郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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全文掲載

本紙主催 新春座談会
中速新幹線には多様な可能性
「庄内生き残りへ、鉄道高速化と空路充実を」[3]

 本紙主催新春座談会の連載3回目は、国際チャーター便に対応するための庄内空港の滑走路延長の必要性、山形新幹線の山形空港駅新設の提案、鉄道高速化と庄内空港羽田便の共存、中速新幹線の陸羽西線と羽越本線への導入、鉄道の高速化が人口増のけん引役となることなどを話し合った。司会は菅原宏之編集主幹。文中敬称略。

写真 阿部 等 氏/(株)ライトレール代表取締役社長
東京都生まれ。東京大学工学部都市工学科卒。同大学院修士修了。東日本旅客鉄道(株)で鉄道の実務と研究開発を経験。その後、交通コンサルタント業務に従事し、鉄道の活性化策を多数提案している。

写真 佐藤 藤彌 氏/元山形県議会副議長
酒田市生まれ。酒田市議会議員を3期務めた後、1999年4月の山形県議会議員選挙で初当選。以後、連続5回当選。山形県監査委員、山形県議会副議長などを歴任。24年5月に旭日中綬章を受章。

写真 工藤 隆 氏/庄内町商工会長
庄内町(旧余目町)生まれ。1985年足利工業大学(現・足利大学)卒。2007年庄内町商工会理事、14年副会長、22年会長。(株)工藤建設代表取締役。(株)イグゼあまるめ代表取締役社長、同町建設企業組合理事長。

写真 西村 修 氏/酒田観光物産協会長
酒田市出身。仮設機材工業(株)代表取締役、酒田まちづくり開発(株)代表取締役、NPO法人パートナーシップオフィス理事長。酒田商工会議所副会頭、東北ブロック商工会議所青年部連合会長などを歴任。

滑走路延長は必要なのか

司会 庄内空港について聞きたい。庄内空港と山形空港は滑走路の2500メートルへの延長、庄内空港の国際ターミナル施設建設などの動きが出てきている。県は庄内空港将来ビジョンを2026年度中に策定しようとしている。庄内空港の現状をどう見ているか。

西村 庄内空港は現在、羽田便が5便あり非常に便利。今は以前に比べると早割り料金がとても安くなっている。滑走路を今の2000メートルから2500メートルに延長するという。その費用は山形空港が210億円で、庄内空港はなんと400億円もかかるという。これだけのお金をかけるのだったら、山形新幹線を庄内に延伸できるのではないか。また羽田の5便化維持に注力する方が大事ではないか。ましてや今の飛行機は小型化している。
 インバウンド(訪日外国人客)を見据えて国際チャーター便の誘致をと言っているが、国際チャーター便を庄内に持ってくると、帰り便にこちら側から観光客を乗せる必要がある。その観光客を集めるのがすごく大変。以前、中国・ハルビンなどとチャーター便を運航した時は、無理をして何度も乗らざるを得なかった苦い経験がある。
 チャーター便はせいぜい年に4回2往復程度が限界ではないか。今は羽田便が5便もあるので、羽田空港をハブ(乗り継ぎ地)化してインバウンドを誘致する方が良いのではないか。

工藤 庄内空港の滑走路延長に金がかかりすぎるというのもあるので、インバウンドを呼ぶのであれば山形空港が210億円で済むのなら、そっちを進めてもらったほうがいいのかなとは思う。その代わりに鉄道を延伸してもらって、そのアクセスで庄内に引っ張ってくるというのもありなのではないか。庄内から山形空港までは車でも1時間半ほどで行ける。新幹線ならもっと早く着く。
 庄内空港は今のままでもいいと思う。ただし、今は5便あるとはいえ、以前は格安航空会社のジェットスターの成田便が就航していた。ジェットスターを使えば6千~7千円で東京に行けた。今は全日空の独壇場になっているので、これはちょっとまずいのかなとは思っている。
 知り合いが愛媛県にいるが、愛媛から東京に来るには飛行機で7千円ぐらいだそう。車で四国から出るのには5千円かかるそうだ。知り合いが言うには「車で四国から出ると5千円かかるけど、飛行機で東京に行くのだったらまぁ7千円くらいだよ」という感じ。庄内羽田線は早割を使ってやっと1万数千円くらい。JRはなかなか早割はできないようだ。
 格安航空会社や別路線など別の便もぜひ増やしていただきたい。競争原理が高まり選択肢が増えればいいと思う。

