郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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今春高卒者の就職内定状況 12月末
県内定着率62・8%に低下
庄内 若者の流出に歯止めかからず

 庄内の今春高校卒業予定者の就職内定状況は12月末現在、求職者818人のうち就職内定者は792人で内定率は96・8%となった。就職内定者のうち県内内定者は497人で、県内定着率は62・8%と、前年同期の70・0%を7・2ポイント下回った。県や各自治体では、庄内の人口減少に歯止めをかけるため県内就職を増やそうと、地元企業を知ってもらう取り組みに力を入れているが、思ったような結果につながっていない。(編集委員・戸屋桂)

村山88%、置賜72%と差

表
 庄内の高校卒業予定者は2577人で前年同期比1・9%増えたものの、求職者は818人と同3・0%減り、求職者の割合も31・7%と同1・6ポイント低下した。求職者のうち就職内定者は792人で同3・6%減、内定率は96・8%と同0・7ポイント低下した。
 就職内定者のうち県内内定者は497人で同13・6%減と大幅に減り、県内定着率は62・8%となった。県内他地域の県内定着率は、山形市などを含む村山88・0%、最上69・0%、置賜72・3%。県内定着率は庄内以外でも前年同期より微減しているが、庄内の落ち込みとは比べようもない。
 庄内の県外内定者は295人に上り、村山、最上、置賜の県外内定者の合計294人を上回った。
 鶴岡公共職業安定所管内では=表参照=卒業予定者が1446人で前年同期比0・8%減。このうち求職者は451人で同5・8%減、求職者の割合は31・2%と同1・7ポイント低下した。このうち県内希望者は313人で同12・3%減、県外希望者は138人で同13・1%増えた。
 就職内定者は433人で同8・6%減。うち県内が297人で同15・9%減、県外は136人で同12・4%増となった。就職内定率は96・0%で同3・0ポイント減だった。
 県内定着率は68・6%で同5・9ポイント低下した。鶴岡職安では、女子の県外希望が例年より多かったことが、県内定着率の低下に影響したと分析。地元に少ない空港やホテルなどの接客や販売を中心に内定した。
 一方、県内求人数は835人で求人倍率は2・67倍。求人数は前年同期比7・8%減ったものの、県内希望者の減少が大きかったため、求人倍率は前年同期の2・54倍をわずかに上回った。
 求人を業種別に見ると、製造業が286人と最も多いが前年同期比19・2%減。中でも繊維工業は50人で同29・6%減、輸送用機械32人同15・8%減、情報通信機械30人同増減なし、電子部品27人同6・9%減、生産用機械25人同41・9%減など。
 続いて建設業は185人で同2・1%減、医療・福祉88人同2・3%増、卸売・小売業74人同2・6%減、宿泊・飲食サービス業74人同15・9%減だった。


酒田は県内定着率55%

 酒田公共職業安定所管内の卒業予定者は1131人で前年同期比5・7%増。このうち求職者は367人で同0・8%増。求職者の割合は32・4%と同1・6ポイント低下した。このうち県内希望者は205人で同11・6%減。県外希望者は162人で同22・7%増と大幅に増えた。
 就職内定者は359人で同3・2%増。このうち県内が200人で同9・9%減。県外は159人で同26・2%増と大きく増えた。就職内定率は97・8%で同2・2ポイント増えた。
 県内定着率は55・7%で同8・1ポイント低下した。 5割台に落ちたのは6年ぶり。酒田職安では「今年度は安定志向が強く、育児休業をしっかり取れて長く働けるところなどと、堅実に企業を選んだ。その結果、県外の割合が昨年度より上がったのではないか」と分析した。
 一方、県内求人数は820人で前年同期比10・6%減。求人倍率は4・00倍となった。求人を業種別に見ると、建設業が最も多く232人で同12・1%増、続いて製造業が223人で同14・6%減だった。製造業の中では食料品が69人で同4・2%減だが製造業の31・0%を占めた。次いで金属製品22人同21・4%減、電子部品20人同5・3%増などとなった。
 卸売・小売業は88人で同1・1%減、サービス業は74人で増減なし。生活関連サービス業は53人と同64・2%減り、全体の求人数減の要因となった。これは本社が管内にあるための求人数で、実際の勤務地は県外のため、応募先選びには影響しなかった。

