数を増やすことは大事だが、消費を増やすことも大事。人数が増えなくても日本酒を飲んだり、玉簾の滝のライトアップなどで滞在時間を長くしたりして宿泊してもらい、消費額が増えるようになれば」と話した。


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