郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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本紙単独インタビュー
庄内の交通基盤整備に注力する
県知事選立候補予定者 大内理加氏、県政の課題を語る

 次期山形県知事選挙(2021年2月13日任期満了)に自民党などの推薦を受け、無所属で立候補を予定する前県議の大内理加氏(57)=山形市=が6月25日、本紙の単独インタビューに応じ、立候補の理由や現県政との違い、庄内地域の交通基盤の整備などについて語った。現県政との違いでは「政権与党・国と連携できるのかどうかが最も大きな違いになる」との考えを強調した。庄内地域の基盤整備では、日本海沿岸東北自動車道の新潟、秋田両県境区間と高規格道路・新庄酒田道路の整備に注力していく、との見解も示した。(編集主幹・菅原宏之)

人口減少、県外流出が課題

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質問に答える大内氏
(山形市、6月25日)

―次期県知事選に立候補することにした理由は
 山形県の人口減少に全く歯止めがかかっていない現状に対し、大きな危機感を抱いている。一部を除き全国どこの自治体でも人口が減り続けている中、「致し方ない」という声もあるだろうが、問題は減少の速度が全国でも上位3〜4番目にあるということ。減少の速度を少しでも緩めることに、もっと力を注いでいかなければならない。
 若い人たち、特に女性の県外流出が多いことも問題。例えば看護師や保育士免許を取得したとしても首都圏などとの賃金格差があり、結婚や出産をするにも経済的負担が前提になるようでは、合計特殊出生率が上がるはずはない。子どもの貧困率が全国でも上位という悲しい現実もある。
 生まれた故郷で働いて結婚し、子どもを産み育てたいと思えるような地域をつくるためには、もっと豊かな山形県にしなければならないという思いから、立候補を決意した。
―吉村美栄子県知事の県政運営をどう評価しているか
 県民の皆さんが「大きな失政は無い」ととらえている通り、安全運転という印象が強い。一方でさまざまな旗を掲げて頑張ってはいるものの、それらのほとんどが遅々として前に進まないという現実もある。
 フル規格による羽越、奥羽両新幹線や板谷トンネルの整備などはその象徴。掲げた旗に対する検証や事業化に向けた施策が足りないことは否めない。
―吉村県知事との違い、特に力を入れて取り組んでいく大内カラーとはどのようなものになるのか
 最大の違いはやはり、政権与党・国と連携できるのかどうかだと思う。自民党県議時代に培った政権与党・国との連携を最大限に生かし、もっと豊かな山形県にしていきたい。
 そのために特に注力したいのが▶県内における交通基盤の整備促進▶質の高い医療提供体制の整備▶教育環境の充実―の三つ。
 交通基盤の整備では、県内の高速道路供用率が全国や東北の平均に比べて低く、庄内、山形両空港の滑走路も2千メートルと短い。山形新幹線も運休や遅延が多発する脆弱な鉄道となっており、それを他県と肩を並べる水準まで引き上げたい。
 医療提供体制の整備では、県立病院や公立病院の急性期機能を集約し、回復期・慢性期機能と機能分担することが必要になる。自治体の財政負担を減らして県民により良い医療を提供するためにも、地域医療の再構築を進めていく。教育環境では、小さい子どもたちへの支援が手薄なことから、その改善に努めていきたい。
 私の強みは県議会議員を務めた13年間、常に県民の側に立ち、県民に寄り添って政治活動をしてきたところ。そうした経験を、今度は執行する側で生かし、公平で透明な行政の実現を目指していきたい。

庄内は「近くて遠い地域」

―庄内地域の現状をどう認識し、課題をどう分析しているか
 庄内地域は山形県内で唯一海のある地域。水産資源があり、酒田港があることから輸出企業も集積し、歴史的に京都・大阪など関西圏とのつながりが深く、優れた食文化も根付いている。
 また慶應義塾大学先端生命科学研究所やバイオテクノロジー関連企業などでは、全国から多様な人材を受け入れ、そうした人たちを生かした地域づくりも進んでいる。
 県内の他地域には無い独自の魅力があり、伸び代のある地域だと思っているが、交通基盤に問題がある。県外との連携が必要な時代に、日本海沿岸東北自動車道(日沿道)は新潟、秋田両県とつながっていない。横軸の地域高規格道路・新庄酒田道路の整備もなかなか進まず、東北横断自動車道酒田線の一部区間もいまだ高速道路になっていない。
 このため同じ県内でも「近くて遠い庄内地域」というイメージがある。魅力的な地域資源やモノを生かすためにも、庄内地域にとって交通基盤の整備は欠かせないとみている。
―庄内地域の高速道路網整備に向け、どのような考え方で臨むつもりか
 日沿道が新潟、秋田両県とつながっていないことによる不利益は非常に大きい。内陸地域は既に福島、宮城両県と高速道路でつながっているので、日沿道の整備に力を入れ、新潟、秋田両県境区間を早くつなぐようにしなければならない。
 また新庄酒田道路は、県内で一番重要な道路だと認識している。東北地方の強みは、日本海側と太平洋側の両方を持っているということ。そこを結ぶことによって物流が活発化するなど、東北全体の振興を図ることができる。
 将来は太平洋側の石巻市とつながるという意味から、新庄酒田道路は東北地方にとっても大切な道路で、その整備は喫緊の課題だと受け止めている。