県市で地元企業を紹介

 県と鶴岡市、酒田市などでは若者に地元に残ってもらおうと「庄内若者定着促進会議」を2018年7月に発足。高卒者等の県内就職を促すため、地元企業との交流や企業説明会、企業見学などの機会を拡充した。企業を知ってもらい就職に結び付けるのが狙い。
 今年度、民間団体主催の職業体験会は鶴岡市の高校5校と中学校1校、酒田市の高校1校で開いた。鶴岡市主催「しごとセミナー」は6業種の仕事を紹介し、同市内の高校4校から136人が参加した。鶴岡工業高校2学年PTAと連携した企業見学会は、2社に保護者と教員合わせて18人が参加した。
 酒田市が酒田光陵高校と酒田南高校2年生に実施した企業見学ツアーは今年度、延べ47事業所を見学した(予定含む)。市内の企業を紹介する冊子「酒田ジョブガイド」を同市と庄内町、遊佐町の高校などを対象に、18年度版には95事業所を載せて2200部配った。
 ほかにも高校が独自に企業見学や職業体験を実施するなど、高校生が地元企業を知る機会は格段に増えている。県庄内総合支庁地域産業経済課では「県では地元企業を知ってもらう地道な努力を続けていくしかない」と言う。


県外企業の魅力や熱意は大

 就職者の多い酒田光陵高校では、卒業生340人のうち公務員を除く就職希望者178人全員が内定した。県内就職者86人、県外就職者92人。県外就職先の中には東北や県内が勤務地になる企業もあるが、県外が県内を上回った。2年時の希望では県内が県外を上回っていたが、企業をよく見て具体的に考えた結果、県外が増えた。
 全国的に高卒者が減り、高卒就職者が減る中で、大手企業は積極的に動いている。今の段階で来年度の採用計画を経理、電気関係などと職種を具体的に示し、「ぜひ欲しい」と声を掛けてくる。寮があり食事も提供され、親元で自宅から通勤するよりも自分が自由に使えるお金も多く、魅力は大きい。
 鶴岡工業高校では1月30日現在、卒業生181人のうち公務員を除く就職希望者は138人で、1人を除き内定した。県内就職72人、県外就職65人。昨年より生徒が約20人少なく、就職希望者も10人減った。この10人分が全て県内から減った。県外は昨年64人で今年とほぼ同じだが、毎年就職している県外企業が一定数あり、そこから埋まっていく。
 同校では、生徒が過去5年間の進路実績の資料と求人票を見るが、進路実績に載っていた、先輩が就職した企業を選ぶ傾向にある。
 県外の大手企業は年3回学校を訪問する。5月ごろにその年の採用予定を伝えに来て、求人票を持参する。内定を出したらお礼に来る。その際に内定した生徒と保護者に会い、入寮手続きなど入社までの流れを説明する企業もある。高校の就職担当者と企業の採用担当者のつながりも密になる。

保護者の考え方も影響か

 酒田職安では地元企業と首都圏の大手企業の違いを①求人票から見ると、賃金が初任給で2〜3万円違う。製造業と販売で特に差が大きい。月給が違えばボーナス額も違ってくる。②内定先の企業を比べると、県外企業は福利厚生が充実している。東京ディズニーランドやホテルのディナーなど、個人が選んで使える福利厚生プログラムが充実している、と言う。
 また、庄内と内陸の親の考え方の違いもあるのではないかと指摘。内陸では「家を残す、跡取りは地元に」という親の意向が就職先の選択に強く働いている。酒田光陵と鶴岡工業の進路指導担当者も「庄内の保護者はどうしても残れとは言わない傾向」と話す。
 山形職安では内陸の県内就職率の高さについて、親の目の届く範囲、自宅から通えるところに就職してほしいという親の意向が強い、とみている。特にここ最近の傾向として強く感じられ、10年前に比べ県外就職者の割合は減っていると話す。


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