郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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鶴岡市決算2019年度
経常収支比率が2期連続悪化
貯金は減って借金が増加

 鶴岡市の2019年度普通会計歳入歳出決算は、実質収支、単年度収支、実質単年度収支とも黒字を計上するなど収支状況は改善したが、義務的経費や市債(借金)残高が増え、経常収支比率は2期連続の悪化、将来負担比率も初めて悪化に転じるなど、不安要素も顕在化した。積立基金(貯金)の合計残高は前期比約8億円減り、市債残高は約33億円増えた。20年度はコロナ禍による税収減も予想され、難しい財政運営を迫られる。行財政改革、建設投資の絞り込みなど、市が取り組むべき課題は山積する。(編集委員・後藤悟)

実質単年度収支は黒字化

表
 鶴岡市の19年度普通会計決算(一般会計に休日夜間診療所特別会計と墓園事業特別会計の全部、後期高齢者医療保険特別会計の一部を合わせたもの)の主な歳入と歳出、財政指標、自治体財政健全化法に基づく健全化判断比率は2面の表1の通り。
 歳入総額は757億4180万円で前期比54億6427万円7.8%増、歳出総額は742億6568万円で同63億656万円9.3%増となり、決算規模は前期に比べ大幅に拡大した。
 歳出が増えた要因は、社会資本整備に向ける投資的経費のうち、普通建設事業費が149億9701万円と同61億6599万円69.8%の大幅増となったこと。ごみ焼却施設整備事業、一般廃棄物最終処分場整備事業が本格化、屋内多目的運動施設整備事業や本庁舎耐震補強事業が動き出したことなどが影響した。災害復旧事業費も、山形県沖地震に伴う被害の復旧などで8億5572万円と同4億7339万円123.8%増となった。
 決算収支を見ると、歳入総額から歳出総額を差し引いた形式収支は14億7612万円の黒字だが、同8億4229万円36.3%減と黒字幅は縮小した。形式収支から翌年度へ繰り越すべき財源2億500万円を除いた実質収支は12億7113万円の黒字となり、同1億1214万円9.7%の増となった。
 実質収支の黒字は翌年度の繰越金として引き継ぐ。20年度は当初予算に1億円、4月以降7回の補正予算に8億5409万円を計上し、新型コロナウイルス感染症関連の経済対策事業の財源に充てた。
 実質収支から前年度実質収支を差し引いた単年度収支は1億1214万円の黒字と、同10億8470万円111.5%増となった。16〜18年度はそれぞれ5億6481万円、19億1740万円、9億7256万円の赤字を計上したが、4期ぶりに黒字に転じた。
 単年度収支に実質的な黒字要素である財政調整基金積立金1億9129万円と市債繰上償還金(借金返済額)2億3123万円を加え、赤字要素である財政調整基金取り崩し額3億円を引いた実質単年度収支も2億3465万円の黒字と、同12億9104万円122.2%増となった。17年度は8億9451万円、18年度は10億5637万円の赤字で、3期ぶりに黒字に転じた。黒字化の要因は、暖冬による除雪費の減額。


市債残高、前期比33億円増

 市の貯金に当たる各種積立基金の19年度末合計残高は172億6042万円で前期比7億8651万円4.4%減、ピークの17年度末比では12億6150万円6.8%減となった。合併優遇策が無くなるのを見越して前市政が大胆に積み上げたこともあり、基金残高は県内13市中トップで2位の酒田市の2倍もある。しかし、税収や地方交付税が減れば取り崩しが増える。
 主な内訳は、想定外の支出や財源不足に備える財政調整基金が44億6686万円で同1億871万円2.4%減、公債費の計画的償還に活用する減債基金が40億6549万円で同4億7400万円10.4%減。地域振興を目的とする地域振興基金は33億円で増減なし。公共施設整備基金は28億5008万円で同2億6167万円8.4%減、加茂水族館整備振興基金は13億8091万円で同1億2538万円10.0%増。その他計97億2943万円で同6億5022万円6.3%減となった。
 一方、市の借金に当たる19年度末の市債残高は784億8149万円で同33億6145万円4.5%増えた。元金償還額が75億8765万円、ごみ焼却施設や一般廃棄物最終処分場の整備などの大型投資に伴う借入額が109億4910万円と膨んだため。
 市民1人当たり負債額は62万9千円で、同2万4千円5.7%減った。増加率が市債残高より高いのは、人口が約1500人減ったことも影響している。
 事業費充当率95%、実質負担率33.5%の合併特例債の19年度末現在の発行済額は、地域振興基金造成分を含め約459億円で、発行可能残額は約39億4720万円。活用期限は25年度末まで延長され、20年度中に約12億円の発行を予定している。


