郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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新年度予算
大型事業の建設工事が本格化
酒田市 規模は過去最大575億円

 酒田市の2020年度一般会計当初予算案が、12日の酒田市議会3月定例会本会議で原案通り可決された。総額は19年度当初を10・4%54億円上回る575億円で過去最大の予算規模となった。任意に削減できない「義務的経費」は横ばいだったものの、公共施設の建設などに充てる「投資的経費」が大幅に増えたことなどが要因。今秋には酒田駅前再開発事業の複合施設棟が先行開業し、新産業会館や消防本部・本署庁舎、浜田・若竹統合保育園など大型事業の建設工事が本格化する。(編集主幹・菅原宏之)

投資的経費が74・7%増加

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 丸山至市長が2期目の市政を担ってから初となる予算編成では、厳しい財政状況を踏まえながら、個別計画を着実に前に進める施策の展開に留意。予算規模は19年度当初の521億円を大幅に上回った。
 その要因を性質別歳出から見ると、最も大きく影響したのは「投資的経費」を19年度当初比74・7%増の82億7400万円と見込んだこと。物件費・補助費等・積立金・貸付金・操出金などからなる「その他の経費」を同8・6%増の247億9200万円と試算したことも、予算規模の拡大につながった。
 一方で人件費、社会保障制度として地方自治体が行う給付などの支援に充てる扶助費と、地方自治体が借り入れた市債の元金や利子の支払いに充てる公債費からなる「義務的経費」は同0・4%減の244億3500万円とした。
 投資的経費が大幅に増えたのは、駅周辺整備に伴い市が公共施設の床を買う酒田コミュニケーションポート(仮称)整備事業費、双方とも補助金を交付する駅周辺整備事業費と新産業会館整備支援事業費、浜田・若竹統合保育園整備事業費、学童保育所整備事業費が、19年度当初に比べ増えると見込んだことなどによる。
 その他の経費が増額となったのは、中小企業融資資金貸付事業が中心の貸付金を同34・1%増の28億100万円、ふるさと納税寄付金が増えると見込んで、積立金を同1853・9%増の7億100万円と見積ったことなどが要因。
 義務的経費のうち公債費は、文化施設長寿命化対策事業に充てるため18年度に借り入れた合併特例債の償還が始まることなどから、同1・2%増の73億9千万円。扶助費は、少子化で児童扶養手当扶助費は減るものの、高齢化を背景に生活保護医療扶助費は増え、保育士の処遇改善などに伴い保育所等入所扶助費も増えると見込み同0・6%増の92億3千万円。人件費は同3・0%減の78億1400万円と試算した。
 人件費の減少は、19年度51人いる退職者が20年度は33人と18人減る見通しに加え、職員の新陳代謝が進んだことなどが背景にある。
 池田里枝・市財政課長は「投資事業以外の経費は、19年度当初の一般財源を基に97%の要求枠を設定し、各部の裁量で編成できる項目を、これまで以上に拡大した。引き続き国や県、各種財団などで用意している補助制度を探すことも求めた。その結果、約1億7千万円の一般財源をねん出できたほか、さまざまな財源を確保することができた」と総括した。

駅前の複合施設が秋開業

 都市機能、防災、観光拡大の主要事業は次の通り。
▶酒田コミュニケーションポート(仮称)整備事業(継続)23億3400万円は、旧ジャスコ酒田駅前店跡地と近隣街区で進む酒田駅前地区第一種市街地再開発事業のうち、複合施設棟完成に伴う公共施設の床の購入と、先行開業の準備業務経費などに充てる。地上8階建ての複合施設棟には、市立図書館やホテル146室、レストラン、宴会場・会議室などが入る。開業は10月ごろを予定。
▶駅周辺整備事業(同)15億9900万円は、酒田駅前地区第一種市街地再開発事業の個人施行者・光の湊(株)に補助金を交付する。
 施設は複合施設棟のほか、地上5階建ての駐車場棟と、地上10階建ての居住棟からなる。総事業費109億5千万円のうち市の負担額は48億7千万円。全体の開業は22年春ごろを予定。
▶新産業会館整備支援事業(同)7億6600万円は、酒田中町二丁目地区第一種市街地再開発事業の個人施行者として、現会館を現在地で建て替える酒田商工会議所に補助金を交付する。20年度は現会館の解体工事費や建築工事費などを助成する。新会館は地上4階建て総事業費25億4100万円。21年5月ごろの開館。
▶消防庁舎及び総合防災センター整備事業(同)9500万円は、酒田地区広域行政組合の新消防本部・本署庁舎と市総合防災センターを、同市大町の四ツ興野開発区域に整備する。20年度は敷地と北部駐車場の外構工事や環境維持のための草刈りなどを行う。
 これを踏まえ消防費を分担する同組合分賦金として14億1900万円を計上した。このうち消防本部・本署庁舎整備事業に充てる酒田市分は1億3千万円。開署は21年10月を予定。
▶観光物産施設改修事業(同)1億8600万円は、日和山公園にある旧割烹小幡を新たな観光拠点とするため、建物を飲食店に改修する。(株)平田牧場が運営し、公共空間も同社に指定管理を依頼する方向で検討している。開館は21年4月を予定。

