郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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得意を生かし増やして一層活躍
新年の抱負 ─企業法人─

 庄内で工場や設備などを新増設した企業や法人の代表に新年の抱負を伺った。宇宙・航空・防衛産業向け基板の国内外での販売拡大、パックごはんの新工場を福島県に新設、新商業施設に地元食材の食堂を開店、業務と労働環境を改善した物流の新社屋、高度生殖医療を提供するセンターの開設と意欲いっぱいだ。

国内外の需要増に対応

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OKIサーキットテクノロジー(株)代表取締役社長
鈴木 正也さん

 電子機器にほぼ例外なく使われているプリント配線板の、設計から製造までを一貫して行っている。生産拠点は鶴岡市の本社工場、新潟県上越市、東京都青梅市にある。
 鶴岡工場では宇宙・航空・防衛産業向けの基板を主に作っている。半導体向けの基板を作る上越工場では、2023年1月から最先端の半導体検査装置に使う基板の生産を始めた。この基板は、一般的な基板が10~12層なのに比べて、110層超にもなる高多層の基板。製造できる企業は国内に数カ所しか無く、さらに高スペックの物となると当社以外に製造できる企業はほぼ無い。
 鶴岡工場で作っている宇宙・航空・防衛産業向けの基板は、北米、欧州での需要が急拡大しており、今年度は海外向けの営業部門を設けた。いくつか声をかけてもらっているが、売れる手応えを感じている。
 宇宙・航空・防衛産業向け基板の需要は、国内でも今後拡大が見込まれる。今後はこれら国内外での販売拡大に加え、半導体向け市場の回復にも応じられるように準備を進めていきたい。

生殖医療センターを開設

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山形県・酒田市病院機構日本海総合病院長
橋爪 英二さん

 国が医療政策の中で重視している不妊治療の産婦人科外来施設「日本海総合病院生殖医療センター」を、東病棟7階を改修して4月に開設する。人工授精などにとどまらず、将来はがんなどの病気を抱えたAYA世代(15~39歳)を対象に、治療が始まる前に受精卵や卵子を保存管理して患者の出産を支援する取り組みにも力を入れていく。
 新設するセンターの改修面積は約760平方メートル。培養室、採卵室(2室)、診察室(同)、処置室(同)、凍結タンク保存室などを備え、一般不妊治療や体外受精、顕微授精、凍結胚移植などの高度生殖医療を提供する。
 鶴岡市の「すこやかレディースクリニック」を運営する医療法人レスポアール(斎藤憲康理事長)が手掛けてきた事業を継承するもので、不妊治療を庄内2次医療圏で存続できる。
 当初は医師2人と医療スタッフ11人の計13人体制でスタートする。開設に向け3月からは、同クリニックの職員11人も日本海総合病院の職員として勤務する。不妊に悩んでいる夫婦やカップルは、ぜひ相談に来てほしい。

酒田の食楽しむ食堂開く

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(株)山形飛鳥 代表取締役
五十嵐 七朗さん

 酒田商業高校跡地で3月27日に開業する商業施設いろは蔵パークで、酒田・庄内の豊かな食を味わってもらう「イカ恋食堂ごはん亭」を開く。コンセプトは「ごはんをおいしく食べる」。イカなどの水産物だけでなく、農産物と畜産物など地元の食材を使い、ごはんに合う地域色の強いメニューを開発している。
 酒田の船凍イカの加工を手掛け、酒田港の交流施設サカタントに、イカの刺身を中心としたイカ恋食堂を出店した。来店客は毎年、前年より2割も増え続けリピート率が高い。
 ごはん亭では生食から加熱加工に大きく幅を広げる。そのために本社工場で総菜製造業の免許を取得し、さまざまな加熱調理器材も導入した。食品安全の認証スキーム「FSSC22000」を日本海側の水産加工業者では一番早く取得し、衛生管理を徹底してきた。
 食は酒田・庄内に誘客するための良いテーマ。いずれ水産・農産・畜産加工が連携して、各工場で加工体験もできるようにし、山居倉庫~酒田本港~日和山と回遊して酒田を楽しんでもらいたい。

福島でパックごはん生産

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(有)ドリームズファーム 代表取締役
東海林 秀宣さん

 福島県相馬市にパックごはんの生産工場を新設する。年間生産量は5千万食強。昨年12月に着工し、来年4月に操業開始の予定。自社で使う米の栽培も行う。
 1997年にパックごはんを年間700万食生産できる工場を開設して、OEM生産を始めた。2010年にはエコロジーパックに替えて年1500万食に増やし、工場の二酸化炭素排出量を約40%削減した。
 20年に生産ラインを更新して年3600万食に上げた。営業部も置いて自社ブランド「美味かめし」の販売を強化。東北から九州まで販路を拡大した。県産ブランドつや姫と雪若丸の知名度効果もあり、売れ行きは好調。さらに個食化や高齢化、共働きなどで1セット3パックから5、10パックへと需要が増し、供給の強化が求められている。
 農業法人のため米を生産し、米の知識が豊富でブレンド技術もあることから、価格・品質・おいしさのバランスが取れた商品を作ることができる。海外5カ国で市場調査も実施した。庄内で米生産部門の拡大、冷凍・レトルト米飯への進出も検討している。

本社を移転し働きやすく

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(有)菅原物流 代表取締役
菅原 司さん

 新年で創業55年となる。冷蔵食品から精密機械の定温輸送まで、幅広い温度帯で輸送を行っている。特に日本酒をマイナス6度の超冷蔵で首都圏の酒販店へ届けるサービスは、全国でも当社だけだと思う。
 本社を2023年4月に鶴岡市大半田から鶴岡大山工業団地へ移し、24年10月にトラックの整備場と大型洗車機を備えた洗車場が完成して、新本社が竣工した。移転したのは、主要な取引先が大山工業団地に集中し、旧本社から大山まで片道30分以上かかっていたため。
 旧本社が住宅街の中にあったことも移転理由の一つ。24時間稼働しているが、住宅街では夜間にトラックを洗うことができなかった。トラックは鮮魚も運ぶため、内部までしっかり洗う必要がある。以前は30~60分かけて洗っていたが、洗車機の導入で10分もかからないようになった。
 物流業は夜勤業務があり、運転には危険が伴う。だからこそ労働環境を改善し、社員が長く快適に働ける環境を整えたい。社員の満足度が高まれば顧客へのサービス向上にもつながる。改善の努力を続けたい。

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