郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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庄内地域
豪雨、内水氾濫の被害相次ぐ
7月の県内被害額は399億円

 最上川が氾濫し県内各地に甚大な被害をもたらした7月27日からの豪雨災害は激甚災害に指定され、県は被害額を、県と市町村管理の道路や河川施設、農林水産関係、商工業関係を合わせて399億円と9月2日に発表した。復旧が急がれる中、9月4日には酒田市と遊佐町に1時間雨量が100ミリを超える記録的短時間大雨情報が出され、酒田市街地では排水が追い付かないことによる内水氾濫が起きた。頻発する豪雨に対して国や県、自治体など関係機関の情報共有のあり方、ハード・ソフト両面の対応を急ぐ動きも始まっている。(本紙取材班)

3時間雨量137ミリを記録

 酒田市では記録的短時間大雨情報が9月4日午前6時03分に出され、午前4〜7時の3時間雨量が137ミリと観測史上最高を記録した。この大雨で側溝などの排水が追い付かず、市街地の広範囲で、道路や住宅敷地内に水があふれ出す内水氾濫が起こった。ひざ下まで浸水した地区も多く、同市危機管理課が4日午後5時時点で把握した被害状況は①道路関係が、県道や市道など冠水による通行止めなどが12件、林道の土砂崩れなど4件、農道の法面崩落など2件②住宅が床上浸水1件、床下浸水4件③下水道のマンホール蓋破損1件など。小中学校で登校時間を遅らせたり、保育園の送迎バスが立ち往生したりした。道路の冠水による通行止めなどで、通勤時間帯には各所で渋滞が起きた。
 同課では罹災届出や罹災証明書の発行、災害ゴミの処理を無料にするなどの対応を、自治会の回覧などで市民に知らせ、手続きを進めたいとしている。
 2018年8月の豪雨では、新井田川に排水するポンプが稼働せず内水氾濫が起こった地域があった。今回は市内21カ所に約40台あるどのポンプも問題なく稼働していたが、排水が追い付かなかった。同課では、現在の排水施設の構造では対応が難しいとして、浸水を防ぐ土嚢などの活用も呼びかけている。
 鶴岡市では7月の大雨のような大きな被害には至らなかったが、道路の冠水による通行止めが5件、土砂崩れによる通行止めが1件などの被害が報告された。
 庄内町では、同町余目の店舗1件で床下浸水が発生したが、道路や農地では被害は確認されていない。
 遊佐町では5日現在、同町杉沢地区で水田のあぜ道が一部崩れる被害が1件あったものの、浸水や冠水、人的被害は無かった。 三川町では被害は確認されていない。

情報伝達の役割分担を確認

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住宅浸水が発生した酒田市富士見町2丁目

 一方、7月27日からの豪雨では鶴岡市と三川町で河川の越水などによる住宅への浸水があり集落内が広く冠水し、住民がボートで救助されたケースもあった。
 鶴岡市と三川町の越水は、赤川が増水して青龍寺川が流入できなかったことによる。国土交通省酒田河川国道事務所によると、赤川が青龍寺川に逆流していることを確認し、青龍寺川から赤川に注ぐ水門を閉鎖した。この水門を閉めたという情報を鶴岡市と三川町が把握したのは越水が起こってからで、確実な情報伝達が課題となった。
 県庄内総合支庁庄内河川砂防課では、国、県、鶴岡市と三川町を集めて「赤川水系青龍寺川等にかかる減災のための連携調整会議」を8月26日に開いた。確実な情報伝達をするための役割分担を確認し、ハード・ソフト両面から、今すぐできることと長期的な事業などを共有した上でそれぞれに取り組んでいくという。9月18日にはさらに土地改良区や地区代表なども加えてさらに協議する。
 また、国交省酒田河川国道事務所によると、全県的な取り組みとして「最上川水系流域治水プロジェクト協議会」を、今年度中につくる準備を進めている。


7月豪雨 庄内の被害状況

鶴岡市 農林被害4億円

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最上川スワンパークも水没した(7月29日撮影)