国際便より国内路線を

佐藤 本気で庄内空港の滑走路延長をやる気があるのかと思う。山形が210億円で庄内が400億円。どっちに手をつけるのか分からないが、山形空港だけ延長して庄内空港を延長しないとなれば庄内が怒るので、両空港の延長を検討しているのだと思う。山形空港の延長が済めば庄内空港はなんだかんだと言ってうやむやにし、無しにしようとしているようにも見えてしまう。
 滑走路はチャーター便のために延長するという。チャーター便が現状の2000メートルでは怖いというので延長しようとしているのだが、経済効果は果たしてどの程度あるのか。国際チャーター便のために400億円を使うよりも、札幌便や大阪便といった新航路の開設や、鉄道の強化で競争原理を働かせる方がいい。庄内空港の滑走路延長をどうしてもしなければという理由は、私にはあまり理解できない。

中速新幹線と山形空港駅で便利に

司会 阿部さんは全国を飛び回る中で空港の利用も多いと聞く。庄内空港のこれらの動きをどう思うか。

阿部 山形空港のすぐ近くを山形新幹線が通る。分岐線を作り空港ターミナル施設に駅を造ればいい。空港の北側で分岐させて空港ターミナル施設を経由し、南側で合流させれば、庄内と山形市街のどちらからも空港へ便利にアクセスできるようになる。中速新幹線化により、庄内からは1時間かからなくできる。
 山形空港は札幌便や大阪便、名古屋便が飛んでいる。山形県内一円から利用客が集まるようになれば、福岡便や沖縄便も飛ばせるだろう。選択と集中で山形空港に一本化するのも手だ。

編集部 2024年の全国空港別乗客数ランキングを見ると、庄内空港は山形空港より乗客数が約1万人多い。山形空港は路線が多いのに庄内より少ない。滑走路を2500メートルにするなら庄内空港にするべきでは。

阿部 庄内空港が山形空港より多いのは羽田と行き来しているから。名古屋も新潟も仙台も羽田便は成り立たない。庄内は東京まで鉄道で5時間近くもかかるから、航空がカバーしている。2時間半で首都圏に行け、風で止まることがなく、朝から晩まで1時間おきに走り、航空運賃よりも安いとなれば、飛行機は使わなくなる。

司会 庄内空港はハード面の滑走路2500メートル化よりも、新規路線や格安航空会社の就航などソフト面を充実させてほしいという意見があった。

西村 日本中のどこに行くにも、庄内空港の第1便に乗れば、ほぼ午前中にどこにでも着くことができる。新路線を増やすと、その分羽田便の搭乗率が下がると思う。庄内空港は羽田5便を維持するだけで十分だ。

司会 工藤さんは東京に行く際は羽越本線に乗っていくとのことだったが。

工藤 羽田空港の庄内便搭乗口はなぜ、いつもあんなに遠いところにあるのか。おかしいだろうと思っている。あそこだけでかなりの時間を要している。
 鉄道を使うのがなぜ好きかというと、お酒を飲みながら行くのにちょうどいいから。飛行機では飛び立ってから45分ぐらいで着陸態勢に入る。ゆっくりとお酒を飲めない。本を読みつつビール1本を飲みながら2時間半くらいで東京に着くようになればちょうどいい。

佐藤 庄内空港はやはり必要。全国とネットワークでつながる。鉄道ではそうもいかない。鉄道がサボっているから庄内空港を使うとのことだが、飛行機はプラスアルファになる。今は飛行機が運休になると何もできない。二つ使い分けるということが大事なことで、空港と鉄道の役割は違う。
 滑走路の2500メートル化は県に財源があるかどうか。今の財政では非常に難しいと思っている。

鉄道高速化すれば空港は難しく

司会 阿部さんには、先ほど話題になった鉄道と空港の関係、特に佐藤さんの話にもあった良好な相乗効果を生み出すための進め方について伺いたい。相乗効果を生み出せれば利用者にとって非常に良いと思うが、現実にはなかなか難しいとも感じている。

