郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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本紙単独インタビュー
子育て環境整備や産業力強化に注力
丸山至酒田市長、2期目の抱負語る

 9月1日投開票の酒田市長選で元職を制し、2期目のかじ取り役を担う丸山至市長は同月20日、本紙の単独インタビューに応じ、市政運営の考え方や、最優先で取り組むとした屋内型大型児童遊戯施設の具体化に向けた検討への対応、産業の柱となる分野・業種の誘致と育成などについて、今後の方針を語った。市政運営では「個別の施策を打ち出す際は、その目的や効果などを分かりやすく市民に説明していく」との考えを強調。産業の柱となる分野・業種では、酒田港と日本海総合病院という強みを生かした誘致・育成を目指す考えを明らかにした。(編集主幹・菅原宏之)

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再選し、
インタビューに答える
丸山至酒田市長

市民への施策の説明を徹底

―選挙戦では1期目に続き、まちづくりの信条に「賑わいの創出に向けて人財と風土が支える産業・交流都市酒田」を掲げた。これに基づき、どのような考え方を基本に据えて市政運営に当たるのか
 今回の市長選を振り返ると、1期目に進めてきたことに対し、理解していただけていない方々が多かったような気がする。こうした反省を踏まえ、個別の施策を打ち出す際は、その目的や効果などを分かりやすく市民に説明していくことに、徹底してこだわっていく。
 政策判断に当たっては「万機公論に決すべし」(国家の政治は世論に従って決定すべきの意)という言葉もあるが、さまざまな方の意見を取り込みながら、オープンな議論の中から結論を見出していきたい。各種事業を実施する際には、やる気のある人たちとの協働を基本に据えて進めていく。
―最優先で取り組む政策に、県内トップレベルの幼児教育・保育の経済負担軽減策を挙げ、屋内型大型児童遊戯施設の具体化に向けた検討や、酒田型小中一貫教育体制の構築を訴えていた
 児童遊戯施設は、新設という選択肢もあるし、既存の公共施設の改装という選択肢もある。子育て世代からの要望が高かったという調査結果も踏まえ、任期中に実現の道筋をつけたい。
 既に具体化に向けた検討は指示しており、開設の時期や場所、事業費などを2019年度内に定め、必要があれば20年度予算に関連予算を盛り込んでいく。
 酒田型小中一貫教育体制は、学力向上と生徒指導の充実という課題の改善に向け、既存の中学校単位で行う。学習指導と生徒指導で課題を共有し、9年間を見通した課題解決を目指す。現在、第二、第三、第四、鳥海八幡、東部の計5中学校区がリード校となり、19年度に全体構想案を作る。
 第一、第六両中学校区でも検討中で、20、21、22年度にリード校の実践と効果を検証し、23年度から市内の全小中学校に導入する。


港と病院核に企業を誘致

―人口減少対策に最も必要なのは働く場の確保との声が聞かれる。酒田の強みを生かした新産業、産業の柱となる分野・業種をどう誘致・育成していくつもりか
 働く場と言っても研究分野で働きたい、農業で生計を立てたい、船を所有して漁業で稼ぎたい、福祉施設で役立ちたいなど、希望する分野・業種は各人さまざま。本来であれば、そうした要望をすべて受け止める環境を整えていかなければならないが、酒田市だけですべて備えるのは至難の業。
 庄内という圏域の中では通勤も可能なことから、例えば鶴岡市はバイオ関連産業といったように、庄内2市3町それぞれが得意な分野・業種で振興を図り、雇用を生み出す努力をしていく必要がある。
 では酒田市の強みは何かと言えば、酒田港と日本海総合病院があること。酒田港周辺にエネルギー関連企業のさらなる誘致を進めたい。港がある優位性を生かし、輸出入・移出入関連企業の誘致にも注力していく。
 日本海総合病院では、医療機器関連の研究企業のほか、健康づくりに関わるような企業を誘致できる可能性がある。医療系、健康づくり系の企業が立地すれば、市にとっての利点も大きい。


施設整備には民間資金も活用

―市長選で市財政が注目を集めたが、現在の財政状況をどう認識しているか。2期目は財政負担を伴う整備計画・構想が数多くあり、どう対応していくか
 市の財政状況は非常に厳しいと認識している。それは今に始まったことではなく、厳しいから合併もしている。有利な起債制度の合併特例債を使えるうちに体力を付け、特例債が終わってからは、その体力を利用してやるべき事業は進めるという筋書きでやってきた。
 今後は税収を増やしていくための仕掛けが必要になる。産業力を高めるなど、将来的に税収となって返ってくるような各種施策をしっかりと展開し、財政基盤の強化を図っていく。
 しかし現状を考えれば、整備計画に優先順位を付け、事業規模を身の丈に合ったものに見直していかなければならない。最優先で取り組むのは、屋内型大型児童遊戯施設の検討。駅前再開発と消防庁舎及び総合防災センター、旧割烹小幡の各整備事業は既に取り掛かっており、旧酒田商業高校跡地整備と山居倉庫の購入は少し先の話になる。
 施設の整備や運営には、フルに税金を投入するのではなく、民間の資金を活用していく。民間も地元であれば最善だが、中央の民間資金を使ってでも、こうした整備計画・構想の実現の道を探っていく。

