郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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酒田市観光ガイド協会が40周年
個人旅行の増加、会員の高齢化が課題

 酒田市観光ガイド協会(佐藤恒夫会長、27人)が今年、設立40周年を迎え、記念祝賀会を6月27日にホテルリッチ&ガーデン酒田で開いた。観光客に酒田の魅力を伝え、楽しみ喜んでもらいたと活動を続けてきたが、旅行の形態が団体から個人へと変化し、観光の目的地も多様化、会員の年齢も上がってきている。(編集委員・戸屋桂)

おしんブームがきっかけ

 酒田市観光ガイド協会は1984(昭和59)年6月1日に、酒田観光人材バンクとして発足した。NHK朝の連続テレビ小説「おしん」が大ヒットし、撮影地となった山居倉庫を訪れる観光客が、国内外から急増したことがきっかけだった。97(平成9)年に現在の名称に変えた。
 会員に資格は無いが、入会講習を受け、年会費千円を納める。2024年3月24日現在、27人が登録している。年齢は60歳代から80歳代で70歳代が中心だが、平均年齢は上がっている。

表

 活動は①観光客からの予約を受けた観光案内②クルーズ船寄港時の観光施設や街中などの案内③ミライニと山居倉庫の観光案内所の勤務。観光施設やイベント、修学旅行生やクルーズ船寄港などの情報交換をする定例会と、歴史文化や新しい観光施設などを知る研修会を月1回開く。

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羽黒山での研修会(2023年度)

 酒田商工会議所が制作した湊町さかた観光ガイドテキストブック「ぐるっと酒田まちしるべ」を教材にして、研修で得た知識などを基に会員各自が独自の情報を加えて観光案内に当たる。
 利用者は酒田観光物産協会に予約し、同協会が案内する場所や施設によって会員を派遣する。ガイド料1時間千円は、案内した会員の収入になる。

酒田米菓の案内増える

 ガイド協会の観光案内実績は23年度、案内件数が302件、案内した人数は1万94人。ガイド延べ494人が同942時間案内した。このうち、修学旅行や校外学習、一般の観光客からの予約は271件6631人。クルーズ船や観光イベントなどの予約以外のものが31件3463人だった。
 予約で案内した271件のガイド先は、酒田米菓が184件で67・9%を占めた。山居倉庫が41件で15・1%、山居倉庫と他施設が12件で4・4%、その他が34件で12・5%だった。学校関係が75件で27・7%、一般客など学校以外が196件で72・3%を占めた。
 佐藤会長によると、近年は酒田米菓の工場見学の案内が増えている。歴史文化だけでなく、市内のさまざまなことを知り、案内する必要もある。
 13年度以降の実績は表の通り。コロナ禍の21年度が記録の残る中では最多だった。これは、コロナ禍の移動の制限や自粛などで県内の学校の修学旅行が増えたため。酒田市が県内の学校にPRしたことも影響した。
 団体客が中心の時代はガイドを必要とするケースも多かったが、個人客ではガイドまで必要としない場合も多く、個人客の予約をいかに増やすかは今後の課題となっている。佐藤会長は「個人客の利用を増やすため、ぶら探酒田などのガイドなどで市民の認知度も上げていきたい」と言う。

観光案内所に常駐し対応

 ガイド協会にはミライニと山居倉庫にある観光案内所の勤務という安定した仕事がある。23年度はミライニで延べ714人が働いた。来客数は1万3492人、自転車貸し出し台数は3095台、電話やファックスの対応が1093件だった。山居倉庫では延べ298人が働いた。来客数は1万3205人、このうち外国人は1299人だった。
 今後も観光案内所の活動を基軸にしながら、案内件数の確保のために自己研鑽と認知度向上を図りたい考え。
(次号に続く)

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