阿部 リダンダンシーという、片方が駄目になってももう一方がカバーするという考えがある。将来の姿としては、新庄ルートと新潟ルート、どちらも中速新幹線化されたあかつきには、片方がダウンしても首都圏との足はきちんと確保できる。それが早ければ5年後か10年後にできたあかつきには、客観的に見て庄内〜羽田便は成り立たなくなると思う。
 現在、大半の人が航空を選ぶのは当然。鉄道の側が2時間半と私が言っているのは、米沢トンネル(仮称)、板谷峠のトンネルまで完成したあかつきの話。段階的にスピードアップして現実解として、当面は3時間オーダーで、1時間おきだと1日15往復ぐらいになる。
 航空よりはるかに乗車チャンスがある。また、鉄道は航空と違い立ち席でも乗れるので、行ったけど乗れないということはない。総合的に見て鉄道に圧倒的に軍配が上がる。それまでの間は相乗効果でお互いに利便向上競争をするのが将来のため。
 一方、山形空港とは鉄道と相乗効果を発揮する芽は十分にある。先ほど話したように、分岐線を作って山形空港ターミナル施設に鉄道を直接乗り入れる。地図を見ると約5キロで、地平なら200億円ぐらいで作れる。庄内空港の滑走路延伸の400億円の半額で、山形空港アクセス鉄道が庄内側からも山形側からもできる。山形空港からはその分、より多くの人が使うようになり、全国各所へ飛ばしましょうといろいろな芽が出てきて、空港と鉄道の本当の相乗効果になる。

司会 先ほど羽越本線などのフル規格新幹線化は2250年までかかるのではということだった。

阿部 2250年は日本全国のフル規格新幹線の完成。整備新幹線は北海道、北陸、西九州まで。その先の基本計画路線が3千キロ。優先順位から行くと、羽越本線はおそらく上から数えるより下から数える方が早く、22世紀後半が現実のところ。フル規格にこだわるのなら。

司会 そこで問題になるのが、今の整備新幹線方式だと、整備後に在来線を地元で運営する並行在来線問題が出てくること。フル規格にこだわるのであれば、この問題は当然考えなければならない。

佐藤 もともと整備新幹線は、田中角栄元首相が描いた構想が基になっている。それを引っ張りだして庄内延伸を邪魔しているだけ。通らないと皆分かっているのに、それを旗として揚げてしまう。県知事も反対はできないが、奥羽新幹線、羽越新幹線の整備新幹線は絶対にない。
 だから、まず今コミュニティしんぶんでスクープしたことを実現するために、汗をかいて、どうやったら良いかに全力で取り組む。庄内一つとか、そういうあんまり今までやって駄目なことにこだわらないで、新しいスキームでやる。新庄も最上郡の町も皆入ってくれるというスキームもできたわけだから、それはまず頑張ってほしいと思う。

先人が苦労した庄内空港は大切

佐藤 あと庄内空港。これは先人が苦労して造った空港。各県一空港の時代に、庄内に空港が必要だ、庄内島というキャッチフレーズで前田巌元酒田商工会議所会頭たちが頑張って造った。運輸省からは「ミスター庄内空港」と言われた。
 この努力というのは、今新幹線と騒いでいる人は足元にも及ばない。すごいエネルギーで頑張ってくれたおかげで、全国で初めて県内に二つの空港ができるようになった。あれもすごい運動だった。
 日本初のミニ新幹線は国も動いて、山形まで通った。仙台からではなくて福島から分岐することになったのは、置賜のことを考えてのことだ。山形から新庄までは県費で延伸した。
 空港は先人があれだけ努力したことなので、やはりうまく活用すべきと思う。どちらか一つという訳にはいかない。航空も使って、もっと往来をにぎやかにするということが大事だと思う。

司会 以前、三つ候補地があったと聞いたが、当時のそのような話も少し聞かせてほしい。

佐藤 当時の運輸省、今の国土交通省は庄内空港の設置場所に3カ所の候補地を挙げた。赤川沿いと、最上川沿いと、現状の浜中。この候補地の3カ所のうちどこが庄内空港として良いかという選択を迫られた。
 それで当時の酒田市長の相馬大作さんと鶴岡市長の斎藤第六さんとの会談で、酒田が頑張ったのだが「庄内で頑張ったのだから、酒田の一番南、浜中にしましょう、どうですか」と言ったら、斎藤第六さんが泣いて喜んだと相馬さんが語っている。「そうしてもらうと鶴岡に私も顔が立つ」として決まった。
 それでも条件が一つあると言って相馬大作さんが「ターミナルは北側にしてください。これでいいですか」。「そんなのは大丈夫です」と北側でOKした。滑走路は鶴岡市だけれども所在地は酒田市になっている。それを今、鶴岡市では「だまされた」と言っている。
 だまされたのではなくて、川沿いの滑走路は、パイロットからは目標があり見やすいという。しかし、浜中に決めた。これもまた農家の反対運動がすごくて、ひどい目に遭ったが、なんとか乗り越えて現在に至っている。