財政力は県内13市中11位

 各種財政指標を見ると、財政構造の弾力性を表す経常収支比率は92.5%と、前期比2.4ポイント悪化した。人件費や維持補修費が減った半面、補助費や物件費が増えたことなどが要因となっている。県内13市の中では中位の5位。
 人口や道路延長などの条件も加えて算出した基準財政需要額を、税収入等を基に計算した基準財政収入額でどれだけ賄えるかを示す財政力指数(3カ年平均)は0.421と、同0.002ポイント改善した。年々わずかながら改善傾向が続いているが、県内13市の中では11位に甘んじている。
 自治体財政健全化法に基づく4つの健全化判断比率を見ると、公営企業や一部事務組合を含めた実質的な公債費相当額を基に、資金繰りの危険度を示す実質公債費比率は6.1%と、同0.2ポイント改善した。実質公債費相当額に第三セクターの負債のうち市が損失補償や債務保証をしている負債額を加え、将来の財政を圧迫する可能性を探る将来負担比率は54.4%と、同8.7ポイント悪化した。普通会計の実質赤字額、自治体全体としての連結実質赤字額、公営企業会計での資金不足額は生じていない。

投資的経費が歳出の2割

 歳出を性質別に見ると、任意に削減できない義務的経費は310億594万円で前期比1億6433万円0.5%増え、歳出総額に占める構成比は41.8%で同3.6ポイント下がった。投資的経費の急増で相対的に下がった。
 内訳は、扶助費が自立支援事業や教育・保育給付事業の増などで134億6803万円と同3億9677万円3.0%増、人件費が一部職員人件費の普通建設事業費への振替などで95億8682万円と同2億4340万円2.5%減、市債の返済に充てる公債費は79億5109万円と同1095万円0.1%増となった。
 投資的経費は前述の通りだが、構成比は21.3%で同7.7ポイント上がった。
 その他の経費は274億700万円と同4億9715万円1.8%減り、構成比も36.9%で4.1ポイント下がった。主な内訳は、備品購入費や委託料などの物件費が86億3108万円と同3億5348万円4.3%増負担金や補助金など他の団体に交付する補助費等が84億7015万円で同5020万円0.6%減となった。


自主財源どう確保するか

 歳入のうち、税収などの自主財源は242億円2363万円と前期比2億896万円0.9%減り、地方交付税などの依存財源は515億1817万円と同56億7323万円12.4%増えた。自主財源比率(歳入全体に占める割合)は32.0%と同2.8ポイント下がり、依存財源への依存が強まった。
 自主財源の主な内訳は、市税が152億1001万円と、同2482万円0.2%増えた。このうち法人市民税は9億4773万円と製造業の減速などで同1億4121万円13.0%減ったが、個人市民税は52億5264万円と給与所得の伸びなどで同5780万円1.1%増えた。固定資産税は大規模非木造家屋の新増築の評価額の増加などで68億7147万円と同2115万円0.3%増えた。
 このほか諸収入は24億5729万円(構成比3.2%)で同5927万円2.4%減、繰越金は23億1842万円(同3.1%)で同3006万円1.3%増、繰入金は14億7582万円で同5606万円3.7%減(同2.0%)。寄付金は6億3151万円(同0.8%)で、山形県沖地震の復興支援もあって同1億1368万円22.0%増えた。
 依存財源の主な内訳は、地方交付税が215億2639万円(構成比28.4%)と、合併特例期間終了後の段階的縮小で同2億1893万円1.0%減った。段階的縮小は21年度まで続く。市債は109億4910万円(同14.5%)と同5億3200万円9.8%増、国庫支出金は102億8298万円(同13.6%)と、廃棄物処理施設交付金や子どものための教育・保育給付交付金などの増加で同27億7795万円37.0%増、県支出金は53億7533万円(同7.1%)と同2億8777万円5.7%増。
 市では、自主財源の確保を長期的な課題に挙げ、特にふるさと寄付金の拡大に力を入れていく。市民本位の視点での行財政改革は、経費の節減や投資事業の絞り込みにどうつながるか不透明。コロナ後の財政運営も注目される。


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