ごみ有料化の是非を判断

―関連して旧3町地区を中心に公共施設の統廃合は避けて通れない課題だが、一方で市は新たな公共施設を整備しようとしている。今後の施設の維持費や公共料金をどう見通しているか
 施設を建てる資金は借金をすれば確保できるが、問題になるのは返済の利子と運営経費。既存の施設を廃止し、一方で運営経費を節減して新しい施設の運営経費に充当していく。さらには民間を巻き込みながら公民連携を進め、全体の経費がこれ以上増えないようにしていかなければならない。
 公民連携とは、公共的な目的と民間の営利性とを結びつけて公共施設を維持するやり方。旧割烹小幡の例で言えば、施設は市で改修するが、審査の結果、中にはしっかりとした経営基盤を持つ地元企業に入ってもらうことになった。やる気のある人たちとの協働とは、このこと。企業にはここで稼いでもらい、市が運営経費を掛けないで済むようにしたい。
 公共料金は、上下水道料金も含め、値上げをする考えはまったくない。ただ一つごみの有料化については、ごみの量が減らない現状などを踏まえ、近いうちに何らかの判断をしなければならないと思っている。


庄内延伸、国県に要望継続

―本紙の市長選立候補者アンケートに、庄内の鉄道高速化では「山形新幹線庄内延伸を優先して整備した方が良い」と答えた。どのような姿勢で取り組むのか
 フル規格の羽越新幹線整備、現行の羽越本線の高速化、山形新幹線庄内延伸の3者を比べれば、山形新幹線庄内延伸が最も実現可能性が高いと考えており、そこは以前と変わっていない。
 しかし吉村美栄子県知事が羽越、奥羽両新幹線のフル規格での整備を打ち出し、置賜、村山、最上、庄内の県内4地域に同盟会が発足するなど、1期目当初と今とでは、取り巻く環境が大きく変わっている。
 1期目を通じて県には、山形新幹線庄内延伸の実現を強く訴えてきたが、県からは良い返事をもらえなかった。そうした背景もあり、山形新幹線庄内延伸の優先順位を下げたのが実態で、トーンダウンさせたということを否定はしない。
 県全体の流れにあらがって推進運動を展開するのは厳しいが、引き続き国や県に重要要望事業として要望はしていきたい。陸羽西線の廃線だけは避けなければならないので、観光も含めて利用促進にも力を入れる。


商業高跡、今年度に構想

―旧酒田商業高校跡地整備には、具体的にどう取り組んでいく考えなのか
 19年度に具体的な構想をまとめたい。山居倉庫が国の史跡となった場合、駐車場は市が運営するにしても、それ以外は民間の力を借りるしかない。力を貸してくれる民間を探しながら、そこと運営はどこが担うのか、市の財政負担を含め事業費がどのくらい掛かるのかなどを詰めていきたい。
 山居倉庫は国の史跡指定が早くても20年後半になる。そこから利活用計画をつくるので、まだ3〜4年掛かる。国の史跡指定を受けると、国が買い上げ資金の8割を補助してくれる。

公益大の公立化を検討

―東北公益文科大学の公立化に向けた検討を進める、との公約も示した
 人口が減っていく中、入学者数は現在定員を超えているが、地方の私立大学で、しかも単科大学が定員以上の入学者数を確保していくのは、いずれ難しくなる。存続させていくためには、経営基盤を安定させることが必要。公益学部しかない学部を分割することも含め、どうすれば学生が集まりやすい環境に変えていけるのかなどを勉強し、できれば公立化に持っていきたい。

港周辺に再エネ企業を集積

―再生可能エネルギー導入に対する基本的な考え方、今後の方向は
 酒田市には再生可能エネルギーの関連企業が数社立地しており、酒田港周辺にエネルギー基地的なものを考えていくのが最も合理的だと考える。集積する場所は、しっかりと議論していく必要がある。
 港周辺は市民からも理解を得られると思うが、遊佐町では洋上風力の検討を始めている。酒田共同火力発電(株)の送電線につなぐしかないと思うので、そういったことも含め酒田が核となり得るように地域に整備していくことが、酒田の強みを生かすことにつながる。


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