司会 やはりそのような経緯で現在の場所に決まった以上、庄内空港はとにかく生かさなければならないと思うが、鉄道とのバランスが非常に難しくなってくる。

佐藤 鉄道も増えれば飛行機も増える。私は基本的に相乗効果があると思う。流動人口が増えれば電車に乗る人も増えるわけだから、庄内空港が寂しくなるのではないかという心配はないと思う。それは腕次第だが。私は空港と鉄道と分けて考える必要はないと思う。

司会 なるほど、工藤さんはそのあたりどう考えるか。

工藤 選択肢が増えるのは良いとは思う。一度、飛行機は天候が悪くて駄目、そして鉄道も、庄内空港も調べたらやはりもう駄目で、結局、高速道路を使った。どうしても皆で行かなくてはいけないから、ということで乗り合って行った。
 選択肢が三つ四つあるということは良いこと。片一方が無くなると選択肢が無くなってしまう。鉄道が駄目だったら、飛行機が駄目だったら高速道路というところで、高速道路も造らなくてはいけないだろう、と私は思っている。利用者の選択肢というのが大前提。

中速新幹線は陸西にも羽越にも

編集部 今回の座談会は鶴岡の方々にも出席を打診したが断られた。鶴岡では山形新幹線の庄内延伸に慎重な意見が根強い。庄内に延伸されれば、羽越本線の特急いなほが減便になるのではないか、というのも理由のようだ。この意見についてはどう考えるか。

阿部 今の話はよく分かる。先ほど話したように、JR東日本に限らず、全てのJRが鉄道事業よりも不動産事業だ、という経営方針になっている。私がJR東日本1期生で入社し、鉄道を進化させたいと思って入社したのに、会社はそういう経営方針でないので17年勤めて飛び出し、交通コンサルタントとして独立して20年。先ほど話した通りだが。
 鶴岡の皆さんが、庄内延伸となると新潟ルートが見捨てられる、と言うのは、今までのJRのやり方を見ていると、そうとしか見えない。実際そうなわけ。だからJRが鉄道事業を本気でビジネスとして利潤追求で頑張る、地域貢献もすると言ったら、地域の人は、新庄方面を良くしたら引き続き新潟方面も良くすると前向きに受け止める。
 しかし今のJRのやり方を見たら、そのようなことは全く想像できないので、鶴岡の皆さんがそのように考えるのは全く当然のことだと思う。それを改めるために、地元、地域主導で、こうすれば鉄道を生かせるという案を、実務的にもきちんと実行可能なものをまとめて、県も一緒になって、国交省とも話をして実行する方向で―。
 中速新幹線というのは全国的にやるべき話なので、新庄ルートを第1号にした上で、新潟ルートは第5号になるか第7号になるか分からないが引き続きやるので、鶴岡にとっても、まずは新庄回りで便利になると同時に、その先数年後、もう20年後とか30年後という話ではなく、数年後には新潟ルートも便利になるんだよ、ダブルでどちらも使えるようになるんだよ、風で年中止まることも技術的に解決する方策があるんだよ、というのを、きちんと鶴岡の皆さんに理解していただいて。鶴岡の声としても、そういった本当に役立つ鉄道にする方策があるのだから、JRはそれ実行してくれよ、という方向に持っていきたい。

佐藤 私は酒田発とのライバル意識ではないかと思っている。鶴岡の人口が多いのにと思っているのではないかと推測する。大体似たような都市で。酒田発。国際船もそう。酒田発が何となく嫌ということ。

阿部 共存共栄と競争する面と。

佐藤 山形自動車道は、まだトンネルもできていない、月山トンネルで国土交通省に陳情に行った。当時は運輸省に行ったら「そのトンネルを掘るのに800億円かかる」と言われた。それで800億円を使うのなら新潟まで届きますよと言われた。あれは道路公団だったかな。言われて、「どっちを選択しますか」と言われた。トンネルを掘らないで新潟までつながった方が良いなと思って、「そちらの方が良い」と言ってきた。
 結局どっちもできない。結局あそこは坂がきつくてトレーラーが走れない。あの狭い47号線を重いトレーラーは通っている。そういう交通の不便さが酒田にはある。

