郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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消費動向への影響は不透明
庄内 消費税増税から1カ月

 10月1日に消費税が10%に増税され、同時にキャッシュレス(電子)決済へのポイント還元も導入されて1カ月が経った。食料品などは税率が8%に据え置かれ、一方でポイント還元が受けられない大手企業などは割引商戦を展開したため、消費税増税の消費動向への影響は不透明なものとなり、計りかねている経営者も多いようだ。住民税非課税者と3歳未満の子がいる世帯を対象にしたプレミアム付き商品券の購入は伸び悩んでいる。

スーパーは一部で買い控え

 生活協同組合共立社によると、軽減税率が適用された消費税8%の食品でも、買い控えが見られる。増税により買い物の回数を控え、来店頻度を抑えていると思われ、来店者数が2〜3%減った。
 増税前と後では、消費税8%のままの商品も売上が減ったが、特に消費税10%になった酒類や生活用品・雑貨品は8%の商品を100とすると90に落ちている。
 一方、10月1日以降、組合員カードをプリペイドカードに切り替える人が一気に増え、電子決済化が進んできた。10月1日以降の切り替え申し込みは9月までの2倍に上る。
 申し込んでからプリペイドカードが届くまで3週間ほど掛かるため、まだ手元に届いていない人も多いが、支払いでプリペイドカードとクレジットカードを利用する人の割合は全体の約18%と、以前の2倍に増えた。レジでの混乱は無く、イートイン利用者も以前と変わらない。
 庄内の別のあるスーパーでは、5%還元があるためか9月と10月で売上に大きな変動は無かった。消費税10%になった酒類や雑貨類は、9月にまとめ買いをした人もいるため、通常の1カ月の売上の約1割減になった。
 想定より電子決済に切り替える動きは鈍かった。店側ではレジで現金を扱わない方が時間短縮にもつながるため進めたいが、仕組み自体をまだ知らない消費者もいて浸透していない。もう少しPRしていく予定。

飲食店では電子決済増加

 飲食店では、消費税が10%に上がった影響をまだ判断しかねている。
 酒田市のごはん職人六兵衛では増税と食材費の上昇を踏まえて、10月1日から2〜4%値上げした。10月の売上は前年同期より伸び、客数も増えた。国のポイント還元制度に申請中で、登録がまだ済んでいないにもかかわらず、9月に導入した電子決済のペイペイは10月から利用者が一気に増え、10月の売上の10%を占めた。
 同店では「電子決済の影響なのか、理由は分からないが新規の客が多かった。値上げしたことで常連客が利用を減らしているかもしれないし、1カ月では増税がどう影響したか分からない」と話す。
 酒田市のレストランニコは10月の売上が好調で、クレジットカードの利用者が前年同月の2倍に増えた。10月に始まったJR東日本の新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーンによる新潟県の客が増え、11月も予約で埋まっている。しかし「増税の影響を感じないのは、イベントや還元策が重なっているだけ。終了後に反動が来るだろう」とみている。
 酒田市のつけ麺道癒庵では、増税後も客足は変わらなかった。電子決済は10月の売上の10%を占めた。遊佐町の道の駅鳥海ふらっとでは、10月の売上が前年同月より落ちたが、増税よりも週末ごとの悪天候が響いた。酒田市の西洋割烹花月では10月の売上が前年同月比10%減。ランチ営業の客足が落ちた。「ぜいたく品を削るのは分かっていた」と諦め顔だ。
 税率8%のままの持ち帰りが中心の洋菓子店では、消費者が節約して買い控えているとは感じなかった。
 酒田木村屋では、酒田市内3店舗の10月の売上が前年同月より多く、客数も落ちていない。少し値上げもしたが財布のひもが固くなっているとは感じなかった。10月のクレジットカード決済は前年同期の2倍に増えた。酒田市のコンディトライカッツェでは、増税前後に買い控えている感じはあったが、その後はあまり変化が無い。

