郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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山居倉庫整備計画案
民間利用は28年度から検討
委員が「遅すぎる」と指摘

 酒田市は「第8回酒田市史跡山居倉庫整備基本計画策定委員会」(委員長・本中眞奈良文化財研究所長、委員11人)を18日、酒田市総合文化センターで開き、2026~35年度の「第1期山居倉庫整備基本計画案」を示した。委員からは、計画がスピード感や人材育成を欠いているとの指摘が相次いだ。市は協議を踏まえ、今年度末に計画を策定する。(神田潤)

計7棟に飲食宿泊施設

 計画案は、建築コンサルタント業者(株)グリーンシグマ(新潟県新潟市、風間善浩代表取締役)の協力で作成した。内容は以下の通り。
▼ケヤキの樹勢回復は、24年から1~5号棟の裏で始めており、35年度まで続ける。
▼三居稲荷神社は所有者と協議して、耐震補強工事や修復工事の内容や日程を決める。
▼倉庫の耐震補強工事、屋根瓦や外壁、建具などの腐食と破損箇所の修復工事を、26年度から順次進める。
▼3~9号棟の7棟は26、27年度に、民間利用のための賃貸契約や工事内容のガイドラインを策定し、28年度からレストランや宿泊施設、イベントスペースなどの利用を検討する。倉庫の外観を守るために、利用は内部に限る予定。床面積が約400平方メートルある各棟を、全面的に利用するか部分的に利用するかも検討する。
▼新井田川沿いと敷地西側の石垣の修復、事務所棟庭園のマツの剪定は、27年度に状況を調べ、28年度から着手する。
▼色や高さを統一し、視覚障害者や外国人観光客に配慮した案内板や解説板を27~30年度に新設し、トイレを増築して便器数を増やし、バリアフリー化する。ベンチや防犯灯なども改修し造設する。
▼新内橋や山居橋、新内橋~山居橋間の新井田川沿いと対岸などに、28年度に古い写真を使った解説看板を設ける。
▼12号棟は30年度に、総合案内や情報提供、休憩室、トイレにして公開する。
▼11号棟は30年度に、デジタル技術で稲作体験などのゲームができる体験学習施設に▼2、10号棟は33年度に、建築当初の柱や内壁を生かして、倉庫の構造が学べる保存展示施設に▼1号棟は35年度に、倉庫の歴史を学べる資料展示学習施設―に整備して公開する。

専門の人材配置も必要

 意見交換では、(株)EAU代表取締役の崎谷浩一郎委員が「(民間利用の開始時期が)遅すぎるのでは。民間利用のためのガイドライン策定と並行して、社会実験として早期に利用を開始してはどうか。先行実施によって市民の関心も高まり、そこで得られた知見を今後の整備に反映できる」と提言した。市は「再度調整し、反映させたい」と答えた。
 秋田公立美術大学美術学部非常勤講師の佐治ゆかり委員は「ボランティアガイドの養成だけでなく、専門知識を持った核となる人材の育成と配置が、計画から欠けている」と指摘し、追記を求めた。市は「どのような表現で追記するか検討する」と話した。
 長岡造形大学長の平山育男委員は「将来の担い手である子供たちに、小中学校での教育を通じて、山居倉庫を残す意義を伝えるべき」と話した。東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター長の北野博司委員も、市民向けの分かりやすい概要版の作成を要望した。市は概要版を作り、PR動画をユーチューブやSNSに投稿するなどと話した。
 山居倉庫は1893年、(株)酒田米穀取引所の付属倉庫として建てられた。2021年3月に国史跡となり、22年度末に米保管倉庫の役割を終え、市は24年1月に敷地2万2455平方メートルのうち、三居稲荷神社やみどりの里山居館、新井田川河川敷などを除く1万6906平方メートル75%を取得した。観光物産施設の酒田夢の倶楽は25年2月に閉館し、いろは蔵パークに移転した。

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