庄内空港の機能強化が必要

―庄内地域の鉄道高速化では①羽越本線のフル規格による整備②羽越本線の高速化③山形新幹線の庄内延伸―の2事業計画と1地域要望が併存している。しかし県が優先するとした②のうち在来線の線形改良は進んでいない
 フル規格による羽越、奥羽両新幹線を否定はしないし、旗を掲げることに異論はないが、鉄道整備に対しては長期的な目標と短期的な目標が必要だと思う。フル規格新幹線の開通時期が50年先か60年先か分からないのに、それを目指して今のままで良いかと言えば、決して良くはない。
 庄内地域の鉄道高速化では、県が調査結果に基づき、山形新幹線の庄内延伸より羽越本線の高速化を優先すると結論付けている。吉村県政の12年間で、新潟駅での同一ホーム対面乗り換えなどは実現したが、在来線の線形改良をなぜ進めてこなかったのかは問われるし、検証する必要もある。
―庄内空港発着の空路についてはどう考えるか
 優先順位を付けるわけではないが、隣県と高速道路もつながっていない、鉄道の高速化も進んでいないという庄内地域の現状を考えれば、庄内空港が最も注力していかなければならない交通基盤だということだけは確か。そのため庄内空港に対してはメリハリの効いた予算を計上し、機能を強化していく必要がある。
 私は以前から県議会で「山形県の高速交通網体系は将来どうあるべきかというビジョンをつくろう」と提案してきた。それを示して県民の皆さんに納得してもらい、ビジョンに沿って進めていく。将来必要になってくる高速交通網は県内4地域ごとに異なるからだ。きちんとした調査と検証に基づき、まずは4地域ごとにビジョンをつくるべきで、内陸地域であれば、山形空港と仙台空港をどう使い分けていくのかを含め考えるべきだと思う。


公約の公表はもう少し後

―マニフェスト(具体的な数値目標・達成期限・財源などを示した公約文書)はいつごろ明らかにするか
 もう少し後の段階でマニフェスト的なものを公表する。それには山形県・庄内地域で課題となっている①少子高齢化・人口減少への対応②農業を守るための後継者問題への対応③若者の県内定着・庄内定着への取り組み―などを盛り込んでいくことにしている。
 また県営スポーツ施設・教育文化施設の庄内地域への設置の可能性については、基本的に地元からの要望や声が大きければ考えていくことになるが、現段階では何とも言えない。
―県の新型コロナウイルス対策をどう評価しているか
 PCR検査の検査数は東北地方の中でも多く、県外から持ち込まれたウイルスの拡散を防ぐ手当はうまくいった。ただ政府が緊急事態宣言を延長した5月4日、他の都道府県はその日の夜に対策会議を開いたが、山形県が開いたのは4日後の8日だった。
 迅速な情報提供と分かりやすい情報発信を行って県民に安心を与えることが必要だったが、この対応には疑問があり、大きな落ち度だったのではないか。
―30年度までに原発1基分の再生可能エネルギーの県内導入を目指す県エネルギー戦略への評価は
 東日本大震災後の原発事故を踏まえ、再生可能エネルギーの導入を進めるべきという方向は同じ。しかし風力発電は予定する目標値に届いていないこともあり、目標値なのか中身なのかは別にして、ある程度の見直しをしてもいいのではないか。見直しをしたからといって、戦略自体が後退するわけではない。
 1度決めたから何が何でもその目標に向かうというのではなく、状況に合わせ少し見直しながら目標に近づけていくという進め方もあるのではないかと思う。
―県知事選に向けた今後の予定は
 県議会6月定例会終了後に、県内全域を対象にあいさつ回りをする予定だが、具体的なことは県議会が終わってから詰めていく。
―次期県知事選挙では、自民党県連が一枚岩になって支援してくれるのかどうかが課題とみる向きもある
 それは大丈夫ではないか。過去には保守層が割れてしまった選挙戦もあったが、今回は自民党が一つにまとまっているからこその公募だったと思う。遠藤利明、鈴木憲和、加藤鮎子の県選出の自民党国会議員3人は、次期県知事選挙では同じ方向を向いている。


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