しっかりした鉄道が人口けん引

編集部 そもそも羽越本線は赤字区間を四つもかかえている。将来、人口が減っていけばさらに需要が減っていく。そうなれば黙っていても特急いなほは減便になるのではないか。

阿部 昨日いなほの終列車に乗ったところ、新潟で乗った時点で6両もつないでいて、随分長くつないでいるなと思ったら、中は当然ガラガラだった。豊栄、新発田、村上など新潟県内でそれなりに降りて、県境を越えて、最終的に酒田で降りた人は、私を含めて多分10人いたかいなかったぐらいだった。それから余目が多分数人で、鶴岡が十数人ぐらいという感じ。昼間の列車は終列車よりは多いにしろ知れている。
 だからJRの発想だと、先ほど話した人口問題に関して、JRの経営陣が全く誤解をしていて、日本の人口は減っていくと日本国家がもう決めているんだと。われわれ鉄道の利用者はマーケットがしぼむのがもう確定しているんだと。
 したがって持続性を持たせるためにコスト削減を進めなくてはいけない。したがって利用が減っていく利用実態に合わせて、極力コストを下げる、イコールどんどん減便していく、というのが全JRの今の経営方針。だから今の田舎の利用実態からしたら、新庄ルートに関係なく利用実態に合わせて本数を減らしましょう、となってしまう。今のままだと。
 それは全くの誤解であって、鉄道がサボっているからこそ、日本の人口を減らしている。
 鉄道というのは、人口に合わせて輸送力を用意するという発想になってしまっているが、そうではなく、明治から昭和40年代まで、日本の発展を振り返れば分かるように、鉄道がしっかりしたればこそ、江戸幕府が終わった後、日本は明治の初め3000万人、60年後、昭和の初めのころでざっくり言って6000万人ぐらい、さらに60年経って昭和の終わりのころ1億2千万人。60年ごとに倍々ゲームになった。
 大きなけん引役が鉄道だった。人の移動も物の運搬も。それから首都圏が明治初めに300万人だったのが60年後に1000万人、さらに60年後の昭和の終わりには周辺を含めて、東京から半径50キロに3000万人と3倍になった。それも鉄道がしっかりしているからこそ。
 だが先ほど話した、それから50年ちょっと鉄道がサボり続けていることと、首都圏も日本全体も人口減に変わったことは、偶然の一致ではなくて、野村克也元監督の言う「負けに不思議の負けなし」。交通利便向上を鉄道業界が放棄してしまったことと、日本が人口減に傾きが変わったのと、偶然の一致ではなくて必然の結果だと私は見ている。
 過去のことを批判、評論だけしている話ではなく、それを参考にこれから未来の姿を描くのなら、交通インフラを、交通利便性を上げることによって人口は増えていく、という当たり前の勝利の方程式が成り立つ。
 その時にフル規格のような莫大なコスト、とんでもない公費がかかるものではなくて、明治大正の先人達がせっかく残してくれたインフラを活用しましょう。そして都市間鉄道は、中速新幹線で最高速度200キロ、平均速度150キロでやりましょう。そして地域内も、市街地が広がっている鶴岡、余目、酒田エリアは、駅を1キロピッチに市街地の中に造って、朝から晩まで少なくとも10分に1本の列車が来ます、くらいのことを。
 最初に造るためにかけたコストと比べたら、ランニングコストなんてたかが知れているし、これから自動運転の時代になれば、鉄道こそ道路よりはるかにやりやすい。そうすれば低コスト運行できる。それによって庄内の魅力度が高まる。
 ここで生まれ育った人も、山形や仙台や東京に出る比率が下がっていく。外から移り住んで来る人、一旦外に行った人も「東京なんか住んでいられない」と戻ってくる人が増えてくる。そのきっかけを作りたい。
 この話は単なる鉄道マニア的な視点で、東京と直通で新幹線が走れば良いな、という話ではなくて、この地域の活性化、街づくりの核、都市計画の核、人口問題解決の中心として交通利便性を上げることが重要で、それは既存のインフラを活用した方策をやりましょう、という話。

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