 鶴岡市では住宅の浸水被害は床上浸水2棟、床下浸水26棟、非住家43棟の計71棟、8月24日現在、農林業の被害額は4億5032万円、道路・河川、公園の被害額は9855万円に上る。
 市は課税課と各地域庁舎総務企画課で8月3日から被災住宅等の罹災証明書の申請を受け付けている。被害や要望の内容ごとに各担当課に相談窓口を設けた。ふるさと納税サイトを通じ、復旧・復興に向けた災害支援の寄付も受け付ける。寄付金は被災者への支援や災害復旧に役立てる。
 27日深夜から降り続いた雨で黒瀬川や藤島川、京田川、市街地を縦貫する青龍寺川などで水位が上がった。市は28日午前8時40分に災害警戒本部を設け、午後1時45分には災害対策本部に切り替えた。同時に羽黒地域広瀬地区51世帯143人に避難指示を発令。同3時50分には藤島地域の藤島など3地区計1022世帯2848人、同4時には鶴岡地域湯野沢地区50世帯151人、同7時10分には市街地の切添町と鳥居町の一部555世帯1120人に避難勧告を発令した。
 広瀬地区の28世帯51人、湯野沢地区の18世帯49人など、計82世帯182人が6つの避難所に避難した。避難の指示や勧告が無かった地区でも計6世帯12人が自主的に避難した。
 住宅被害が最も大きかったのは湯野沢地区で、床上浸水が1棟、床下浸水が10棟、非住家が27棟、計38棟と、市全体の被害の半分以上を占めた。同地区は青龍寺川の増水で排水不能になったのに加え、同川からの越水もあって内水氾濫が起こり、集落内が広く冠水した。対応面では現場情報が生かされず、ポンプの設置などで連携不足もあった。住民はボートによる救助も受けながら、49人が栄コミュニテイ防災センターに避難した。枝豆を作付けした農地5・2ヘクタールも冠水した。
 市街地でも、新内川の増水で排水ができなくなり、内水氾濫が起きた。切添町で住宅8棟、鳥居町、末広町、家中新町で各1棟が床下浸水した。
 朝日地域では、月山あさひ博物村の近くの沢があふれ、庄内たがわ農協がワイン貯蔵庫として使っていたトンネルピットに土砂が流れ込んだ。瓶詰ワイン約1万本が冠水し、商品価値を失った。同農協はワインを廃棄する予定だったが、温海温泉や湯野浜温泉などで活用した。
 農林業の被害は農作物が被害面積110・9ヘクタール、被害額5001万円。品目別では枝豆が62・4ヘクタール4084万円と最も多かった。ほかに農業用施設が160カ所1億7220万円、農地が133カ所6630万円。
 林道の被害は169カ所1億5475万円で、特に朝日地域では路肩崩落19カ所、のり面崩落36カ所など計118カ所1億3125万円の被害を受けた。
 市が管理する道路の被害は87件7960万円で、このうち復旧済みが11件にとどまる一方、未着手は21件を数える。河川は13件1105万円で復旧済みはまだ無く、未着手が9件と復旧が遅れている。

三川町 流木撤去に2千万円

 三川町は避難勧告を、藤島川と京田川が合流する付近の落合、土口、押切中町の一部住民105世帯347人に、7月28日午後3時30分に出した。
 避難所となった三川町社会福祉センターと、なの花荘には最大74人が避難した。社会福祉センターに2世帯7人、なの花荘に2人が泊まった。
 住宅の浸水被害は計9棟。このうち7棟が青山地内で、住家は床上浸水1棟、床下浸水2棟、非住家は床下浸水4棟だった。青龍寺川の水門が赤川からの逆流防止のため閉まっていたため、鶴岡市から流れてきた水が青龍寺川にたまり、逃げ場が無くなって青山橋付近であふれた。罹災証明書は、青山の住家1棟、横山の非住家1棟に交付した。
 大豆や庄内柿、枝豆、ネギなどの畑65・1ヘクタールが冠水し、被害額は872万9千円に上った。被害面積の約6割が赤川河川敷だった。泥水に浸かった柿の木は、商品になるか収穫しないと分からないため、被害額は増える可能性がある。青山、押切、東郷では排水路付近でも水があふれた。
 赤川河川敷の畑や管理用道路に溜まった流木を撤去するため、町は2200万円を専決処分し、8月上旬から撤去作業を行った。9月10日に完了する予定。

庄内町 枝豆や花が冠水

 庄内町では複数の農地や道路で被害が出た。同町の千本杉、添津、三ケ沢、落合などの畑地では、枝豆や長ネギ、トルコギキョウが冠水し、9月7日時点で1471万5千円の被害額が発生している。
 最上川左岸にあるカートレース場のカートソレイユ最上川では、大雨でサーキットが冠水してフェンスが破損したため、一時営業を休んでいたが、コースを短縮する形で8月23日に再開した。だが、サーキットにはまだ泥が残っていることから、全面復旧は現在でも未定となっている。
 同町では、庄内町防災情報登録制メールを今年度から始めた。メールアドレスをあらかじめ登録しておくと、町が防災無線で放送した内容がメールで届く。防災無線の内容は町のホームページや防災無線テレフォンサービス 電話0234-42-2081でも確認できる。

酒田市 ゴルフ場も被害

 酒田市の被害は、90歳代女性が避難しようとして転倒し骨折した人的被害1件。住宅の浸水被害はなく、公園などで浸水があった。市道は一時的な冠水があった。倒木や落石、路肩欠損もあったが、ほぼ対処済みで通行には支障が無かった。
 農業関係では水稲、大豆、ネギなどの農地47・2ヘクタールに浸水した。8月19日現在、農業被害額は合わせて約600万円。庄内みどり農協によると水稲の浸水と冠水が合わせて32〜34ヘクタール、大豆の浸水と冠水が8ヘクタール、野菜の浸水が約3ヘクタール。
 最上川左岸にあるゴルフ場の最上川カントリークラブを経営する(株)最上川クリーングリーンでは、大雨でコースが水没し、8月15日に一部を除き営業を再開するまで約2週間休業した。9月1日からは全ホールを使用しているが、漂着したゴミの回収や泥の撤去、グリーンの洗浄に消毒、バンカーの砂の補充などかなりの復旧作業を要した。中でも15番ホールの泥が過去に経験したことのない量で、まだ作業が続いている。
 住民避難は市内76カ所と庄内町のほたるドームの計77避難所を開設したうち26カ所に、ピークの午後10時で269人が避難した。


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