学童保育所を2学区に

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建設が進む酒田駅前の複合施設棟

 健康福祉、教育、文化の主要事業は次の通り。
▶浜田・若竹統合保育園整備事業(継続)6億1600万円は、老朽化した浜田、若竹両保育園を統合し、亀ケ崎6丁目の酒田共同火力発電社宅跡に、子育て支援センターも併設する新保育園を整備する。今年1月に着工し、21年4月の開園に向け引き続き工事を行う。
▶学童保育所整備事業(新規)1億300万円は、若浜小学校敷地内の若浜学区学童保育所に併設して同学区第2学童保育所を、宮野浦小学校の余裕教室を改修して同学区第2学童保育所を整備する。開所は両保育所とも21年4月を予定。
▶屋内型児童遊戯施設整備事業(同)200万円は、市民ワークショップを開いて意見を集約する。


基金の取り崩し25億円超

 主な歳入を見ると、市税は19年度当初比0・1%増の134億4900万円(歳入に占める構成比23・5%)と見積もった。
 法人市民税は、国の税制改正で税率が3・7%下がった影響から同8・4%減の11億4500万円、市たばこ税は同0・9%減の6億900万円と試算。
 一方で、19年産米の作況による農業所得の回復と給与所得の増加などから、個人市民税を同1・3%増の44億300万円、家屋の新増築と設備投資による企業の償却資産増などから固定資産税を同0・9%増の60億1200万円と見込んだ。
 地方交付税は、広域合併に伴う合併算定替えで普通交付税の加算分の9割に当たる8億5100万円が縮減されるが、同1・0%増の138億4500万円(同24・1%)と試算した。
 国庫支出金は同32・4%増の80億4700万円(同14・0%)、県支出金は同10・2%増の41億6800万円(同7・3%)、貸付金元利収入など諸収入は同36・6%増の37億4千万円(同6・6%)、貯金に当たる各種基金を取り崩して歳入に加える繰入金は同9・5%減の25億4300万円(同4・4%)、ふるさと納税寄付金が大半を占める寄付金は同266・3%増の13億600万円(同2・3%)と見込んだ。
 このうち繰入金は、一般財源の不足分を補うための「財政調整基金」から7億円、公債費の償還に充てる「市債管理基金」から5億円、ふるさと納税寄付金を原資に積み立てた「さかた応援基金」から6億100万円、合併特例債を原資に積み立てた「地域づくり基金」から1億7千万円など、計17基金を取り崩した。
 この結果、20年度末残高見込みは、財政調整基金が19年度末見込みより21・6%減の25億3400万円、市債管理基金が同19・3%減の4億6700万円、地域づくり基金が同5・5%減の28億9500万円、さかた応援基金が同68・5%減の1億4600万円。
 ほかに長期の借金に当たる市債は、同18・5%増の60億4千万円(同10・5%)と見込んだ。これにより20年度末市債残高見込みは、19年度末残高見込みより1・7%減の600億5500万円となる。
 合併特例債の20年度借入見込み額は8億8100万円と試算した。20年度末までの借入見込み額は314億3900万円となる。20年度末以降の発行可能額は14億9千万円。
 歳入のうち投資事業で膨らんだ経費は、国・県からの補助金を有効活用し、加えて市債の発行、基金の取り崩しなどで賄った形。


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