新車登録台数10月26%減

 国土交通省庄内自動車検査登録事務所によると、庄内地方の10月の新車登録・届出台数(二輪車を含む)は745台と、前年同月比263台26・1%減少した。
 内訳は、普通・小型乗用車と普通・小型貨物車、乗合自動車、特種・特殊自動車からなる登録自動車が375台で同173台31・6%減。二輪車を除く乗用車と貨物車からなる軽自動車が358台で同21・3%減。
 登録自動車は今年6月から4カ月ぶり、軽自動車は同3月から7カ月ぶりに減少し、「消費税増税前に多少見られた駆け込み需要による反動減が表れた」(日本自動車販売協会連合会山形支部)形となった。
 10月の登録自動車、軽自動車がともに前年同月から20%以上も落ち込んだ要因を、同支部では反動減のほかに「各メーカーとも、11月4日までの東京モーターショー後に新型車などを発表・発売するのが通例となっており、消費者側がそれを見据えて様子見をしている状況もある」と解説する。
 トヨタカローラ山形(株)山居町店の新車登録台数は、9月が前年同月比10・0%増、10月が同17・0%減だった。成田圭司店長は、9月に前年同月を上回った要因を、駆け込み需要の影響より催事の効果が大きかった、と分析している。
 今後は「来店客数も前年並みで推移しており、年末に向け販売に力を入れることから、販売実績が落ち込むことは無いと見通している」と話す。
 山形日産自動車販売(株)の県内5店舗の新車登録・届出台数は、9月が前年同月比でほぼ横ばい、10月が同25・0%減だった。倉信俊克・店舗支援営業部課長は、10月前半は前年同期の6割程度だった来店客数が、後半には同7割程度に回復していると説明。「10月は落ち込んだが、回復基調にあり、11月からはほぼ前年並みの販売実績に戻るのではないか」とみている。

電子決済の導入進む

 庄内の電子決済対応店を、主なQRコード決済3事業者のスマートフォンアプリで見ると、10月30日現在、酒田市でペイペイ385店、ラインペイ84店、オリガミペイ56店。鶴岡市でペイペイ550店、ラインペイ93店、オリガミペイ46店ある。
 本紙が9月に確認した時には、酒田市でペイペイ約300店、ラインペイ約80店、オリガミペイ約40店。鶴岡市でペイペイ約440店、ラインペイ約90店、オリガミペイ約40店だった。
 両市ともペイペイは大幅に増え、ラインペイは微増し、オリガミペイは酒田市で少し伸びている。
 経済産業省がホームページで公開している、ポイント還元の対象となる加盟店の数は11月1日現在、庄内全体で1111店。内訳は鶴岡市549店、酒田市436店、庄内町65店、三川町38店、遊佐町23店。
 増税前の9月2日現在では庄内全体で484店だったので、2カ月で627店129・5%増えたことになる。
 一方で申請が通らず、10月に入ってもポイント還元ができない店も多い。
 酒田市中町中和会商店街振興組合の脇屋直紀理事長は「自分の店では増税前の9月上旬に加盟店登録申請を出したが、登録されたのは10月20日ごろ。以前は登録まで2カ月かかると言われていたが、申請がスマートフォンで簡単にできるように変わっていた。まだ登録されていない店も11月から順次登録されるのでは」と話す。
 マリーン5清水屋では、テナントによってポイント還元が受けられる店と受けられない店が生じている。担当者は「今回の制度は複雑で大変だ」と話した。
 鶴岡商工会議所によると、会員の中小企業と小規模事業者約2千件のうち、9月25日現在でポイント還元を申請した事業者は648件で3割ほど。このうち実際に登録が済んだ事業者は460件と少ない。
 消費税増税後もポイント還元の問い合わせはあるが、そもそも電子決済を導入しない店もあり、今後大幅に増える見込みは低い。

プレミアム商品券は動き鈍く  申請者はまだ4割前後

 酒田市商工港湾課によると、増税に伴う家計の負担緩和と地域の消費を下支えするために、上限2万円で2万5千円分の買い物ができるプレミアム付き商品券を①生活保護受給者などを除く住民税非課税者②3歳未満の子どものいる子育て世帯に販売している。しかし動きは鈍いようだ。
 ①の対象者は10月11日現在2万896人で、市が対象者に通知し、申請を受けて審査した後に購入引換券を郵送する。申請者数は10月17日現在8002人で、全体の38・3%にとどまっている。同課では10月最終週に再度、同商品券を知らせる通知を発送した。
 ②の対象者は7月30日現在1992人で、市が対象者に購入引換券を郵送した。購入状況は把握していない。
 同課では「2万円で2万5千円分の買い物ができるとはいえ、初期投資の2万円が大きな出費になるために申請が少ないのではないか」と話し、5回に分けて4千円ずつ購入できることも知らせる。
 一方で、住民税非課税者を対象としているため購入しづらいのではないか、という声もある。対象者のうち子育て世帯はごくわずかで、非課税者が申請・購入しやすくならないと効果は薄いとみられる。
 鶴岡市商工課によると、同市プレミアム付き商品券は10月25日現在、1万841人に2万1851冊を販売した。対象者は2万5996人だが購入者は41・7%と当初の想定を下回っている。市では未購入の市民に文書で通知して理解を促す方針。
 酒田商工会議所によると、プレミアム付き商品券が使われた店舗は、同商議所で月2回開く換金受付所で換金する。換金額は10月9、23日の2回で約2800万円に上った。
 同商議所では「全市民を対象に2015年に発行した酒田市共通商品券プレミアム徳とく券は12億円分を発行し、2日間で完売したが、今回は制度が分かりづらい。景気の下支えなら対象者に行き渡らせることが肝心」と話した。


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